「28年後を描く意味はあったのだろうか?」28年後... tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
28年後を描く意味はあったのだろうか?
前作(28週間後…)で、保菌者が大陸に渡ったので、世界中で感染爆発が起こったに違いないと思っていたのだが、イギリスだけが感染の封じ込めに失敗し、封鎖されているという冒頭の設定には驚かされた。ただし、韓国の「新感染半島」のような前例があるので、特に新鮮味は感じられない。
安全地帯に住む生存者たちが、異形の者がウヨウヨいる外の世界に出かける様子は、どことなく「進撃の巨人」を彷彿とさせるし、サイズこそ違えど、感染者が「巨人」のように見えるところなどにも、既視感が否めない。
もしも、本作に、新機軸があるとしたら、発症から28年が経過して、感染者がどのように「進化」したのかということになるだろう。
その点、巨大化し、強靭化した感染者である「アルファ」が出てきて、集団の指揮を執ったり、主人公たちを追いかけてきたりといった展開はあるのだが、もっと、「感染者が『知能』を持ち、独自の『文明』を生み出している」みたいな、大胆な進化があっても良かったのではないかと思えてならない。
あるいは、感染者が出産した子供は感染していないということになっていたが、むしろ、感染者が生殖能力を持つようになり、数を増やしているという設定にした方が、余程面白くなったのではないかと思えるのである。
さらには、寝ている息子を襲おうとした感染者を素手で撃退した母親は、もしかしたら、新しい形の(進化した)感染者なのかもしれないと予想したのだが、蓋を開けてみれば「単なる」がん患者だったということで、何だか肩透かしを食らってしまった。
物語の鍵を握る謎の医師にしても、もっともらしく「メメント・モリ」を説くものの、どうしてあの場所で、あんなことをしながら、28年間も生き延びて来られたのかがよく分からず、せっかくのレイフ・ファインズの無駄遣いとしか思えない。
こんなことだったら、別に28ヶ月後でもよかったはずで、「わざわざ28年後を描く意味はあったのだろうか?」という疑問しか残らなかった。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。