「メイン・テーマで掴まれて、トイレの後がウンのつき(月)」平場の月 たずーさんの映画レビュー(感想・評価)
メイン・テーマで掴まれて、トイレの後がウンのつき(月)
薬師丸ひろ子さんが歌った数々の名曲の中でも、一番好きなのが「メイン・テーマ」(映画の方は決して一番ではないんですが主題歌に関しては「Woman」と双璧)なので、冒頭から心を掴まれてしまいます。
原作未読で映画鑑賞後に調べたら、原作の主役たちは2018年か少し前で50歳のようで、ほぼ同世代。原作にもこの曲が出てくるなら大納得なのです(出てくるのか、そこは調べてもわからずでした)
同級生たちとの会話が自然で、かつて恋心を抱いていた同級生女子との再会後の会話も、でき過ぎと思いながらも嘘くささは感じない。
中学生時代に好きだった子と50歳で再会した会話を想像したとき、あんな風に距離を測りながら、徐々にバリアが剥がれていったらなんていいだろうって思ってしまう。
そんな会話を重ねて、お互いが独り身になっていて、何年も一人で暮らしていることがわかったら、そりゃー期待しちゃいますわなー。恋心が戻ってきちゃいますわなー。若い男の影も登場して、この大人の恋がどっちに進んでいくのかわからずに楽しみが増します(なんせ原作未読なので)。
でも、須藤(井川遥さん)が健診を受けるって言ったときには、そっち方向かーって察してしまって、期待値下げちゃった。
とは言え、2回目の術後検診までは良かったのよ。あんなに2人の仲が深まっていたのに、あのタイミングであんな感じで別れを切り出されて、トイレに行ったら気持ちを抑えきって「お前は約束は破らないよな?」で、ずーーーっと会わずに済ませられるもの?
てか、大病した彼女のその後の様子を誰に訊くこともなく1年も未読のLINE見て過ごす?地元で、同級生もたくさんいて、妹さんとも顔を合わせていたのに? あんなに繊細に積み上げて、この一番大事なところで急に雑じゃない?
気になり始めると、気にしないようにしていた月のことも気になり始めます。「平場の月」というタイトルからか、作中何度も出てくるお月さん。その月の形と見上げる方向や高さから、凡その時間がわかるのに、その月の映像に続く話が時間的に相応しくない場面が何度も(下弦の月が上ってきているのに夕食準備してなかった? 満月がそれほど高くないのに商店街で中学生が見咎められる? など)
死を知ったあとの何も理解できないような様子、ラストのあの曲(居酒屋のおやじ、わざと有線リクエストでもしたかい?のタイミング!ではあるけど)を聴いての慟哭など、堺雅人さんのクライマックスの演技は大げさではなく、青砥の気持ちがよく表現された泣かせるものだったと拍手を送るけど、やっぱりあのトイレの後がどうしても納得できなくて、それまでのわくわくした気持ちもトイレに流れてしまったのです。残念です。
<以下、レビューに入れ込めなかった感想>
・50歳のベッドシーン良かったなー
・女の人のあり方を「太い」って形容する感じ好き
・同級生男子たち、楽ちんそうな役を楽しそうに演じてたねー
・がん検診啓蒙映画?
・え、中学時代に2人乗りするくらいのことはしてたんですか!
・「俺が高卒だからか?」は急すぎない?そんなコンプレックスどこかで匂ってた?
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