「90分地獄のフライトは上々のエンタメ・フライト」フライト・リスク 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
90分地獄のフライトは上々のエンタメ・フライト
メル・ギブソン“監督”は『ブレイブハート』でオスカーを受賞し、『ハクソー・リッジ』でもノミネート。『パッション』や『アポカリプト』も意欲作。一級作品を手掛けるイメージなので、B級設定風の本作は意外。色々あったし、お金に困っていたのかな…?
監督引き受けた理由は脚本の面白さ。確かにB級風だけど、その設定を存分に活かしている。
ある事件の重要参考人ウィンストンをアラスカからNYへフライト輸送する事になった保安官補のマドリン。
パイロットと言う男ダリルが現れ、離陸。約1時間半のフライト。
上空1万メートルに差し掛かった頃、ウィンストンが座席の下からパイロット・ライセンスを発見。顔写真と今操縦席に座っている男は別人。
この男は何者…? ウィンストンはマドリンに知らせようとするが…。
まずツッコミ所。
身分証明もしないで操縦席に座った人物を信用するんかい。
普通だったら用心の為に証人の隣の席に座る。が、うるさいからと手錠だけして一人後部席に座らせ、自分はヘッドフォンをして自称パイロットの男とお喋り。まあ、あっちが勝手に喋ってるだけだけど。知らせようとするウィンストンに気付かず、挙げ句うるさい!…と。
おいおいおい…。事が事だったら重大案件。
でも、そこを目を瞑らないと話は始まらない。マドリンがウィンストンの隣に座ってたら30分で終わる話。
マドリンは会話の内容からダリルに不信感を抱く。
あちらも察し、突然襲い来る。
殴打され、意識朦朧のマドリン。うっすらダリルとウィンストンの会話。
どうやらダリルは雇われ、ウィンストンを始末に来たようだ。
意識不明のフリをし、反撃。ダリルを気絶させ、手錠で拘束する。
一難去ってまた一難。パイロットが居ない。
管制塔と連絡が取れ、無線越しに教えて貰って操縦するマドリン。自動操縦に切り替え、何とか安定。
しかし、難は続く。ウィンストン輸送は極秘。知っているのは僅か。内通者がいる…?
目を覚ますダリル。罵詈雑言で挑発。
マドリンの過去に触れる。一度現場から外され、今回現場復帰。何があった…?
目的地近付いた頃、鋭利物を手に入れたダリルは拘束を外そうとする…。
ほとんど機内のワン・シチュエーション。90分のリアルタイム。見る側も“4人目”の乗員のような感覚。
外部とのやり取りも無線のみ。
内通者は同僚か、署長か。会話の内容から探れ。
頼もしい管制官のハッサン。ちょっとナンパな男だけど、指示もエールも的確。全て終わってから会うのをドキドキ楽しみにするマドリン。
そんなやり取り、マドリンとウィンストンの掛け合いもユーモラス。
そこでサスペンスと存在感を放つのが、悪役を堂々楽しげに演じるマーク・ウォールバーグ。
口の悪さ、しつこさは天下一品。禿げ頭もインパクト。
ミシェル・ドッカリーとトファー・グレイスも奮闘。
着陸寸前、またまた襲い掛かるダリル。ウィンストンが重傷に。
目的地が見えてきた。お約束の燃料切れ。果たして無事着陸出来るか…?
展開やテンポは早く、スリルも充分。
ダリルの死に様は天晴れ!
無事着陸。着陸後のウィンストン襲撃で内通者も判明。
お待ちかね、ハッサンはどんなナイスガイ?
尺も短く見易く、サクッとスカッと。90分地獄のフライトは上々のエンタメ・フライト。
メル・ギブソン監督作のベストでは勿論ないけど、なかなか面白かった。
