「ジャスティンとフェイス検事の、それぞれの良心と正義」陪審員2番 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャスティンとフェイス検事の、それぞれの良心と正義
着想がスゴイ。
94歳のクリント・イーストウッド、このテーマをチョイスした、監督としての「眼」がスゴイ。
ジャスティンが陪審員に選ばれなかったら事件と自分を結びつけることもなく、何も知らずに平穏無事な生活を続けていただろうに。不運な事故だったのに。
そして被告人は、人々が服役を望むような素行の悪い元悪党。
だからと言って、無実の男に罪を被せていいのだろうか。
良心と、自身と家族の未来(だけでなく現在も)の二択、弁護士にも勧められ保身を選択するが、常に良心とのせめぎあい。それでつい、矛盾する発言をしてしまう。だが矛先が自分に向かないように立ち回らなければならない。葛藤と真実が露見するかもなスリルが生々しく、見ている自分はドキドキして吐きそう。私がジャスティンなら真犯人は自分では、と思った時点で「私かも」とゲロってしまうと思う。こんなストレス耐えられません。
やがてジャスティンはサイスが無実である決定的なことを思い出す。
二択を迫られるのは、ジャスティンだけでない。キルブルー検事もだ。
陪審員ひとりひとりの背景を、印象的な一言や一場面で説明(大変上手い)、その発言をするに至る人となりに説得力を持たせる。
ジャスティンの1年前のあの夜の記憶が、審議の進行とともに「そういえば」と蘇る
無駄が全くなくスリリングで、人の心にぐいぐい迫ってくる脚本。
2時間スクリーンにくぎ付けでした、素晴らしい。
「クライ・マッチョ」で、クリント・イーストウッドも自己陶酔老人監督になっちゃったのかと思っていましたが、そうではなかった。汚名挽回、面目躍如。
あれは1本くらいご褒美映画作ってもいいじゃん、ということだったと考えます。
そして、ご自身が出演しない映画が良いようです。
地味な映画なので大規模な公開には向かないですが、ミニシアター等で公開したらいいのに。または、
ワーナー作品なんだからシネコンの朝一の回とかに入れられるんじゃないかと思うんですけどね。
配信だけではほんとうにもったいない映画です。
ラストシーン、キルブルー検事長は、ジャスティンに司法取引を持ち掛けに来たと思う。
自首前提。さもなくばサイスに控訴させて再捜査になりますが。さあ、どっちを選ぶ?
キルブルー検事のファーストネーム、faith には、信仰とか、信頼、信用、誠実、という意味があります。
かばこ様
お邪魔します。
>「クライ・マッチョ」で、クリント・イーストウッドも自己陶酔老人監督になっちゃったのかと思っていましたが、そうではなかった。汚名挽回、面目躍如。
「クライ・マッチョ」は観てませんが、そんな映画なんですね。今作の完成度の高さを考えれば、面目躍如は間違いないですね!
赤ヒゲでした。
コメントありがとうございます。
本当に無駄のない作りで、人間の良心について問いかけてくる良作でした。映画館で公開しなかったのがもったいない。
こういう作品に興行成績が伴ってくるようになってほしいなと思いました。
コメントありがとうございます。
商業主義と拝金主義そして興行収入・・・の映画界ですね。
クリント・イーストウッド監督へのリスペクトとしても、
ミニシアターで上映してほしかったですね。
ヨーロッパでは普通に興行として成功したみたいです。
一番最初にU-NEXTって珍しいですね。
キルブルー検事のファーストネームまで、意味があるのですか?
彼女に良心が目覚める描写も深いですね。
今までの出世主義路線から、生き方を変えるんでしょうね。




