「誰もが今、側にいる誰かに思いを馳せる時間」平場の月 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
誰もが今、側にいる誰かに思いを馳せる時間
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中学時代に出会い、互いに気持ちを充分に伝えられないまま、それぞれがそれぞれの人生を過ごし、50代になって再会した男女。どちらも人並み以上の苦労をしてきた割りには、相変わらず微妙にすれ違う2人が、ゆっくりと、本当にゆっくりと距離を縮めていく過程がいい。そのスピード感が2時間弱の映画にはピッタリなのだ。
失敗した結婚、癒えることがなさそうな病との戦いetc、苦しいことは多々あるけれど、劇中の台詞にもあるように、『共に歩む相手がいる何事にも変え難い至福』が、しんみりと伝わってくるのだ。たとえそれが、束の間の幸せだったとしても。
東京の北部、池袋から東上線に乗った先にある朝霞近辺に住む人々の生活感や、平場(庶民)として暮らすことの慎ましさも描かれているけれど、本作は演じる堺雅人と井川遥の適役ぶりで魅せる。特に、終始笑っている堺雅人が最後に用意していた"演技"に思わずもらい泣きしそうになった。
大人のラブストーリーには違いないけれど、誰もが今、側にいる誰かへの思いを新たにする時間を与えてくれる映画だ。
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