劇場公開日 2025年6月20日

「◇イングランドイズマイン」28年後... 私の右手は左利きさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 ◇イングランドイズマイン

2025年7月21日
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鑑賞方法:映画館

興奮

 EUから離脱したイギリスという国には退廃を曝け出してカルチャーに変える潔さがよく似合います。数多くのロックスターを輩出した土壌には、過度に発達した「本音と建前」そして「皮肉」、民主主義を唱えながら歴然と存在を続ける「階級社会」、イングランド🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿にはカウンターカルチャーを育む滋養と気候に恵まれているようです。

 #28日後... の続編として企画されたこの作品では、ゾンビ(凶暴化ウイルス感染者)映画のホラー性よりも、少年の成長と父母の存在という普遍的道徳的テーマを強く感じました。ダニー・ボイル監督もいつまでも#トレインスポッティング (やんちゃ)してられないということかもしれません。

 物語前半で、廃墟としたイギリス本土へと出掛ける父子。その道中で父はゾンビを殺す方法を息子に教えます。動きの鈍いモノから走って追いかけてくるモノ、大ボス的な強いヤツに至るまで、対処術、殺傷方法をこと細かに伝授します。考え過ぎかもしれないですが、移民排斥の隠喩のようにさえ感じてしまいます。

 後半は、病の母の治癒の為に医師を探し求める旅路です。母はゾンビの赤ん坊を生かすことを教えながら、命の尊さを伝えようとしています。わかりやすい母性です。

 背景は緑豊かなイングランドの自然風景。人間の愚かさをアイロニーを込めて描こうとする屈折したホラー世界がそこにありました。イングランドイズマイン。

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私の右手は左利き
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