かくかくしかじかのレビュー・感想・評価
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竹刀を持って「とにかく見ろ」と言ってまわりたくなった
「かくかくしかじか」を読見終わった時のあのなんとも言えない胸に広がる感動は今でも覚えている。
別に私は絵を描かないし、地方出身でもない。
あんな恩師もいなければ、ダウンジングでセンター試験突破するおもしろいエピソードもない。
それでもなぜか自分の背中を押してくれるような、私も頑張ろうと視線が少し上がるような、そんな感覚になれるこの作品が大好きだ。
そして映画を見終わった今、あの時と同じ気持ちになっている。
連日のスキャンダルで、この作品を見るのをやめた人もいるかもしれない。様々な考え方があるし、それは否定はしない。でも日高先生の言葉を真似するなら「良いから見ろ!」と言いたい。
現実と切り離して見ろ。つべこべ言わず見ろ。見ろ。
私は原作が好きで、映画が好きだ。
演じてる役者さんたちがプロフェッショナルな仕事をされていたら、それで良い。
そしてこの作品では間違いなく、メインの2人はプロフェッショナルな仕事をしていた。素晴らしかった。日高先生の大泉洋も、林明子の永野芽郁も本当に良かった。脚本が東村アキコ先生で、あの2人だったからこそ、原作の良さが綺麗に2時間に収まっていたと思う。
自分が挫けそうになった時、諦めそうになった時、頭に浮かぶ声や人がいるというのは強いな。そういう人との出会いは宝物だろうな。
そんな宝物をお裾分けしてくれた東村アキコ先生に感謝したい。
私は本当に見て良かったと心から思った。
どうか多くの人にこの作品を見てもらいたい。
紛れもない「傑作」。東村アキコの魂が宿る、自伝的漫画の実写化。
本作は、漫画家・東村アキコの自伝的漫画を実写化したもので、原作者本人が脚本、ロケハン、方言指導、さらには出資まで手がけるという並々ならぬ熱意が込められています。自身の体験に基づいているからこそ知り得る場所の選定や、細やかな方言の指導など、作品にリアリティーと深みを与えることに成功しています。
監督は「地獄の花園」でメガホンをとった関和亮で、原作の魅力を損なうことなく、実写ならではの表現で見事に映像化を成功させています。
冒頭、タイトルが現れるまでのオープニングシークエンス。この一連のシーンを見てもセンスが溢れています。ユーモアに満ちた数々の場面は、作為的な印象を与えず物語の中に自然と溶け込んでいるなど、退屈なシーンが見当たらないほど良く描けています。
主人公・東村アキコを演じる永野芽郁は、原作のイメージを見事に体現し、まるで本人そのものがそこにいるようです。そして、大泉洋。時代を超越する存在感は、作品に彩りと深みを与え、彼にしか演じられないであろう日高というキャラクターは、新たな当たり役と言っても過言ではありません。
作品となったその想いは、必ず大切な人に届くはず
シリアスな役からコメディまで自在に演じてきた大泉洋と永野芽郁が丁々発止の掛け合いで名コンビぶりを見せ、人気漫画家・東村アキコ氏の人生を変えた恩師とのかけがえのない日々を、関和亮監督が絶妙なテンポ感でよみがえらせています。
「描け!」という恩師の言葉が見る者の心にも響き、笑いと共に自然と切ない涙があふれ、深い余韻を残す作品です。
2024年には「ブルーピリオド」(山口つばさ氏の人気漫画が原作)と「ルックバック」(藤本タツキ氏の人気漫画が原作)が公開されました。“描く”という物語を映像で表現し、描き手の想いを伝えることはなかなか難しいですが、生きるためにひとつのことに情熱を捧げる大切さを「かくかくしかじか」も気付かせてくれます。
そして、作品となったその想いは、必ず大切な人に届くはずなのだと。
まさかの号泣映画か・・・
この映画は原作者・東村アキコの思いのたけが詰まった映画だ。マシンガントークかと思わせるネームのマジシャンはこの作品の台本でまさに真骨頂を見せる。コマに収めるのではなく時間に乗せて流すとキッチリその妙味が現れて来る。本人役の永野芽郁がまた良くフィットしている。そのセリフと画面と配役と演出をコントロールしているのは監督・関和亮である。我々は実に良くコントロールされた計算ずくの作品を見せられているわけだが、これが全く嫌みがない。じわじわとエンディングに向かうに従いギャグ的要素はその俳優陣の名演ぎでペーソスへと変化する。我々は知らずにその渦に巻き込まれていくのである。この映画は基本モノローグ映画である。モノローグで語られるのはその恩師である。その無茶苦茶さ加減の一途さはいつの間にか主人公の・・・そしてその映画を見ている観客の主観に重ねられ、その強烈な個性の恩師のキャラクターに涙する。実に良く出来た映画だ。原作は読んだことがないので語れぬがもしかしたら原作を凌いでいるかもしれない。東村アキコの漫画の苦しさはこのように映画の中に流れる時間に流してやると実にフィットするのだ。原作者・東村アキコは誰よりもそれを知っているかのように今日も読んでて息苦しいネームの嵐で埋め尽くされたコマを絵で埋めていくのであろう。
漫画のストーリー通り(らしい)
恩師と呼べる人を持つことが出来たことの幸せ
