「おセンチな年頃、もう年末ですねぇ。」平場の月 すけちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
おセンチな年頃、もう年末ですねぇ。
大人の恋だねぇ〜なんて聴こえてくる作品でしたけど………
完璧やね。完璧。
脚本も演者も流れる風景や空気感に音も。
ここまで隙がないとため息が出てしまうね。
台詞のひとつひとつやエピソードに出逢いに別れ………。
そんな中で迎えた恋心。
切なさが残る作品です。
ジーンときましたけど………観る側のタイミングによりますね。
他のレビューとかにありましたが泣きたくてとか涙溢れてとか人それぞれです。
でも作品自体は『平場』なんです。
結局病気や死を簡単に使って泣かせる映画は安易で辟易してくるなんてレビューもありましたが当たり前です。
『平場』はありきたりなんですから。
自分の身近な人とか自分自身とかが病気や死に直面しない限り他人事でありファンタジーや言い伝え程度の都市伝説と思える人もいるでしょう。
ですが死に関しては今のところ全人類に平等に起こる現象なんです。
確かに死を出汁にして御涙頂戴な映画にドラマに文学にとアホほどありますが。
この作品に関しては少なからずとも死と言うよりも出逢いに別れに願いに未練にと人生におけるいろんな儚さを表現していますね。
ラストシーンは『死』にぶち当たった人なら共感も実体験もある悲しいのに泣けない。スイッチが何処なのか?何なのか?思考も感情も行動も何もわからなく記憶もないほどになってしまう。
まるでパンパンな水風船を小さくて細くて見えない針で刺されたように一気に弾けて溢れてしまいます。
でもその時に肩に手を添えて慰めるのではなく嗚咽を他の人に気づかせないようにそっと有線のボリュームをあげた焼き鳥屋の大将。泣きたきゃ泣け。思い切り泣け。月に届くまで泣けと。
須藤は『月』なんだね。
みんな空を見上げる事も少なくなり忙しい人生に身を委ね、いろんなことが離れ区切り身体の変調などでぽっかり穴が開いたときに見上げた夜空に浮かぶ月。
自分はさておき青砥の健康とこれからを願い、いつも何処かで見守っています。と
私的には登場人物の距離感がどれも絶妙なのがウケる。
葬儀の時に元嫁の察した表情と何ともいえない3人の間が1番かな。
この作品を観る日の朝のニュースでがんの5年以内の生存率の最新データが発表されたとたまたま観ましたが作中にも出た大腸がんになると76.8%らしいです。
ざっくりと数字を見れば4人に1人は怪しくなってると。
年々病気の早期発見や手術方法や薬にと日々進歩していますがやはりまだ完全ではありません。
長生きしたければ健康的に精進してください。
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