「すんなりと受け入れられるラブストーリー」平場の月 愛を求めてさんの映画レビュー(感想・評価)
すんなりと受け入れられるラブストーリー
人生折り返し地点で中学時代の人と再開し、酸いも甘いも噛み分けた大人二人が、お互いに抱えてきた寂しさを紛らわせるように寄り合い、深い関係になっていく…という大人のラブストーリー。
◯人に寄り添い続けることの難しさ
幼少期から母親の愛を受け取れず、長女として気を張りながら今日まで過ごしてきたヒロインの須藤。中学時代から他人に弱みを見せることができず、愛情に飢えつつも素直に甘えることができない須藤にとても共感しました。
(もしかしたら追記するかも…)
◯親密になるまでの描写が丁寧
二人が一線を越える(コトに及ぶ)までの描写が丁寧で、納得できるような描写だった。
お互いを励ますため、互助会のような形で飲みに付き合う関係の青砥と須藤。須藤の住むアパートでの宅飲みで、須藤は中学以降の壮絶な人生(DV旦那との略奪愛と死別、美容師に貢いでいたことなど)をぽつぽつと語り、今ではすっかり孤独になっていたこと、このまま自分は孤独死するのだろう…とこぼす。この時の、寂しそうな須藤の演技が本当に上手い。
このままだと須藤は孤独の果てに本当に死んでしまいそうだと感じ取った青砥は学生時代の告白時と同じように頬を擦り合わせ、須藤に口づけする。この時の須藤の「性欲なんてこの年齢だとファンタジーだよ…」というセリフと演技が、拒絶するようでいて、どこか寂しさが抜けきれていないことを表現できていてとてもいいと感じた。
もう一度青砥が口づけすると、寂しさを抑えきれなくなった須藤が積極的に口づけをし、体を重ねる二人。
そこから深い関係になっていく青砥と須藤の、親密になるまでの過程が丁寧に描かれているため、すんなりと受け入れられる。
◯ラストシーンはもう少し感動が欲しかった
須藤がガンで亡くなったことをまだ現実として受け止められていない青砥。いつも須藤と飲みに行っていた焼き鳥屋で後輩の昇進祝いをするものの、須藤がいつも座っていた席を見つめ、須藤の口ずさんでいた曲をラジオで聴いて初めて須藤が亡くなってしまったことを認識する…というシーンで映画が終わるのだが、この時の曲調と青砥の泣きの演技に締まりがないように感じられた。日常の延長線上と考えれば納得はできるものの、もっと感動的に、情緒を揺さぶるような演出があってもよかったのではないかと感じました。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
