シンシン SING SINGのレビュー・感想・評価
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最高
傑作
実際にシンシン刑務所に収監されていた人が多数出演しているドラマ映画。
映像・音楽・演技はどれも最高。主演のコールマン・ドミンゴは、"ビール・ストリートの恋人たち"でしか見たことなかったけど、ここまでの演技ができる俳優だとは思ってなかった。声質がとにかく良い。クラレンス・マクリンをはじめ、本人役として出演した多数の元収監者たちもプロに引けを取らない名演を披露。
でも個人的に1番光ってたのはポール・レイシーだと思う。"サウンド・オブ・メタル"効果もあると思うけど彼がいるだけで場にどことない重みが加わるのがすごい。
仮釈放審査の面接での面接官の悪意に満ちた質問に、収監者に悪者のレッテルを貼る世間の風潮が垣間見えて嫌悪感を感じたけど、もしかしたら自分もそんな目で見てしまっているかもしれないことを自覚させられた気もする。
RTAのメンバー全員で人生最高の瞬間を思い返して共有するシーンが最高だった。多分あそこでみんなが語った出来事は実際に彼らに起きたことだろうし、それを語るみんなの顔が幸せそうで胸打たれる。中でもカーマインの公園での奥さんとの話が本当に胸に響いた。
クソほど報われない刑務所の中でも必死に希望を見出して闘うディヴァイン・Gは、"ショーシャンクの空に"のアンディにも重なる。他にも似てる要素をたくさん持った作品だけど、断然今作の方が自分の好みに合った。
ミニシアターで観るのに最適な映画。
典型的な刑務所モノというか、最初反発してた元ギャングのヤツも徐々に...
掴めなかった・・
事実に対する敬意とあたたかさ
リアルに描ききった感動の物語
実話ベースで勉強になる
予告から感動の物語を期待して、公開初日に鑑賞してきました。最終上映回でしたが、観客は中高年中心にそれなりに入っていたようです。
ストーリーは、ニューヨークのシンシン刑務所に無実の罪で収監されたディヴァインGが、所内で収監者更生プログラムとして行われている「舞台演劇」に参加する中で出会った仲間たち、とりわけ遅れて仲間入りした気性の荒いディヴァイン・アイと交流していく姿を描くとういもの。
刑務所内でこのような更生プログラムが行われているとは知らず、しかも実話を題材にした作品ということで、とても勉強になりました。特に、参加者たちが過去を振り返るかのように語るシーンは、自身を見つめ直しながら自己開示をしていくようで、セラピーとしての役割があるのではないかと思います。あわせて、収監者たちを指導する立場の人の重要性を感じます。
全体的に登場人物の心情に寄り添いながら物語を進め、丁寧に描いているのは伝わってきます。それだけに、大きな感動で涙が止まらないかと思いきや、作品世界にイマイチ浸れず、期待していたほどの感動が得られなかったのは残念です。この手の作品は、登場人物にどれだけ感情移入できるかで、味わいが大きく変わってくるのですが、作品に浸れなかったことで、目の前の出来事を客観的にただ眺めるだけになってしまい、共感的に味わえず、感動につながりませんでした。
というのも、仕事帰りの鑑賞で、先に「プロフェッショナル」を観た後、調子にのって本作をハシゴ鑑賞し、完全に集中力が落ちていたからです。作品は何も悪くなく、全て自分が悪いです。しっかり覚醒している時に改めて鑑賞したいと思います。
主演はコールマン・ドミンゴで、細やかな心情の変化が伝わる演技がよかったです。脇を固めるのは、クラレンス・マクリン、ショーン・サン・ホセ、ポール・レイシーら。元収監者らが本人役として多数出演していることが、説得力を高めています。
Sweet Land of Liberty
本作の主人公は「第2級殺人」と余罪で「シンシン刑務所」に収監されている
『ジョン・“ディヴァイン・G”・ウィットフィールド(コールマン・ドミンゴ)』。
彼は無実を訴えているのだが、それはさておき
まず驚くのは刑務所の場所。
敷地内には鉄道が通り、
ハドソン川は目の前。
警備レベルは「maximum」とされているものの、
世間はすぐ身近にあり、
郷愁を掻き立てられる環境は
囚人たちにとっては辛いものだろう
もっとも、それが刑罰の一部か?
