「(ひかえめに言って)ノンフィクション作品だとしたら「愚作」、フィクション作品だとしても「駄作」。」木の上の軍隊 街のカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
(ひかえめに言って)ノンフィクション作品だとしたら「愚作」、フィクション作品だとしても「駄作」。
序盤の爆撃や砲撃のスペクタクルシーンにはやや迫力があり、沖縄戦の悲惨さを描いた一連の映画の一つなのかと思ったが、中盤以降の継戦の目的を見失い、棄兵となったものの「自決」する勇気もなく援軍を待つだけの日々は、ただただ冗長で退屈に思えた。
なお、二人劇となってからの「短気」で「粗暴」なだけの少尉と、それに逆らうことも出来ない気弱な新兵との生活は、たとえるなら小説『山椒魚』(井伏鱒二著)に出てくる「山椒魚」と「蛙」との関係、強制された‘共依存’とでもいえるものに見えた。
「2年間米軍の残飯を喰って生き抜いた日本兵」のサバイバル物語を描いたにせよ、なぜか米軍から継続的・安定的に廃棄されるサビ一つない「缶詰」、腐敗もせずハエもたかっていない‘美味そうな’「残飯」にリアリティはなく、また住民たちとの希薄な関係性-密告されることも、協力することもない不自然さも目についた。
唯一、ラストちかくの海岸の砂浜で海へと続く新兵の足跡のシーンは一瞬、『馬鹿が戦車でやってくる』(山田洋次監督・ハナ肇主演 )へのオマージュかと期待させたが、そうでもなく...。
最後に、歯にキヌきせずひと言で言えば「あえて製作される必要のなかった映画」だったと思う。ただ一つ、セイジュン役の山田裕貴の熱演によって、かろうじて「最低点数」にはとどめた。
ここは映画サイトなので賛否両論あってもいいと思う。最近、共感しなければいけないような同調圧力を感じてしまう。個人の感想なんだから思ったことを書いてもいいと思う。『山椒魚』みたいだと意見は『黒い雨』を観てそう感じた(共依存)で喜劇的に見せたかったのもしれない。関係者か知らないけど一つもレビューを書いてない人は映画の宣伝かと思ってしまう。
このレビューに関しては表現のし方がやや尊大に見えるけども、実在のモデルの方に対しての侮蔑的な意見と言うよりは演出や小道具的な見せ方が気に入らない、っていう感想だと捉えましたよ