「終わり良ければ全てが良かったはず」近畿地方のある場所について 赤足さんの映画レビュー(感想・評価)
終わり良ければ全てが良かったはず
原作ファンとして期待と不安を抱えて臨んだが、結果は賛否が分かれる仕上がりだった。
白石監督によれば、脚本構想は単行本発売前の2023年8月より前に始まり、日本テレビが権利取得後、
・全編フェイクドキュメンタリー案
・全編劇映画案
・原作同様の「本当にあった話」風の別物語案などを検討。
最終的には全国公開規模に合わせ、スター主演を活かしつつ違和感を避けるため劇映画を軸にし、その中でPOV映像(Point of View 登場人物の視点から撮影された映像)を挿入する“融合型”を選んだという。幅広い層に届けつつ、原作の空気を残す狙いだった。
前半は原作の選り抜きエピソードをモキュメンタリー調で描き、「これだ!」と思わせる空気感と恐怖が際立ち、この部分は高く評価できる。
一方で後半は劇映画寄りにシフトし、骨太なリアリティが薄れた印象も否めない。謎を一点に集約する展開は分かりやすさの反面、恐怖や余韻を削ぎ、前半との落差を感じた。
R指定なしという間口の広さは理解できるが、「世界に通じるホラー」という触れ込みはやや大きく出過ぎた印象。『カルト』や『サユリ』的なノリを好む人には楽しめる一方、『ノロイ』のような骨太なガチ感を求めた層には物足りなさが残る。原作通りに突き抜けていれば邦画ホラーの代表作になり得たのでは、という惜しさも拭えない。
結果として⋯
・原作ファン→原作の世界観を活かした白石作品「ノロイ」を期待したが、後半の展開に落胆
・白石監督ファン→「コワすぎシリーズ」や「カルト」系の路線に慣れているので納得
・原作&白石作品未見層→怖さとエンタメ性の両方で楽しむor楽しめない
この組み合わせを“良い”と感じるか、“悪い”と感じるかで評価が分かれる作品になった。
そして今回も、触手描写を欠かさない白石監督。それを「お約束」と楽しむか、「またか」と捉えるかも、観客の評価を左右しそうだ。
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