キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン : 映画評論・批評
2003年3月15日更新
2003年3月21日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
スピルバーグにこんな一面があったとは!
スピルバーグはアクションと思っていた。が、彼にこんな一面もあったとは! センシティブで優しい、いままでにないスピに出会えるのが、この作品だ。
ここに登場するママは現実的で自己チュー。パパが破産したらすぐに他の男に乗り換え、新しい幸せに浸る。一方、男たちときたら、そのパパをはじめ詐欺師になる息子、息子を追いかけるFBIと、みんながみんなぶきっちょな生き方しか出来ない。世間と折り合いもつけられず、それでいて誰かを求め、誰かに求められることを願っている。しかも、彼らが求めているのは父親であり息子。女性にベクトルは向いていないのだ。
スピルバーグはそんな3人の男たちに、ありったけの優しさを込める。さりげない会話が胸をしめつけ、ふとかわす視線に愛がこもるのもそのため。3人を演じるレオやトム、そしてウォーケンが輝いているのも、そんなスピの想いが込められているからだ。
これはスピが男たちに捧げたすてきな物語。あなたが男なら、彼らの気持ちが理解出来るだろう。そして、もし女性なら、彼らがきっと愛しくなってしまうはずだ。
(渡辺麻紀)