永野芽郁は、「マイ・ブロークン・マリコ」を見てから俳優として見直しました。また、大泉洋は、そのしゃがれた声を聞くだけで癒されます。2人のキャスティングは本作によくはまっています。他方、原作者兼脚本家の東村アキコは、山田玲司のヤングサンデー(略称ヤンサン)でお見かけしていたものの、この人誰れ?と永らく思っていた漫画家です。その漫画もすべて未読でした。
劇場で本作の予告編を何度も見せられて、ありきたりの感動作か?と思いつつ、気にはなっていました。劇場に足を運ぶ前に、スキャンダル報道のためか、いくつもの上映館が早々と上映終了になっていきました。
その中で、劇場鑑賞の前に原作漫画を読み始めて、その面白さに惹かれて全5巻を一気に読了しました。これまでの自分自身の不明を恥じました。
そして、ようやく本日、鑑賞可能エリア内の最後の一館に駆け込み鑑賞することが出来ました。
正直な感想を言えば、映画作品として演出のチューニングが今ひとつです(細部や繋がりには気になるところが少なからずあります。その一方で、どなたが制作したのか不詳ですが、予告、特報、キャラクター予告、アニバーサリー映像、主題歌スペシャル映像の動画は、本作(本編)よりよほど良い仕上がりで、原作のエッセンスが詰め込まれています。)。最初から最後まで涙が止まりませんでしたというレビューを書きたかったのに、そういう風に本作(本編)は演出されていないのが、口惜しいです(原作とは明確に異なるシーンがあります。原作者が脚本を書いた(承認した)とはいえ、原作の展開(とりわけ見たかったシーン)が短絡(ショートカット)されているのも残念です。)。ただ、恩師から受けた恩に対する種々の不義理、自身が恩に報いたかを主人公が振り返るシーンについては涙が止まりませんでした。本作を見て、自分自身、今は亡き恩師に出会えた幸せを感謝せずにはいられない、気持ちになりました。
漫画家や絵描きでなくても、高度な知的作業においては、連続的に決断・実行し続けることが求められます。日高先生の「描け、描け、描け」の叱咤(大泉洋の声が耳に残ります。)はいろんな意味で、とても大事な教えと思えます。本作は、自分自身の人生の道程を思い出させてくれる作品です。
なお、「聞こえるメッセージ…」で始まる、本作の主題歌Messageは、かつてどこかで聞いたような、懐かしさを覚える曲です。本作にベスト・マッチングです。エンドロールにボーカルで流れますが、全編で静かに鳴らして欲しかったです(予告編にあるように…)。
最後に、本作が逆境にある永野芽郁のエールにもなればと願っています。確かに、このまま消えてゆくのはとても惜しい俳優と思っています。
描くために生まれた人生とその師匠に感謝!
傑作だと友人が勧めてくれましたので、上映が少なくなった7月に入って、やっと観ることができました(永野芽郁のスキャンダルで楽しめるか不安だった?)。答えは観て良かったです(85点ぐらい笑)。気になったのは一点。パワハラ的絵画教師(大泉洋)の乱暴さだけです。それ以外特に難点がありません。かなり粗暴で強引で優しくない(どこかでツンデレ風がもっとあれば癒されるのですが?)。方やヒロインの永野は、最初あった小さな忌避感はあっという間に消えて、やっぱり可愛くて綺麗に見えてしまいました(男ってバカですね笑)。この作品の面白いところは、ヒロインのいくつかの人生の分岐点での選択です。失敗したように見えて、全てが良い方向に導かれていく姿を見ていると、やはり漫画家として大成していくための福運を持っているとしか思えませんでした。また、かなり重いテーマである師弟という問題を、わかりやすく展開していると感じました。重く考えれば師の恩を報ずるとか、魂を受け継ぐとかというのが師弟ですが、ここでは『描け!描け!描け!』という、激しいくらいの叱咤激励が、弟子の命の中に残っているだけで、しっかりと師弟が成り立っていることに脱帽です。さらに、描くために生まれた人間は、その使命を果たすことで、必ず幸せになれるということでしょうか。そして、絵画の世界であれ、漫画の世界であれ、学びの人生を通して、その究極の姿は愛であり、ワンネス(全てが一つ)なのかもしれません。
追記 この世に生まれた私たちは誰一人完璧な人はいません。だからこそ学んで育っていく姿を追うだけで、感動を味わえるのだということを、この作品は教えていると言えるかもしれません。
正直泣けなかった 期待は越えられなかった
想定内の作品
永野芽郁だけに「長い目で」なんちゃってーカクカクカクカク
2025年映画館鑑賞50作品目
5月17日(土)イオンシネマ新利府
dポイント−300円→1500円
原作は『海月姫』『薔薇とチューリップ』の東村アキコ
監督は『地獄の花園』の関和亮
脚本は原作者の東村アキコと俳優の伊達円祐
漫画家東村アキコの自伝的漫画の実写映画化
美大を目指して美術教室に通い始めた宮崎の高校生林明子ではあったが講師はスパルタだった
最初は嫌で嫌でしょうがなかったがなんやかんやで慣れてきて
しかし明子がなりたいのは画家ではなくて漫画家だった
やはり美大出身を売りしていた東村アキコ
それはまあどうでも良い
コメディー色が強いが笑いあり涙あり
ハートフルコメディー
黒幕は斉藤由貴?