映画ではその立地が繰り返し映される。
次いで所内の自由度の高さ。
制限はつくものの、居房内は多くの私物で埋まっている。
ただ、受刑者服の着用は定められているらしく、
冒頭に舞台の上で拍手喝采を受けた役者たちが
袖から戻って来た後で皆同じ服に着替えるシーンは、
改めてその場所の特異さを認識させる。
所内で行われている更生プログラムの一つが、
「RTA(Rehabilitation Through the Arts)」で、
演劇のプロが指導する「舞台演劇」は
立ち上がってから三十年近い歴史があり、
受刑者たちの意識改善や再犯率の低下に効果があるのだと言う。
エンドロールでは
顔のアップと役名が流され、
数名のプロを除けば
ほとんどが「himself」と示され
本プログラムを受けた元収監者たちが
出演しているのが理解できる流れとなっている。
公演の企画、脚本や演出、はては劇団員の募集や入団後の面倒まで
『ディヴァイン・G』が「RTA」に深くコミットしている理由は良く判らない。
自身の再審や刑期の短縮になにがしかの効果があるとの思いは、
無いといったら嘘になるだろう。
一方で、他の囚人の恩赦に尽力するなど、生来の人柄の良さはありそう。
劇団の中での反目、
団員の不慮の死、
幾つもの障害を乗り越え、
新たな演目を世に出すまでの過程が映画の主線。
とは言え、プロの演出家が演技論により
囚人たちに課す基本練習の場面では、
正直、眠くなってしまった。
並行し、主人公の(囚人としての)葛藤も描かれるが、
共にありきたりの内容で、
舞台設定の妙は生かせていない。
囚人間で結ばれる友情には感銘を受けはするものの。
登場人物同様、本編では
実際に行われた舞台の模様も写し出される。
ボカシが入るわけでもなく、
彼等は堂々と作品の中で顔をさらす。
このあたりの感覚も日本とは大いに異なり、
作品への感情移入が薄くなる一要因かもしれない。
思い込み怖い
限界点はみんなある。今度は俺が寄り添う番だ。
涙が溢れては流し、溢れては流し…。ゔぅ…っとなる瞬間が幾度もありました。細かな心の描写が刹那的で感動的で。それを感じ取るのが好きな方におすすめ。
演劇に取り組むシーンは犯罪を犯した者だということを忘れてしまうほどに、純粋で無垢。好きなことに夢中になっている少年たちのようだ。皆の瞳がキラキラと輝いており、ひとりひとりがアクターとして、そこに存在していた。そんな姿を見ただけで、なんて美しいんだろうかとなんだか泣けてしまった。
優秀で完璧に見える人にだって、限界点というボーダーラインが存在していて、壊れてしまうこともある。そう見える人だって一人の人間だ。決して強くはないのだ。誇りやプライドでそんな自分を守っているのだ。「今までやってきたことってなんだったんだ」「プロセス?そんなもんクソだ!」誇りをズタズタにされ、大切な仲間も予期せぬ出来事で失い、自暴自棄になった。自分や周りの環境が嫌になった。しかし、そんな自分を救ってくれたのは、かつて自分が救った相手だった。人を思って行動した無償の愛は、必ず自分のもとに還ってくる、という可視化。自分に救われたとも言えるかもしれない。
その相手は、演劇に入りたての頃はトゲトゲしていて反抗的な態度で周りを困らせることもあった。演劇を馬鹿にすることもあった。けれど、そんな彼をまわりの仲間とともに否定せずに受け入れた。どんなふうに伝えれば乗り気になってくれるかをいつも考えて寄り添っていた。そんな二人のあいだには、いつしか強い友情と絆がうまれていた。彼の横にそっと座り、無言で寄り添う姿がとてもよかった。そしてラストシーンもたまらない展開だった。
塀がない、時間の拘束もない、どこまでも広い空の下。好きなところにいつでも行ける。まっすぐな道を車で駆け抜ける。「自由」を風で浴びる。相棒の愛車で。君という相棒と二人で。
怒り
怒り
どう見ても厄介そうなディヴァイン・アイが気づかされる感情、それが怒り
表現するのが簡単だと演出家がいう、その怒りに満ちていたディヴァイン・アイが次第に変わっていく
このRTAの意義を彼を通して分かりやすく見せてくれる
そして、冤罪で投獄されたディヴァインG
彼は穏やかな存在だった
ディヴァイン・アイを良い方に導く存在だった
けれど、友を失い、道が閉ざされ、怒り、失望、悲しみに支配されてしまう
その彼に手を差し伸べるのが、穏やかさを取り戻したディヴァイン・アイ
罪を犯すこと、更生すること、それを語ることは難しい
人間の本質は変わらないとは思う
ただ、なにかの要因で負の方向に向かい、怒りなどの負の感情に支配されてしまったのなら、そこは変えられるのだと本作を通じて思う
ディヴァインGがどれくらいの時を経たのか、冤罪をはらせたのかは分からない
けれど、彼の出獄の日、かつての怒りに満ちていた時とは別人のようなディヴァイン・アイがいる
失意の底に落ちたディヴァインGも晴れやかな表情で再会する
この映画自体はフィクションでもあるけれど、ディヴァインGとディヴァイン・アイと演出家以外で、as himselfの出演者である彼らたちはノンフィクション
ここで描かれたことは決して理想論ではないはず
人の可能性、だ
車の窓を開け、風を受けるディヴァインGを見ながらそんな気持ちでラストを迎えた
一見地味だが地味にいい
映画館サイトの上映スケジュールの写真1枚だけの情報でなんとなく興味を惹かれ...。
ポスターも見た記憶がなく、タイトルも知らなかったので、事前情報ゼロでしたが、写真の主演らしいおっさんの面構えが期待を感じさせました
(後から考えたら、アカデミー賞のノミニーにいらっしゃったような記憶が薄っすらある...ような)
近県で4〜5館しか演ってなくて、すぐに見られなくなりそうな気がしたので、とりあえず映画館へGO!
