リライトのレビュー・感想・評価
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未来人の演技が棒読みすぎて困ったが、ストーリーはお見事!
いわゆる転生ものだが、一味違う内容でその辺りは面白かった。なので終盤の展開は「え、そういうこと?」って感じで本当に自分も楽しく見れた。あれは逆転生というべきか。
ま、すごく内容としては良かったと思う。
気になったのは主役の羽生結弦風の男の子。
マジでクソ下手くその棒読みでずっと不快だった。どうやらジャニーズらしいが
せっかくこんな良い作品なのにこんな大根役者を主役にするなよって感じ。
ジャニーズはたくさん良い俳優がいるから別に嫌いじゃないがこういう演技不足な人は自社のファン向けのコンテンツのオリジナルドラマなどを制作するなりして、そこでの経験を積ませるなどしてからちゃんとこういった商業映画に出させるべきだ。
内容が良かっただけにあの未来人だけはマジで残念すぎた。
無限リープ。
300年後からやってきた高校生の保彦(阿達慶)がある理由から困ってしまい、騒動を巻き起こし現在の高校生を困らせるというお話です。
感動とまでは言いませんが面白い脚本だったように思います。でも流石に33組というのは…。一組くらいは出会わしそうですが。
最後に親友とまでは言えない友恵(橋本愛)に作品を譲った人間性を含めて作家としての素養があったのは主人公の美雪(池田エライザ)一人だけでしたね。
保彦と友恵はお幸せに。
真犯人が関係者を一堂に集めて名探偵気どりで自らの優越性を明かしてマウントをとる映画(笑)
冒頭からクソ寒い茶番を見せられて、
「おいおいなんだこれ、ひでーな」
と思わざるを得なかったのだが、
あとから、「あれは茶番でした」と
ちゃんと種明かしがありまして(笑)。
じゃあ、……しょうがないね!
早回しのような気の乗らない演出も、
ステロタイプすぎる高校生のラブも、
棒読みのような未来人のダサ演技も、
みんな「実はわざとやってました」と。
そういわれちゃあ、納得するしかない。
いちおう、中盤で明かされるネタに向かって、さまざまな伏線が回収されながら収束していく過程で、前半戦で展開されていた「大林宣彦」的で「時をかける少女」的なドラマは、すべて(転校生側からすれば)「茶番」であり、必要に駆られての「小芝居」だったことが明かされる。
要するに、前半のノリがダサかったのには相応の「理由」があり、すべてはとある「ネタ」のために奉仕する本格ミステリマインドの強い作品であったことが明らかになるわけだ。
僕は、そういう「頭で考えた」「ネタ重視の」物語は大好物だし、実際、ネタばらしがあって以降は、普通に楽しんでみることができた。
とはいえ。
この話は、やっぱりどちらかというと「小説向け」で、「映像向け」ではないような気がする(ちなみに原作は未読です)。
テクストによる「情報」の形で読んだほうが、間違いなくお話の「真実味」は高く感じられたはずだ。小説だと、ネタにとって不都合な部分や余分な要素は適当にぼかして認識できる部分もあるし、言葉で説明された「現象」は「概念」として比較的無理のない形で受容され、消化されるからだ。
だが、それが「映像化」となると、若干話は変わって来る。
実際に起きていた様子を視覚的に認識しようとすると、33回のリピート要素も、33人の分裂要素も、ほぼ「コント」にしかならないからね。
映画として観ちゃうと、この物語の仕掛けについては「おいおい、そんなことあるわけねーだろ!!(笑)」という印象のほうが、どうしても強くなってしまう……。
松居大悟監督も脚本の上田誠もそこのところはよくわかっているから、明らかに同窓会終盤の「種明かし回想」に関しては、「笑い」に寄せて撮っている。
実際、僕の観た映画館では、夏祭りのシーンや学校中にカップルがいるシーンでは、くすくす笑いがあちこちで上がっていて、観客も明快に「コメディ」として観ている気配だった。
とくに、あの青汁王子みたいな顔した手配師の青年が、謝罪と絶望の叫びをあげたときに、劇場内では観客がどおおぉっと笑いで湧いたのでした。
(倉悠貴くんって『六人の嘘つきな大学生』の一ツ橋大生からはずいぶんイメージ変えてきてて偉いなあ。)
原作小説の場合は、たぶん「2人とか3人とか、そういうレヴェルじゃなくて……実は全員なんですよ(どやっ)」っていうのが、どういう書き方や叙述を用いているかは知らないが、本格ミステリのどんでん返しみたいにびしっと決まってるんだと思う。ある種の「絵空事のネタ」「気の利いた逆説」(チェスタトンみたいな)として機能していて、逆に「それくらい無謀なネタにしたからこそ、ぶっ飛んでて面白かった」ということなのだろう。
だがこれを映像でやると、「いやいやいやいやいや、そりゃさすがに無理あるよね???」という、素直で素朴な抵抗感がどうしても先立ってしまう。
だって、33人同時攻略だよ? 同じ学校の敷地や同じ神社の境内に33組がひしめき合ってるんだよ? しかもその片方は全部おんなじ転校生だ。
