「二度と元には戻れない」木の上の軍隊 大吉さんの映画レビュー(感想・評価)
二度と元には戻れない
80年前も、そして今も世界のどこかで、
二度と元には戻れなくても、
帰る場所がなくなっても、
帰りたかった人たち、
帰ることができなかった人たちへ。
帰ろう。
井上ひさし原案の舞台が原作ということで、主役2人の会話劇かと思っていたら、冒頭の、木の上の軍隊になるまでが思いのほかよかった。ハリウッドの戦争映画のように手や足が吹き飛んだり、脳みそや内臓が飛び散ったりしなくても、今まで普通に喋っていた相手が次の瞬間には生命を失っている、戦争の恐ろしさが充分に伝わってくる。
いつからか日本の戦争映画は最初から最後まで悲愴感に包まれて左右の人たちがそれぞれ喜ぶか怒るかどっちかの映画ばかりになってきたが、今作はリバイバル公開中のアニメの傑作「この世界の片隅に」と同じように、兵隊だけでない戦時中の市井の人たちの日常が描かれている。
山田裕貴の少しとぼけたというか天性の明るさというか不思議な魅力のおかげで、悲しい内容だが悲しくなり過ぎず、いや明るさゆえにより悲しみが増している。
「国宝」の吉沢亮と横浜流星も良かったが、山田裕貴と堤真一の競演も観るべき名演技だと思う。
終戦80年、今年の夏は戦争映画の公開が例年より多いが、もっと早く、夏になる前から公開した方がよいのではないか。欧州では毎年のようにホロコースト関連の映画が作られているようだが、日本でももっとあの時代を描いた作品(さまざまな視点からの)が製作公開されることを願っています。
ただ海に行って、
畑仕事して、
おかあにごはんあげて、
時々お前と遊ぶ。
最高じゃないか。
沖縄の美しい海、空、森。
二度と元には戻れないかもしれない。
それでも
帰ろう。
そして生きよう。
こんにちは。
山田君の作品はあまり追っていなかったので、ここまで出来る方だったとは驚きました(失礼)
当たり前のこと、簡単なこと、そんな普通の日常を奪った戦争は本当に憎いしかなしいです。
今年も又、子に戦争の悲惨さを伝える8月になりました。
映画や本で学ぶ事、伝える事も意味があると信じたいです。
大吉さん、共感コメントありがとうございました。2人が生き残ったのは分かっているのに、あの海に消えた足跡を見て上官と同じく絶望的な気持ちになりました。セイジュンは色んな事を思って、でも帰ることにしたんですね。
山田さんの表情良かったです。
共感ありがとうございます!
>ハリウッドの戦争映画のように手や足が吹き飛んだり、脳みそや内臓が飛び散ったりしなくても、今まで普通に喋っていた相手が次の瞬間には生命を失っている、戦争の恐ろしさが充分に伝わってくる。
おっしゃる通りです。戦争表現がスプラッターばっかりだと、そもそもエグイのが嫌いな人には観てもらえませんし、残酷な部分だけが記憶に残って作品の本質を伝えるのに失敗すると思います。今年は本作に近い表現方法を使った戦争映画が多数観られますので、自分的にはこの時代を生きていて得した気分になっています。
ただ海に行って、
畑仕事して、
おかあにごはんあげて、
時々お前と遊ぶ。
最高じゃないか。
この言葉を聞いて、泣きそうになりました。
もともとセイジュンは素朴で気の良いのんきな子のようで、そんな子から、小さい、満ち足りた幸せすら奪ったのが戦争だと思いました。
共感ありがとうございます。
序盤、ヘルメットの上から撃ち抜かれるシーン、銃弾の性能すら差が出てるのかと絶望的な気分になりました。プライベートライアンを意識してると思いましたね。
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