「戦争を身近に感じさせる」木の上の軍隊 みる子さんの映画レビュー(感想・評価)
戦争を身近に感じさせる
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これまで様々な戦争映画、ドラマを観てきたが、なぜだろう。これほどわがことのように感じたことはなかった。
俳優たちの熱演のせいか、カメラワーク
のせいか、遠く離れた沖縄の島が自分の故郷のように見えてきて、怖くなった。
島から出たことがない山田裕貴演じるセイジュンが特にいい。感情移入してしまい、遠方に派兵されたわけではなく、故郷の地でそのまま兵士となった人間の悲しみが伝わってきた。
セイジュンや与那嶺には目の前の米軍がいるだけで、世界大戦の中の日本軍がどう、なんて考えていない。
ただ故郷がまず味方の軍に奪われ、敵に奪われ、自分も人を殺して違う人間になってしまったから、もう「帰れない」という原初的な悲しみが非常に刺さってきた。
堤真一演じる上官のほうは兵士の経験が長く意地もあるから、戦い続けるのは自然だ。むしろセイジュンのほうがよく頑張ったと思う。終戦を知って初めて帰りたいと泣き喚いた姿に、上官がいるから無理してきたことがわかった。確かに彼は木の上の軍隊で戦ってきたことが。1人だったら投降していたのではないか。
こうしている今もガザやウクライナではひどい目に遭っている人がいる。同時に他人事と思えてしまう自分がいる。
両親が戦争を知っている年代の私たちはまだしも、祖父母ですら戦争を知らない若い人たちに見てほしい映画だと空いた客席を見ながら思った。
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