劇場公開日 2025年7月25日

「知らなかった人達」木の上の軍隊 豆之介さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0知らなかった人達

2025年7月25日
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鑑賞方法:映画館

1945年6月23日。日本軍沖縄最高司令官の自決。だがその際に武装解除の命令はされなかった。だから日本軍は戦い続けた。最も全軍に通達する手段があったかはまた別の話になるが。

この物語は終戦を知らず二年間、二人でガジュマルの樹の上で過ごした人達の実話を元にしている。安慶名のモデルとなった佐次田さんが生前「2年が10年のようだった」と語る言葉が重い。沖縄戦の中で人々はどのようにして終戦を知ったのかは調べていないが、二人のようにある程度の時間、ガマや森で息をひそめていた方々がいたのではないかと思ってしまう。

安慶名役、山田裕貴さんの瞳の何と見事なことか。笑い、戸惑い、涙し、自己を失う様子をセリフがない時でも大いに語る。対する山下役の堤真一さん。軍人としての崩さない姿勢を背中で表す。その堤さんがラスト、懸命に「安慶名」とだけ言葉を繰り返しながら、すっかり猫背になり砂に足を取られつつ海の中にいる安慶名に近づくシーンが強烈だった。走り寄るとか駆け寄るのではなく、まるで安慶名にすがりに行くように見えた。この時の二人がもう銃を持っていないことも印象的だ。距離を取って安慶名に声を向ける山下の瞳。今までの上官気質はどこに行ったのか。さすがだった。

与那嶺役の津波竜斗さん、良かったよ!

豆之介
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