「従来のステレオタイプな沖縄戦映画からの脱却」木の上の軍隊 samanさんの映画レビュー(感想・評価)
従来のステレオタイプな沖縄戦映画からの脱却
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沖縄県の先行公開で鑑賞し、原作ありきではありますが、若い沖縄県の監督が沖縄戦の作品を撮るという中で注目していたのですが、局地的(伊江島)な舞台という所から沖縄戦争映画というよりは戦地を舞台にした人間ドラマという作品でした。
但し、根本的な反戦メッセージは残されており戦争(特に地上戦)において何が失われていくのかは強く表現していると思います。
個人的には終盤の安慶名と上官の山下のセリフの掛け合いが秀逸で、言い争うシーンに関してはどちらの言い分も理解でき、やり場のない怒りと悲しみを感じ取る事が出来ました。
最後の安慶名が兵士としての装備を外しながら海へ向かっているシーンは「木の上の軍隊」から沖縄の青年、安慶名に戻っていく流れとして素晴らしいシーンだったと思います。
沖縄の綺麗な景色や往来の日本軍が犯した罪などは描かず、終始島内での話にした事でステレオタイプな沖縄戦映画から脱却出来ており、戦争の負の面を描きながらも、焦点を当てない事により「生きる」というテーマを鮮明にしています。
最後に当作品撮影にあたり、ロケ地である伊江島から戦没者20名相当の遺骨が見つかったとの事ですので、ご冥福をお祈りすると共に安慶名が作品内で言った「もう元には戻らない」を噛みしめながら戦後はまだ終わっていない事を考えていけたらと思います。
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