かくかくしかじかのレビュー・感想・評価
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紛れもない「傑作」。東村アキコの魂が宿る、自伝的漫画の実写化。
本作は、漫画家・東村アキコの自伝的漫画を実写化したもので、原作者本人が脚本、ロケハン、方言指導、さらには出資まで手がけるという並々ならぬ熱意が込められています。自身の体験に基づいているからこそ知り得る場所の選定や、細やかな方言の指導など、作品にリアリティーと深みを与えることに成功しています。
監督は「地獄の花園」でメガホンをとった関和亮で、原作の魅力を損なうことなく、実写ならではの表現で見事に映像化を成功させています。
冒頭、タイトルが現れるまでのオープニングシークエンス。この一連のシーンを見てもセンスが溢れています。ユーモアに満ちた数々の場面は、作為的な印象を与えず物語の中に自然と溶け込んでいるなど、退屈なシーンが見当たらないほど良く描けています。
主人公・東村アキコを演じる永野芽郁は、原作のイメージを見事に体現し、まるで本人そのものがそこにいるようです。そして、大泉洋。時代を超越する存在感は、作品に彩りと深みを与え、彼にしか演じられないであろう日高というキャラクターは、新たな当たり役と言っても過言ではありません。
作品となったその想いは、必ず大切な人に届くはず
シリアスな役からコメディまで自在に演じてきた大泉洋と永野芽郁が丁々発止の掛け合いで名コンビぶりを見せ、人気漫画家・東村アキコ氏の人生を変えた恩師とのかけがえのない日々を、関和亮監督が絶妙なテンポ感でよみがえらせています。
「描け!」という恩師の言葉が見る者の心にも響き、笑いと共に自然と切ない涙があふれ、深い余韻を残す作品です。
2024年には「ブルーピリオド」(山口つばさ氏の人気漫画が原作)と「ルックバック」(藤本タツキ氏の人気漫画が原作)が公開されました。“描く”という物語を映像で表現し、描き手の想いを伝えることはなかなか難しいですが、生きるためにひとつのことに情熱を捧げる大切さを「かくかくしかじか」も気付かせてくれます。
そして、作品となったその想いは、必ず大切な人に届くはずなのだと。
かけ 描け 駆け
恩師への愛と感謝を詰め込んだ素敵な作品
人気漫画家・東村アキコさんの自伝的作品の実写映画化作品ということですが、原作未読どころか、東村さんの作品は何ひとつ知りません。予告の楽しげな雰囲気と出演俳優陣に惹かれて、公開2日目に鑑賞してきました。
ストーリーは、宮崎県に暮らす、漫画家を夢見るお気楽女子高生・林明子が、美大受験に備えて地元の絵画教室に通うことになり、そこで出会ったスパルタ指導の日高先生のおかげでなんとか大学合格を果たすが、根っからのサボりぐさが治らない明子は、友達と遊ぶ日々の中で漫画家の夢も絵への情熱もしだいに薄れていくが、そんな明子に対してもずっと声をかけ続ける日高先生と明子の日々を振り返るというもの。
原作者・東村アキコさんにとって、人生の大きな道標となった恩師・日高先生への愛と感謝を精いっぱい詰め込んだ素敵な作品です。原作未読ですが、製作に原作者も加わっているということで、きっと原作の魅力がしっかり生かされた作品になっていたのではないかと思います。
日高先生の人物造形はおよそ絵画教師とは思えないスパルタぶりで、まさに型破り。それでも教え子たちからこれほど慕われていたのは、作品のすばらしさでも指導のうまさでもなく、彼のひたむきな情熱が伝わっていたからでしょう。それは絵画に向けるのと同等の熱量で教え子に向けられ、死の間際まで衰えることはありません。
ストーリーは、アキコの自伝として語られるため、日高先生がアキコに特別に肩入れしているようにも見えます。しかし、葬儀後の後輩くんの言葉から、誰か一人を特別扱いすることなく、教え子の一人一人に全力で向き合ってきたことが窺えます。
人生の中で生涯の師と思える人に出会えたことは幸せです。鑑賞中、自分にとっての師と思える人の顔が何人か脳裏に浮かんできました。今でもたまにお会いするかたもいれば、その後すっかりご無沙汰になってしまったかたもいます。今の仕事に全力を尽くすことが最大の恩返しと思って過ごしてきましたが、本作を観てやはり直接会ってお礼を伝え、当時の思い出話をしたくなりました。
題名の「かくかくしかじか」も、自分には「かくしか」ないと思わせてくれた恩師の話を、さまざまなエピソードを通して振り返るという意味で、感謝と温かみを感じる素敵なタイトルだと感じます。
主演は永野芽郁さんで、お気楽でありながらも心から日高先生を慕う明子を好演しています。共演は大泉洋さんで、こちらも日高先生役がぴたりとハマり、観る者の心を捉えます。脇を固めるのは、見上愛さん、畑芽育さん、鈴木仁さん、神尾楓珠さん、津田健次郎さん、有田哲平さん、MEGUMIさん、大森南朋さんら豪華な顔ぶれ。主演の永野芽郁さんが世間をお騒がせ中なのは承知していますが、それとは切り離して作品を楽しんでほしいと思います。それが、原作者やキャストやスタッフの思いに報いることだと思います。
いい出会いだ
主役の不倫とか関係なく
勝手な先入観と欲望
原作は東村アキコ先生の後悔で綴られている。その語りに胸が苦しくなる。「先生」という二文字にこめた想い。それを表現するのは難しいだろうと想像していた。
そして完全な私的感情だが大泉洋さんを見るといい人オーラが出ているように感じてしまうので、先生の手に竹刀があっても怖くない。無骨な迫力に欠ける。この点は自分の先入観を恨みたくなる。反対に先生の暖かさは立っているだけで感じさせてくれた。アキコを、生徒達を大切にしている。その姿勢を無言でも伝えてくれる。
これまた先入観になるが、原作は自分のペースでじっくり読むので台詞、特にアキコが思い出で「先生」と心で呼びかける時はゆっくりだ。比べると映画は速い。こればかりは何とも仕方がない。
もっとじっくりと、台詞もゆっくりにして観たかった。展開に間が欲しかった。勝手な欲望だ。
原作が素晴らしいので映画は別物といくら考えてもこれ以上の星は付けられませんでした。ごめんなさい。
あまり記憶には残らない、と思う。
音が良い
自分で自分の自伝を画くのは宜しくないのでは?
