「本質的に違いすぎるふたり」平場の月 エキュートさんの映画レビュー(感想・評価)
本質的に違いすぎるふたり
偶々予告編をみて気になり、観に行きました。
舞台が埼玉県で河川敷や団地やスーパーなど「平場」を思わせるスポットが多く、出演者も一流で華がある方々なのに庶民的のような芝居や演出はお見事。
これはさまざまな角度からの見方ができる映画です。
自分は映画をみていて青砥と須藤は本質的に分かり合うのは難しいかもと思いました。
須藤はものごころついたころからおそらく頑なで平場になじめず生きる上で疎外感がベースにありる。気持ちは尖りきっていて決して「太い」わけではないのです。
青砥は逆に程よくぬけていて平場で上手くやっていける器用さがあり、周囲の人にも恵まれそんなに大きな挫折もなかったような雰囲気を併せ持つ。
「青砥は丁度良い」と須藤がいうのはこのあたりからきているようにも思います。
須藤にとっての青砥はおそらく「全身を武装したままでも呼吸できる相手」近すぎず遠すぎず、心が軋まない距離感まさに「スープの冷めない距離」の延長線上にある存在なのかもしれません。
須藤はほんとうは愛が欲しいけれど、愛を手に入れることにはまた苦しみがつきまとうと理解している。「夢みたいなこと」を見たあとでも、現実に戻れば自分が越えるべきものがまだ残っているとうすうす勘づいている。なので踏み込む勇気がないし、委ねられないのではないでしょうか。
須藤と青砥、平場において二人の微妙な距離感を月の満ちかけ具合で描かれている丁寧な作品でした。
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