「タイトルなし(ネタバレ)」木の上の軍隊 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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太平洋戦争末期。
沖縄では、対米先頭に備えて広大な飛行場を建設中、また上陸に備えて民間人も竹やりでの攻撃訓練を行っていた。
そんな中、米軍が上陸。
激戦がはじまる。
山下(堤真一)率いる隊は、山下と沖縄出身の安慶名(山田裕貴)を残して全滅してしまう。
彼らふたりだけがかろうじて生き延びたのは、ガジュマルの木の上に退却したからだ。
敵兵は木の下を行き来する。
援軍を待つふたりは、そのまま樹上での生活が続けられることとなる・・・
といった内容。
沖縄戦初期にふたりだけ樹上に残されたふたりの兵士。
限定空間での物語になる前に、米軍上陸前から描き、そこでの登場人物が後々に活かされる作劇を採っている。
これが成功している。
短いながらも凄まじい戦闘が描かれ、タイトルが出るタイミングもすこぶる良い。
山田裕貴、堤真一の両名、肉体を絞りに絞っての渾身の演技。
脇の面々も良い。
戦争が終わったことを知らずに、そのまま2年もの間、樹上生活を続けたふたり。
描き方によっては、哀しくも可笑しい話になるやもしれず。
だが、主題は後半、明確になってくる。
山田裕貴演じる兵士・安慶名が堤真一演じる宮崎出身の上官・山下に言う。
「この戦争で島は変わってしまった。本土に故郷があるあなたにはわからないだろうが、わたしはこの島で生きるしかないのです」と。
国破れて山河あり。
いや、山河もなし・・・だ。
この島で生きるしかない・・・のだ。
その慟哭が胸を突く。
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