『ミス・シャーロック』でも『マッチング』でも黒幕だったものなあ
可愛い可愛くないと不倫するしないは全く関係ないもんな由貴ちゃん
彼女クラスになると全くと言っていいほど関係ない
それにしてもあの女将役は全く謎
どんな役作り?
全く見えてこない
余命僅かな日高先生演じた大泉洋の赤ら顔のメイクが斬新で良い
配役
漫画家を夢見る女子高生の林明子(東村アキコ)に永野芽郁
明子の小中学生時代に照井野々花
高校の同級生で絵画教室の生徒の北見に見上愛
絵画教室の後輩の佐藤に畑芽育
高校の後輩でヤンキーの今ちゃんに鈴木仁
美大時代の彼氏の西村くんに神尾楓珠
絵画教室の生徒の川崎くんに森愁斗
絵画教室の生徒のたかしに上阪悠斗
絵画教室の生徒のよし子に伊藤翠
絵画教室の生徒のみっちゃんに河村花
絵画教室の生徒の絵画教室の生徒の児玉さんに酒井敏也
絵画教室の生徒に永吉夏音
絵画教室の生徒に平野央
美大の教授の杉浦に青柳翔
先輩の売れっ子漫画家の石田拓実に長井短
漫画雑誌の編集者の岡さんに津田健次郎
金沢の宿屋の女将に斉藤由貴
高校の美術部の顧問の中田先生に有田哲平
明子の母親の伸子ににMEGUMI
明子の父親の健一に大森南朋
パワハラ美術教師の日高健三に大泉洋
授賞式の司会者に安藤弘樹
テレオペ時代の先輩に佐々木志帆
美大時代の友人に駒井蓮
美大時代の友人にLINOAH
美大の教授に三浦賢治
何処が気に食わないかヤフコメみたいに指摘して欲しいものですな
それに従うから
映画.comもヤフコメと同様のシステム導入しろよ
真っ直ぐに描き続けて
原作を読んで、映画も観たくなり。
漫画でも宮崎の緑と海の香りと、人の良さが伝わって来るのが作者の凄いところですが、
映画ではさらに景色が素晴らしく撮れていました。方言も心地よい響きでした。
東村アキコ氏の先生と、交流を描いた実話です。
大切な恩師に、若かったがゆえに嘘をついたり不義理をしたり。
年取った今なら普通に言えることなのに、その時はどうしても言えなかったりして。
恋愛に夢中になってしまったり。
当時は携帯もなくてすれ違いもあったのでは。
そんな昔の自分のほろ苦い思い出を掘り起こす作業は辛い部分もあったと思います。
今の時代は日高先生のような厳しい教え方は受け入れられないかもしれません。
実際厳しすぎて辞めた生徒さんも多かったのかも。
でも一生を絵に捧げ、一生懸命教えながら描き続ける姿は
絵の先生というよりも人として真っ直ぐに生きることを教えてもらった気がします。
それでも「二人展をやろう」と誘われたり、東村アキコ氏は漫画もそうですが
絵画自体の才能もあったんですね。
ずっと先生のもとにいたら、きっと画家としても成功していたんじゃないかなと思いました。
人との出会いって素晴らしい!と爽やかな感動をもらいました。
永野芽依さんのファッションや部屋もかわいかったです。
若い頃のあれこれを、イタイなと思い返します。
それは、年を重ねた証拠です。
そして、無駄と思いつつ、若い子たちに、ハラスメントにならない程度に、アドバイスを送ってしまいます。
AIと違って、各々が自分の頭で考え、行動し、知や経験を集約できないから、人間は多様で、面白いのでしょう。
無駄も多いですが。
でも、むしゃらでたくさん失敗する若い愚かさは、まぶしいです。
先生も、そんな気持ちで東村先生のことを見守っていたと思います。
東村先生が先生に対して感じた後悔は、少なからずどんな人も、持っています。
そうやって、人間の歴史は連綿と続いてきていると思うと、愛おしいなあと感じました。
東村先生は、たくさんたくさん作品を描かれていますが、私は「ママはテンパリスト」という育児漫画しか読んでません。
おそらくどの作品もめちゃ面白いのでしょうが、画が好みではなく。
「ママはテンパリスト」は、育児に忙殺されていた時に、ひとり息子ごっちゃんのユニークさにはまり、読み漁っていました。