刷り込み
例の騒動はさておいて。
宮崎で格安の絵画教室を開き、そこで熱血というかスパルタ指導を行う大泉洋の熱演は良かったなぁ。しかしあそこの生徒が何人いるかは明らかでないが、たった5000円の月謝で教室を維持するには最低でも50人ぐらいの生徒がいないと成り立たないのでは。1回5000円だとすると、毎日のように通ったら、月100,000円は吹っ飛ぶ計算になるし。
当然のことながらある程度は脚色を加えていると思うのだが、主人公の東村アキコこと林明子の自伝とはいえ、国公立大学芸術学部合格→漫画家への道があまりにスムーズすぎてはいないか。絶対にもっと紆余曲折や様々な困難があったはずだが、その描写があまりなかった。
作品としては、つまらなくはなかったが、面白かったかと言われると微妙かな。少なくとも僕の中では鑑賞前に想像していたラインには及ばなかった。
薄味だが漫画原作の映画化としては成功
原作既読です。
キャスティングが素晴らしいと聞き
本作を観てきました。
美しく穏やかな海と豊かな自然、
宮崎県民のおおらかな人柄が
明子を健やかに育ててくれた
ということが画面から
しっかり伝わってきました。
特に北見役の三上愛さん、お父さん役の
大森南朋さんはキャラクターの魅力、
深みを原作以上に引き出されていて
改めて役者さんの持つ力の凄さを実感しました。
永野芽郁さんも主人公明子の若さゆえの
瑞々しい明るさ、健全さ、
可愛さ、だらしなさをよく
体現されていたと思います。
正直、鑑賞中はゴシップなど
全く気になりませんでした。
くるくる表情がかわる
永野芽郁さんをみていると
飽きないし
これだけ可愛いかったら
みんなが魅了されるのも納得です。
ただ、映画の明子は
可愛らしすぎる気もしました。
多分、明子の人たらしの才能は
明るさや外見の愛くるしさだけでなく
本人の持つ才能、破天荒さや
狂気じみたテンションも含め
魅力となり周囲の人を惹きつけて
いたのだと思いますが
そういう要素はなく
ごく普通の可愛い女子高生に見えました。
そして明子に限らず映画自体の演出が
美しすぎる、薄味な気がしました。
東村先生が監修してるのだから
あえての演出だと思いますが。
明子の陽だけではない面
若さと才能、愛されている自信ゆえの
傲慢さ、甘え、したたさか、
自分自身の陰の部分と
向き合えない後ろめたさ葛藤を
もう少し深く見たかったです。
ラストシーンでの先生との
対話は私的には全くの蛇足でした。
綺麗に纏めるな、と。
人の本質を見抜く類稀な観察眼と
鋭い感性がありながらも
自分自身の負の面と向き合うことは
おそらく苦手な作者が
自分の原点ともいえる恩師との
温かくも苦い思い出に切り込んだ
作品だからこそ
マンガ大賞を受賞したのだと
思ってました。
映画はいい話風になりすぎてる
気がします。
物事の本質がわかる先生が
なぜ、そうしたのか?
