「人生の後半戦を迎えた大人たち」平場の月 villageさんの映画レビュー(感想・評価)
人生の後半戦を迎えた大人たち
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結婚や離婚、親の介護、病気、離職。多くの人生経験を経た50代の男女が、その再会を通じて、得た「平場」の日常を、淡々と描いているという印象。起伏があまりなくオフビートで、ドラマチックな演出はないのだけど、不思議と2時間退屈することはなく(日本映画らしい良さがあって)、最後まで観ていて心地良かった。
テレビではヒーロー然とした役の多い堺雅人が、少しガサツで飄々とした「普通のおじさん」を演じるのが新鮮で見応えがある。
終始感情を抑えた(個人的には別れのシーンでは少し物足りないかなとも感じた)井川遥の演技も、その生い立ちと「太い」心を持った役どころからすると、それも納得がいく(その伏線として、男のために子どもを捨てた母親の存在と自分もその業を引き継いでいるというトラウマがあると考えれば)。
「50代になってそれはない」と宅飲みの誘いを躊躇する台詞。
別れを告げられて、一旦トイレに入って気持ちを落ち着かせてから冷静に説得する妙なリアルさ。
死を知らされたときの驚きと、その事実を淡々と、まずは頭で理解しようとする表情。咳を切って流れる涙。
青春時代の思い出。流れてきたあまりにも多くの時間。それでも誰かと共に生きる時間の大切さ。そんなことを感じられる映画でした。
(エンドロールの星野源の書き下ろし曲が染みます。)
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