ごっちゃんの本名を知った時、「東村先生ー、子どもの名前はノリでつけたらあかん」と思わずツッコミましたが。
週に複数の締め切りを抱えながら育児をする東山先生、意外に繊細ででもマイペースなごっちゃん、個性豊かなアシスタントさんたちが紡ぐ「ママはテンパリスト」とという作品が大好きでした。
私は、子どもが小学生にあがった時に、「ママはテンパリスト」全巻を育児に悩んでいた3歳児ママに贈呈しました。
そうやって読み継がれていけばいいなと思う名作です。
映画は、東村先生が美化されることなく、とっても魅力的に描かれていて、笑ってしんみり、楽しく鑑賞できました(*^^*)。
宮崎、いいところですねー、行ってみたくなりました。
生徒と恩師の愛情物語
もうすぐ上映終了と知り、駆け込み鑑賞してきました。主演女優の不祥事により色々とケチの付いてしまった作品ですが、実際に観て感じたのは素晴らしい作品であったということです。
生徒をスパルタで育てる絵画教室の先生の隠された愛情と、怖がりながら衝突しながら付いていこうとする主人公の女子高生との心の触れ合いが良い。先生の元を離れ、東京で絵を描く事を忘れ友人との遊びや恋愛に流されてしまう主人公の心情は、原作者自身のエピソードだけあってリアルで自然です。また、心配して上京してくる先生のさり気ない優しさが心に染みます。
永野芽郁さんの演技は素晴らしく、先生役の大泉洋さんとのコンビネーションも抜群で、上映中はつまらないスキャンダルなど忘れてのめり込みました。
やっぱり大好きな作品
漫画のまんま再現されてて、原作ファンとしては大満足の作品。連載当時にタイムスリップした気分。
大森南朋さんのお父さんが原作どおりでツボ過ぎた。
永野芽郁ちゃんも色々やらかしたっぽいのだけれど、それも含めて東村先生の若かりし姿と重なる(やったことの内容はさておき、東村先生も日高先生に沢山不義理なことをしていたんじゃないかと想像)
東村先生とほぼ同世代である自分の青春時代を思い出し懐かしくもあり、恥ずかしくもあり、年代的には日高先生に近いであろう今の自分の重ねて、どちらの視点で観るかで感じ方が変わってくる作品。
日高先生の「描け!描け!描け!」あの情熱がどこからきてきたのか知りたい。
とってもピュアな人だったんだろうな。
愚痴も文句もこぼさずひたすら描け!といってた先生。挫折した生徒たちにも変わらず書け!と言ってたのは先生の親心だったのか、夢を託したかったのか…絵を描く喜びを分かち合う仲間が欲しかったのか…
日高先生が望んだ姿ではなかったのかもしれないけれど、先生のスピリッツは今もなお東村先生の中で輝いているのではないだろうか。
人生の中でそういう存在に出会えることはとても幸せなことなのだと思う。
やっぱり「かくかくしかじか」大好きだ!
「えっ?」
宮崎県の片田舎で漫画家を目指す主人公と美術教室のスパルタ講師との日々を描く。破天荒な講師は自身の想い以外は受け付けない頑固な性格。どんな時も「描け」「いいから描け」スタイルを貫く。
奇跡が起こることも、神の力が宿ることもなく現実が素朴に描かれていて爽やか。「描かないと腕が落ちる」「筆の手入れも忘れたか」――講師の美術に対するポリシーが心地よい。ウザいが長期的にみて情愛がこもった指導。ことに特殊な業界では熱血講師は必要だ。
さて、不倫が取り沙汰されている主演の永野芽郁だが、彼女の「間抜け」で「都合の良い」陽キャラ姿は観ていて心地よい。要所で「えっ?」と相手の発言に驚くシーンが挿入されている。本人が意としない状況を一言であらわす、率直で爽快な演出だ。
醜聞と演者としての彼女を混合して観覧を拒否するのは早計であまりに惜しい。
今後も【演者】としての彼女を応援する。
私は原作も東村アキコ氏も知らない。だからこそ結果的に先入観なく新鮮に楽しめた。
なんか良かったなぁ〜😊
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