「井上ひさし原案、こまつ座の作品。多くの人に観てほしい」木の上の軍隊 あささんの映画レビュー(感想・評価)
井上ひさし原案、こまつ座の作品。多くの人に観てほしい
井上ひさしの作品は戦争を題材に親子愛や家族愛を描くものが多い。
悲しくてやり切れない。だけど知っておくべきことだし、後世に伝えていかなくてはいけない。
こまつ座の舞台が映画化となると、これは是非とも観ておきたいと思い、子どもと一緒に観に行った。
本作は太平洋戦争末期の1945年の沖縄県が舞台。
宮崎から派兵された山下一雄少尉と沖縄出身の新兵・安慶名セイジュンの2人がガジュマルの木の上に身を潜め、飢えや死への恐怖に怯えながら、戦争が終結したことも知らずに2年もの間、木の上で孤独な戦いを続けていた。
お国のために任務を全うしようとする厳格な山下と、島や友達を愛する純粋で優しいセイジュン。親子ほどの歳の差で、何もかも真逆。そんな2人が共に、生きるか死ぬかの孤独な戦いを2年続けて、いつしか2人の間には強固な絆が生まれた。
山下はセイジュンと自身の息子とを重ねていたのだろう。
父を早く亡くしたセイジュンにとっても山下は父のような
存在になっていたのだ。
普通に生きることの幸せを改めて痛感する。
特にラストのシーンは感動的だ。
“むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく
まじめなことをだらしなく、だらしないことをまっすぐに、まっすぐなことをひかえめに”
井上ひさしの信条が本作にも表れていた。
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