直感当たって、いい映画でした。TOHO CHINEMAS ◯◯◯、ナイスプレイ!!
ある刑務所内の限られた場所(中庭、食堂、独房、会議室、展望室...たぶん全部で10カ所くらい?)だけで進行する会話劇。絵的にもストーリー的にも地味な映画ですが、そこがいい。
後から紹介記事を見たら実話ベースの物語だったようですね。事前情報がなかったので、序盤は場面の状況がよく分からず、テーマを理解しようと自然と物語に引き込まれた感じでした。話が進むにつれ、登場人物(刑務所なんで当然、全員服役中の犯罪者)の境遇が少しずつわかって行き...という流れ
大どんでん返し、みたいなことはなく、地味に行き着くラストにジワッと来ます。そしてラストの後エンドロールを眺めていると、さらにジワジワっと来ます
鑑賞後、エンドロールで出てくる、RTA(Rehabilitation Through the Arts)について調べたくなります
ジワる本物感
実話がベースになっているということ以外いっさいの前知識なしで鑑賞に臨んだ。
エンドロールを見ると一部を除いたほとんどがご本人役だったようで、脚本上それほど荒々しいやり取りがある場面も無く、刑務所の中という事を忘れるくらいフラットなテンションで話が進んでいくが、後から考えるとこの人達って過去に強盗だったり、人を殺めたり、ドラッグの常習者だったんだと考えるとジワジワとよくわからない感動の様なものが湧き上がってきた。
せっかく元RTAメンバーが沢山いるので、劇中劇はもう少ししっかりと見せてくれても良かったのではと思った。
本物の役者のコールマン・ドミンゴの顔が一番怖かったけど、それなりにカタルシスを感じることができる作品(ややショーシャンク風味)。
実話‼️
ニューヨークのシン刑務所を舞台に、更生プログラムである演劇に一生懸命取り組む受刑者たちの刑務所内での日常と、仲間たちとの友情を描いた作品‼️今作は刑務所映画の新たな秀作ですね‼️出所した主人公を、先に出所していた仲間の一人が迎えてくれるラストは、「ショーシャンクの空に」みたいで印象的でした‼️海賊やロビン・フッド、フレディ・クルーガーまで出てくる彼らの演目をフルで観てみたいですね‼️そして今作は実話ベースで、本人役でたくさんの元受刑者の皆さんが出演されており、実際の演劇の映像が流れたりするのも良かったと思います‼️
人生も物語も悲劇の方が多い
希望
罪を犯した人に対する正しい接し方
刑務所が舞台の作品では、厳しい監視下の元での刑務生活の厳しさが描かれがちだが、この映画だとそういう場面は最初に少しあるだけで、基本は学園生活っぽかった。
収監者更生プログラムの舞台演劇は部活動みたい。
見た目はゴツい人だらけで『ROOKIES』みたいな設定だが、みんな常識人ばかり。
どんな理由で刑務所に入ったかはあまり描かれないが、刑務所がちゃんと更生する場所として機能していることがわかる。
そんな中、新入部員のディヴァイン・アイが加入後、悪態つきまくってチームの和を乱すわけだが、この映画を観ていて思ったのは、問題を起こす人間に対し、簡単に見放さすのではなく、粘り強く寄り添うことの重要性。
主人公・ディヴァインGが利他的行動をとることによって、後に絶望的状況に陥ったディヴァインG自身を救うことになる作りは見事。
後半の「話、聞こうか?」に感動。
あとこの映画を観て感じたのは、冤罪の罪深さ。
人格者で模範的だった人物が、狂人になってしまうぐらいの絶望感を与えているわけで、冤罪を受けた苦しみは、他人が想像できるレベルを遥かに超えたものがあると痛感。
それなのに、冤罪を必死に真剣に訴えている人間に対し、「演技?」という台詞を聞いて、刑務所より世間の方がよっぽど冷たく感じた。
エンドロールがhimselfだらけで、そういう仕掛けがあったと知らなかったのでびっくり。
シェイクスピアも喜んでるはず
娯楽ではなく記録映画として。
2025年になってからワン・イーボー主演映画以降、何故かどうにも見に行こうかな、と思える作品に出会えず気がつけば約3か月ぶりの劇場鑑賞となりましたが。。
レビューが高評価だったので見てみました。
娯楽作品とかエンターテイメントとして見るにはこの作品にその要素は無いんですが、
「刑務所の中ではこういった演劇による更生プログラムがあること」
