「戦争の無意味さを実感するために」木の上の軍隊 Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争の無意味さを実感するために
太平洋戦争末期の沖縄戦における伊江島が舞台。追い詰められた二人の兵士、宮崎出身の山下少尉と地元出身の安慶名はガジュマルの大木の上に身を隠すが、いつの間にか戦争が終わって2年の月日が過ぎていた……。
一定の年齢以上の人々であれば、戦争終結を知らずに身を隠していたと言えば、横井・小野田などという名前が浮かぶかもしれない。
しかし、本作を観ながらずっと感じていたのは、そんな個人のエピソードではなく、人を人でなくしてしまう戦争の恐ろしさと愚かさ、そして戦争の無意味さということだけだ。
もとは舞台作品の映画化。限定的な場面で少数のキャストが演じることで、その人間性と彼らの関係性が色濃く描かれる。
山下と安慶名の関係は父の息子のようであり、愛しむ気持ちもありながら、近すぎるがゆえに反目しあったりもする。それはあたかも二人の出身地である本土と沖縄の関係のようでもある。
多くのことばは要らない。軍事費増額などと言っている連中を筆頭に、一人でも多くの人々が本作を鑑賞すべし。そして、こんな無意味なことを二度と繰り返すことのないように、しっかりと胸に刻んでおくべきだ。
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