「誠実さゆえのミスマッチ」近畿地方のある場所について コブさんの映画レビュー(感想・評価)
誠実さゆえのミスマッチ
原作を読んだうえで鑑賞。
原作の要素を取り込みつつ映画的な盛り上がりを作ろうという意図は伝わるが、全体としては噛み合いきれていない。
前半の映像資料パートは、よく指摘されるとおりとても出来が良い。モキュメンタリーはリアリティラインが命だが、本作は当時の映像媒体に合わせた画質やアスペクト比など細部へのこだわりが効いており、陳腐化を避けている。
一方で後半パートは、原作よりも分かりやすい“落とし所”を用意しており、その点は原作以上に評価したい。
ただし、前半を原作に忠実に再現したぶん、ラストとのミスマッチが際立った。そもそも原作段階で「集めた情報同士の関係が薄い」と感じていたが、映画では結末を大きく改変したことで、いっそう辻褄の合わなさが目立つ。特に“悪霊となった親子”のくだりは明らかに説明が不足しており、何を示したかったのか掴みにくく、観客の考察に過度に依存している印象は否めなかった。
原作リスペクトは重要だが、映画化に際しては変えるべきところを躊躇なく変える大胆さも必要だと思う。原作の強みとリスペクトは活かしつつも、前提として一本の映画としての整合とリズムを優先してほしかった。
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