「ネタバレない方が良いけど、思ってたのと違うという人は「札」を拡散してそう」近畿地方のある場所について Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
ネタバレない方が良いけど、思ってたのと違うという人は「札」を拡散してそう
2025.8.9 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(103分、G)
原作は背筋の同名小説
失踪した上司を追う雑誌編集者とライターを描いたミステリー&ホラー映画
監督は白石晃士
脚本は大石哲也&白石晃士
物語は、都内某所にある文詠社の資料室にて、オカルト雑誌「超・不思議マガジン」の編集長・佐山(夙川アトム)に異変が起こる様子が描かれて始まる
部下の編集者の小沢(赤楚衛二)に「今度の特集はすごいぞ」と息巻いていたが、その翌日に彼は姿を消してしまった
そこで小沢はライターとして関わっている千紘(菅野美穂)を編集部に呼び出して、編集長失踪の経緯を説明することになった
佐山が最後に取り組んでいた特集の原稿はパソコンごと行方不明で、彼が集めていた膨大な資料だけがその場に残されていた
二人は、映像コンテンツや関連する記事を確認しながら、団地の奇妙な遊び、少女失踪事件、お台場のチェーンメールなどの映像を見ていく
さらに佐山自身が取材していた大学生・目黒(のせりん)の記録も確かめていく
彼の友人が失踪したというもので、さらに彼は自分のアパートのベランダにて奇妙な赤い服の女を目撃したという
円生寺の住職・塚田(ドン・クサイ)にお祓いを依頼するものの、「これは私では祓えない」と言われ、「動物を飼え」とアドバイスを受けていた
彼はまだ存命で、あの日からずっと動物を飼い続けていて、千紘たちも現在の彼とコンタクトを取ることになったのである
映画は、様々な資料をもとに「近畿地方に何かあるかも」というテイストでミステリーが進んでいくものの、具体的に「この地で行われたことが原因で」というところまではいかない
架空の村あたりを設定すれば良いと思うのだが、映画内の説明だと、昔話に原因があって、そのゆかりの土地にてある事件が起きたみたいな感じになっている
その一つが首吊り館において小学生が自殺したもので、その母親が書き残した例のメモが全国的に広がりを見せた、ということになっている
だが、それがなぜ広がったのかは濁されている部分があり、それが例の教団が管理していた「石」と関係しているように展開されていく
おそらくは、昔話の伝説の石が見つかって教団に確保されるものの、その石は人が管理できるものではなく、突如姿を消してしまった
その恩恵を受けたい人の一人が自殺した小学生の母・高見洋子(末冨真由)なのだろう
彼女が教団にいたのかはわからないが、何らかの方法で息子を取り戻したいと考えていて、その時に「石」に出会ったのかもしれない(教祖もしくはビデオのナレーションだったりして)
そして、千紘もその存在を知って入信したものの、石が消えたために「その石を探すためにオカルト記者に近づいた」のでは無いかと考えている
佐山に近づくものの勘づかれて逃げられてしまい、そこで小沢を利用することになった
そして、ようやく目的のものを手に入れた、というオチなのでは無いだろうか
いずれにせよ、ミステリーなのに肝心の部分は想像してねで終わるし、そこから派生した例の札の件も放置で終わっている
あの札があったことで亡くした人を手に入れられるという迷信が流布されたようだが、それが全国的に拡散されることで何が変わったのかもわからない
このあたりをきちんと説明しないとミステリーとは呼べないので、結局のところオカルトクリーチャー系ホラーというジャンルになってしまう
あのクリーチャーは地球上の存在ではないと思うので、昔話の時代に到来した「何か」だと思うのだが、そのあたりもざっくりとした感じになっているので、何だかなあと思ってしまった
