「帰ろう、すぐそこにある戦場だった故郷に」木の上の軍隊 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
帰ろう、すぐそこにある戦場だった故郷に
太平洋戦争の沖縄で、終戦を知らず大木の上で二年間隠れ続けた二人の兵士を描く異色の戦争映画です。何のビジョンもなくただ徹底抗戦を叫ぶだけの無能な帝国軍人と、地元沖縄で徴発されながらもひたすら朴訥で心優しい青年が、木の上と言う異常な閉鎖空間で暮らし続ける設定が面白いです。また、二人を米兵から隠してくれる大樹のビジュアルが素晴らしいです。食料調達のため米兵が捨てた食糧や物資を漁る内に、軍人が本来の目的を忘れてただの消費者に堕落してしまう一方で、家族も親友も戦火で無くした上に故郷はすぐ目の前にあるのに帰れない青年の葛藤の対比が、何ともやるせません。とは言え、お話しの展開が全体的にゆるくいろんなエピソードはあるのに、イマイチまとまりを欠く感じです。また、時間の経過による軍人の心境の変化が分かりにくいのと、二人の関係が終始一方的なのが気になりました。それでも、三線の流れる空想の実家で母や親友と再会する夢から醒めた時の、青年の『帰りたい』と慟哭するシーンは、思わずもらい泣きしました。役者では、青年役の山田裕貴がダントツの素晴らしい演技でした。話し方や視線のやり方など、静かな受けの演技から、望郷の念が爆発する動の演技への切り替えが上手いなぁと思いました。
シネマディクトさん、フォローありがとうございます。
こちらからもフォローバックさせていただきますね!
山田裕貴は素晴らしかったですね。
なんだかのんきな島の子だが生きる術に長けていて、素朴で皇国の教育に染まっていない分、感覚的に人として生き物として正しい判断をする新兵を好演していました。嫌味がなく自然で、葛藤や苦しみ、飾り気のない心中がストレートに伝わってきたし、セイジュンが「沖縄」そのものを体現しているようにも見えました。
こんばんは。
コメントありがとうございます。
私もシネマディクトさんが仰る様に
"展開がゆるく、いろんなエピソードはあるのにイマイチまとまりを欠く"
"軍人の心境の変化がわかりにくい"とのご指摘、同じ様に思いました。
ただ、2人が、生きる事を諦めずに、帰る道を選んでくれた事に安堵しましたし、ありがとうと思いました。
今の幸せな日本があるのは、戦争で戦って亡くなった方々の"おかげ"だ。という表現が好きではありません。
戦死された方々の"犠牲"があって今の幸せがあるのだと思います。
ここは美化してはいけないのではないかと思います。
まだ80年前の出来事。
知らない事が多すぎて自分が不甲斐ないです。
子もこれから本格的に歴史の勉強をはじめる歳になります。
私も一緒に学びたい。
これからでも取り返せると信じています。
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