「「失って初めて気づく」の逆で表す大人の映画」陪審員2番 maruさんの映画レビュー(感想・評価)
「失って初めて気づく」の逆で表す大人の映画
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最後のシーンは鳥肌立ちました。
主人公のジャスティンは、アルコール依存症を克服し、流産を乗り越えて我が子を授かり、自分がひき逃げを立証するかもしれない不安要素のSUVも売れる算段が立ち安心を、検事のアリソンは検事長を「手に入れた」。
彼らそれぞれの人生の生きがいや目的を手中に納めた瞬間、手に入れた瞬間、人としてどう生きるべきかという方向性に気づいた。それが最後二人が向かい合うシーン。
「本当に大切なものは、失って初めて気づく」とよく言うが、その逆をいく「全てを手に入れて初めて、本当に大切なものに気づく」パターン。
ラストシーンの後、きっと、「このままではダメ。明らかにすべきよ」という話し合いが行われる……のかもしれない。ただ、「このことは私たちだけの秘密にしましょう」という話し合いかもしれない。
陪審員制度に鋭く切り込む内容で、痛快。社会派。陪審員に元刑事がいることに気づけなかったことに、裁判官は確認しなかったあなた(弁護士)が悪いと言い放つ。これは、立証責任を“正しく”果たさない検察が悪いというメタファーにも思える。「判決は決まりましたか?」と陪審員に尋ねるシーンでは、全員一致でなければ評決不能という制度に、「じゃ裁判官いらなくない?」「裁判官っていつからMC扱いなん?」というツッコミを入れているような。
毎度毎度、襟を正して見させてくれる監督の作品は、まだまだ見たい。次回作も楽しみです!
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