「死とどう向き合うか」28年後... ふぇるさんの映画レビュー(感想・評価)
死とどう向き合うか
まさか28日後の新作が観られるとは思いもしなかった。しかも一作目と同じ、ボイル&ガーランドによる新作だ。
28日後ではゾンビでは無く、狂気の感染者という設定になっている。
土葬文化が主体の欧米で作られるゾンビ物だが、
火葬文化の日本ではイマイチ現実味がないだろう。
しかし現実に新型コロナが発生し、ロックダウンを経験した後だと身近なものに感じる様になってしまった。
この様なジャンルは今後さらにリアルになっていくことだろう。
本作ではよくある親しい人の感染などは無い。
親しい人は骨抜きでほぼ即死だ。
そんな描写や大量の感染者に襲われる様な内容を期待すると少し期待外れかもしれない。
吐血ブシャーもあまり無い。
だが前二作ですでにやっている事なので無くても良いだろう。
感染の恐怖というものは幾度とやっているし、現実にコロナで世界中の人が経験したことなのでその辺に重点を置かなかったことは良い判断だと思う。
その代わりに本作では死とどう向き合うかというのに重点を置いている。
本土へ行く事は儀式のようで初めての狩のようでもある。
狩りで仕留めた動物は苦しませずに息の根を止めるという。
癌を患った母親を安楽死させると言うのもこれ以上苦しませないための手段だろう。
生前が感染者であろうが死後は弔うという考えは、感染者であろうが苦しませずに仕留めると言う事なのかもしれない。
その教訓を得たスパイクは序盤では首や身体を狙って矢を放っていたが、終盤ではヘッドショットを決めている。
彼が感染者を「殺す」から「解放」へ意識が変化したのかもしれない。
今後親しい人が感染者になるかもしれない。そうした際にいかに苦しませずに仕留める覚悟を母親の死から学んだのだろう。
本作にはガーランドお得意のグロテスクなシーンもあるがボイルの映像美もあり、それらを中途半端では無く両極端にする事で全体的にメリハリがついている。
iPhoneを使ったチープなバレットタイムも色々と試そうとしていて面白い。
28日後や28週後はなんと無く低予算でインディーズな感じがしていたが、本作は予算が増えた事で映像や音楽はリッチになり、世界観はさらに広がり、28日後シリーズの質をこれまで以上に押し上げている。
更なる続編の公開まで指折り数えて待っていよう。
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