は知らなかったので、それを知ることが出来て良かったです。
ただ登場人物はおじさん達がメインなので、画像としての華やかさに欠けてしまい。それのせいなのか?土曜日初回で鑑賞人数合計6〜7人?という客席の寂しさを伴ってしまいましたが。。(これは多分客席ががっつり埋まるタイプの映画ではない。。)
でも久しぶりにのんびりとポップコーン片手に静かなひと時を過ごせたのと、
主人公的ないかにも優等生タイプの模範囚が後半に挫折を味わい、前半はいかにも問題児タイプの囚人が後半では逆に頼れる相棒に変わっていく、その様が見れて、とても人間らしいドラマを演出していると思いました。
いくら取り組んでも報われないなら心が壊れそうになるし、でもそんな自暴自棄な自分でも寄り添ってくれる人がいたら少しづつ立ち直れる。前半と後半で、支える人が入れ替わっていて、
「いつまでも優等生じゃいられない」けど
「いつまでも悪党のままでいる奴ばかりじゃない」
というメッセージを受け取りました。
基本的には概ね淡々と物語が進み、やや上映時間が長く感じてしまうタイプの映画なので、娯楽を求めるのではなく、ゆっくりした人間ドラマをじっくり味わう時間のある方にオススメします。
久しぶりの映画館でした〜
更生する必要のない者がRTA
シンシン SING SING
多くの収監者達がどんな犯罪をしたのかよりも、犯した事の改悛や家族への郷愁が中心なり、刑務所と言う怖い嫌悪感よりも、
正に更生所なのだと言うことがシンシン刑務所で展開された。
だからディヴァインGは、
無実の罪で収監された男として設定されていることも分かり難く、冤罪主張者なのに大人しく穏やな出来過ぎ君過ぎる。
それ故に、減刑や仮釈放にならなかったショックにより演劇を辞めた行為が理解し難かった。
それを考えると、
友情よりも刑務所拘置期間は、Gにとって何だったのかを考えさせられる。
それにしても、あの演劇指導者が指導する黙想や集団行動療法にロールプレイなどのファシリテーションは素晴らしかった。
出演者の演技も極悪人が素直な人格に豹変し、科人とは思えない雰囲気がRTAの効果となんだろう。
エンディングまで観てね。
RTA(Rehabilitation Through the Arts、リハビリテーション・スルー・ジ・アーツ)は、
1996年にアメリカのニューヨーク州にあるシンシン刑務所で始まりました。
犯罪者の再犯率を下げること、収監者に人間性や希望を取り戻させることを目指している。
芸術を通じて、参加者が自己認識を深め、他者との協力を学び、社会復帰に向けた準備を整えるのが主な目標。
( ^ω^ )
シンシン SING SING
米ニューヨークで最も厳重なセキュリティが施されたシンシン刑務所で行われている収監者更生プログラムの舞台演劇を題材に、無実の罪で収監された男と収監者たちとの友情を描いた実話を映画化。
主演を、「ラスティン ワシントンの『あの日』を作った男」でアカデミー賞にノミネートされたコールマン・ドミンゴが務めた。
無実の罪で収監された男、ディヴァインGは、刑務所内更生プログラムである「舞台演劇」のグループに所属し、収監者仲間たちと日々演劇に取り組むことで、わずかながらの生きる希望を見いだしていた。
そんなある日、刑務所で一番の悪人として恐れられている男、通称ディヴァイン・アイことクラレンス・マクリンが演劇グループに参加することに。
そんな中で演劇グループは、次の公演に向けた新たな演目の準備に取り掛かるが……。
主人公ディヴァインGを演じたコールマン・ドミンゴは、第97回アカデミー主演男優賞にノミネートされ、「ラスティン ワシントンの『あの日』を作った男」に続いて2度目の主演男優賞ノミネートを果たした。
そのほかのキャストには、シンシン刑務所の元収監者で、舞台演劇プログラムの卒業生及び関係者である俳優たちが多数参加している。
監督は「ザ・ボーダーライン 合衆国国境警備隊」などの作品を手がけてきたグレッグ・クウェダー。
シンシン SING SING
Sing Sing
2023/アメリカ
獄中の更生プログラムとしての舞台演劇の練習過程…という筋立ては地...
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