「本作で引退とも言われているイーストウッド御大が僕らに託したもの」陪審員2番 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本作で引退とも言われているイーストウッド御大が僕らに託したもの

2024年12月22日
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彼がいかにドラマと真摯に向き合い、それ描くことに長けているかということを再認識させられるような力作。さながら現代版『十二人の怒れる男』ならぬ"唯一人の悩める(秘密を抱えた)男"。
90年代まではよく作られていたものの、現代では(実話を基にした一部の黒人冤罪モノなど除いて)めっきり作られなくなったタイプの法廷スリラー(サスペンス、ミステリー)で、今最も目が離せない役者ニコラス・ホルトが道徳観や倫理観そのジレンマに苛まれ葛藤するさまを体現する、ポスタービジュアルのまま重苦しく鬱々とした作品。
大丈夫か?良心の呵責。自分が生きる上で大事にしている指標・行動原理に「後ろ暗いことはしない(後ろ髪を引かれることはしない)」という想いがあるけど、本作はそのよく描かれた脚本とストーリーテリングの巧みさも相俟って、息の詰まるような自分(私)事になっていく。正義と真実の天秤に揺れ動く圧巻の110分で、ひたすれ疲れる鑑賞体験。
共演にはこの裁判に自身の進退という政治的側面がかかっている検事トニ・コレットに、どうやらただ者ではなさそうなJ・K・シモンズ、そして主人公の妻ゾーイ・ドゥイッチなど。これだけ科学捜査など進んでいる現代でも様々な要素が絡み合って十分起こり得る冤罪に、"確証バイアス"確証がないのに協力的な目撃者の老人など司法制度の抜け穴も。

FAITH
ハイリスク妊婦
"Too many maybes are reasonable doubts."
LIFE ROSE ON(ライフ・ゴーズ・オンと掛けている)
司法制度に乾杯、完璧じゃないが無いよりマシ
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IN GOD WE TRUST
「疲れた顔ね」「嵐が去ったな」

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とぽとぽ