そういう意味でライト層に対し
認知を高めたいという
先生の戦略かもしれない、と
少し意地悪くも考えました。
…ん〜〜とね〜〜…。
タイトルはともかくとして、事前に上映作品の"予告"で、気になる作品の一つとして関心を持っていたので、ある種の期待を込めての鑑賞をしてまいりました。
ストーリーとしては、人気のある一漫画家さんの半自叙伝をストーリーとして、それを映画化した物語である…ということです。
とある田舎街で暮らしていた一少女が、廃品で捨てられていた雑誌に目が留まり、そこで漫画という世界に出会い、心を惹かれたがために漫画家を目指すが、単純ではない道を進みながら、恩師との出会いも含めての成長過程を描いた作品となっています。
ここからは…、私の感想に入ります。
鑑賞し、観終わってから…自身が率直に感じたのは、"ひょっとして…予告編の編集にまんまと騙されたかなぁ〜?"でした。
但し…!、…作品の内容的なところには何ら問題は無いです。
半自叙伝らしく一人の人間の生き様が描かれています。笑うシーンもあれば涙するシーンもモチあります。ホント、一人の人間の生き様がオモシロ可笑しく、涙ありでストーリーが進んでいくだけです。
まぁ、おススメかと言われれば…、その人の受け取り方次第にはなるンではないかと思っちゃいます♪
以上…ここまでお読みくださりありがとうでした♪
P.S. 永野芽郁はやはりカワイイし、前作同様?ストーリーの中で成長していく役は永野芽郁にとってハマり役だと感じました。
めちゃくちゃ薄っぺらい
漫画家を夢見る主人公と熱血指導の絵画教師との師弟関係を描くスポ根系映画。 本年度ベスト級。
永野芽郁さんよりも大泉洋さん&見上愛さん目当て。
実話ベースという事だけど、大泉洋さん演じる絵画教師の日高の強烈なキャラクターが凄かった!
あんなに豪快で厳しくても根底には愛情とユーモアを湛えた教師が本当にいた事に驚く。
その事実に0.5点を加点。
大泉洋さんのコミカルで時に真剣な表情の使い分けが絶妙。
永野芽郁さん。
最近の騒動がどうしても頭の片隅をかすめ完全に役柄に没入できなかった感じ(汗)
でも彼女が演じる漫画家を目指す林が日高との出会いを通して才能を開花させていく感じが良かった。
美大を目指す中、絵を描くことの喜びや苦しみ、そして何よりも情熱を学んでいく姿は自分の人生には無い姿で情けない(笑)
日高の「描け!描け!描けー!」の叫び声。
観終わった後も脳内ループ(笑)
単なるスパルタ指導ではなく、林の内に眠る可能性を引き出そうとする日高の熱意だったのかも。
リンゴとバナナに感動の涙が出るシーンは全くの予想外(笑)
日高の厳しさの中にある隠された優しさが垣間見える笑顔が印象に残る。
言葉ではなく表情で多くを語る大泉洋さんの演技が良かった。
普段、自分は漫画を読まないけど、締め切りのプレッシャーのある漫画家は、ある意味自分のペースで描き上げる画家以上に過酷な仕事と感じた。
日高先生の様な熱意と厳しさの中に愛情とユーモアを兼ね備えた教師に自分は出会うことが出来なかったのは残念です( ´∀`)
感動して泣いてしまった
漫画も昔読んでいて面白くて一気読みした記憶があり、この作品が好きだった。永野芽郁が漫画の原作を裏切らないお調子者で完璧じゃ無い人間味がある役を上手く演じていて引き込まれた。大泉洋の純粋な一本気の強い先生役がとても良かった。笑えて楽しい会話が繰り広げられるがそれと同じくらい苦しかったりセンチメンタルな気持ちにもなった。自分の半生、懐かしい思い出、切ない思い出を作品にするってすごく大変なことだったのでは無いかと思う。エンドロールに脚本を担当した人の名前が出てきて、そこにも原作者の名前があり、脚本も書けるって凄い才能だなと思った。先生におんぶされるシーン、本当は漫画家になりたいんだと伝えるシーン、先生が大学にやってくるシーン…他いろんな場面で涙が出た。観終わった後、自分も過去の思い出を大切にしようと、自分を大切にしようと思えた。観て良かった。
映像、主演2人の演技、伝えたいこと、完璧。
とにかく映像が綺麗、宮崎と聞いて、どうなることかと思ったけれど素晴らしい。美術を題材としていて、その素養のある作者が自身の経験を存分に発揮している。それは構成されるシーンの全てからわかる。また主演2人の演技がすばらしい。宮崎と言う難しい地方のリアリティをよくもまあ、あれだけリアリティを持って表現できたものだと思う。時代設定が僕らの幼かった頃で、純文学的な昔ではなく、現代がモチーフで、原作がコミカルな漫画だから、表現が新しくて、少し戸惑いがあるのは否めないが、それを全て覆い尽くすほどに素晴らしい2人の演技。スーッと中に入って、中で一員としてみているんじゃないかと言うくらいに自然。主人公が気取らず、普通の日常を過ごすところは共感するし、こんな威嚇的な先生、いたよなーって思うけれど、こだわりのキャスティングが最高すぎる。怖くもあり、真っ直ぐで、思いやりのある、そんな日高先生、魅力てきだし、自然と涙が溢れた。現代をモチーフにした素晴らしい作品。こう言う作品が増えてくれることを願うばかり。観て良かったです。
全125件中、1~20件目を表示
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