「感情を取り戻す」シンシン SING SING 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
感情を取り戻す
ニューヨーク郊外のシンシン刑務所(「ティファニーで朝食を」にも出てくる)で実際に行われている受刑者更生プログラム(RTA)を基にドラマ化。準主役をはじめ出演者のほとんどが実際のRTA経験者ということに、まず驚く。
映像も、手持ちカメラを多用したドキュメンタリータッチ。参加者それぞれが心情を語るワークショップの場面は、真に迫るものがある。希望のない閉鎖された空間でも、演じることを通じて、人間としての感情を取り戻そうとするRTAのテーマ(=この作品のテーマ)が理解できる。
ただ、内省的な面に寄りすぎた感じで、音楽の単調さと相まって、ドラマとしての平板さは否めない。舞台づくりに関わる葛藤や喜び、主人公の出獄の経緯など、もう少し観せてほしかった。
エンドロールで、現実に行われた舞台の模様が映されていて、喜劇らしく楽しげだったが、本編でもそれぐらい弾けるところがあってもよかった。
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