そりゃお互い見つかるだろうし、ぶつかるだろうし、必ず齟齬が生じる。
たった2人でそれを差配しきることなんて、実質できるわけがない。
だいたい、全員とハグしてお別れにまで持っていけるわけないじゃん。
転校生の保彦自身が「同じではなかった、一人ひとりまったく違う日々だった」みたいなことを言っていたが、性格も男の好みも全く異なる女子たち全員に、付き合っている気持ちにさせて、イチャコラ疑似恋愛を繰り広げたあげく、本を書くことを約束させて消えるって、どんだけハードル高いタスクだと思っているのか? まして後半戦は男の可能性もあるって話でクラス全員の男とデートして一緒に花火見てハグしてお別れしたっていうんでしょ? いやいや、そんなの絶対、無理だから。
それに転校生君、雰囲気はあるかもしれないけど、別に誰もが恋に落ちるほどにはかっこよくないし(笑)。なんか偽結弦君みたいな……あ、すいません。
未来人だからって、女子が全員「未来人であること自体に惹かれる」なんてこともないと思うし(『ドラえもん』のひみつ道具のような、誰にでもモテる未来の香水とか使ってたら話は別だけど)。
「僕たちのことを小説に書いてよ」と保彦に言われて全員が「書くね」って約束するのも、全員があの年になるまで保彦との思い出を口にしてないのも、お互いにやってたことがバレてないのも、すべてが到底「あり得ない」。
実写になると、どうしてもそういうリアリティのゆるさが猛烈に気になるようになる。
だから、実写化としては悪くはないけど、もう一押しかな、と思わざるを得ない。
きっとそもそも無理があったんだよね、この原作を映画化すること自体に。
(これがアニメだと意外とすんなり受け入れられた気がするんだけどね。あれはもともと絵空事のメディアだから)
― ― ― ―
尾道、転校生、ラベンダーの香り、理科実験室、地震、
尾見としのり、石田ひかり……。
本作には、明快な大林宣彦オマージュの要素が散見される。
とくに『時をかける少女』については、
ほぼ「元ネタ」に近いような扱いだ。
それはそれでいい。
でも、「リスペクト」かって言われると、
あんまりそんな感じもしないんだよね。
Wikiには、松居大悟が大林をリスペクト
してるって書いてあるけど本当だろうか?
大林映画に対する溢れるような共感とか、
独特のスタイルに向けての熱い憧憬とか、
そういう「リメイクする側の愛と執着」が
正直この映画からは感じられないんだよなあ。
むしろ斜に構えて、軽くバカにしている感じすらある。
型だけ踏襲しつつも、全体を醒めた目で見ている感じが否めない。
でも、松居大悟と上田誠は、大林青春映画の祖型をまるっと援用することで、33人全員が転校生とひとときのかけがえのない恋(もしくは友情)をはぐくむという「嘘くさい」ネタを「ありそうな」ネタにすげ替えようとしているわけじゃないですか。
「尾道で、転校生で、ラベンダーの香りなら、なんかもう恋に落ちちゃってもおかしくなくね?」みたいな(原作の舞台は静岡らしいから「わざわざ」大林に寄せてるわけだ)。
それならば、もう少しそれなりの敬意というか、大林の成果物を「利用」している申し訳なさみたいなのはにじみ出ててもいいのにな、と思ったのでした。
― ― ― ―
振り返って考えると、『リライト』って結構意地悪な話だと思う。
なにせ、宣伝文句のキーフレーズが「これは『私だけの物語』のはずだった」なわけで。
要するに、
「え? もしかして自分だけがヒロインだとか思ってました?? プークスクス」
「ひと夏の思い出にすがって生きてきたんすか?? ぷぷぷぷ、残念でした~~」
これって、そういう話だから。
ここで描かれるのは、一言でいえば、主人公属性の嘲弄である。
個々人にとっての「かけがえのない青春」をあざけり、
「自分だけの特別な思い出」を客体化、相対化し、
それに想いを込めて生きてきた10年の努力をあざ笑う。
なにせ、自分と同じ「特別なひと夏」を実はクラス全員が体験していたというだけではない。相手の転校生は、自分のことが好きでもないのに粉をかけてきて、未来に帰るという自身の目的のために「利用」していただけだったのだ。
まあまあひどい話である。
そのせいで、自分が10年後に死んでいることを知って荒れたやつもいたし、クラスの半分以上が文筆系の仕事を目指すという、ある種の歪みが生じている。
そんな20代の全てを捧げた職業選択のきっかけが、実は「茶番でした」って、むしろ知らないままのほうが良かったくらいの爆弾情報ではないか。
結局、未来へ本を残せた「33番目の少女」も、
本当にそれで幸せになれたのかどうか。
だって、人の書いた小説のリライトするんだよ??
それでプライドが保てるもんなのだろうか??
俺なら屈辱的すぎて耐えられないけどなあ。
人生を懸けて挑むチャレンジが、人の剽窃だとか。
そんなことに10年の年月をかけるのって、
マジでしんどくないか??
だいたい、そのことで「保彦に選ばれて」
一体どうなるというのか?
保彦が読む本が自分の「盗作」した本
だったとして、それって勝ちなの??
実際、ヴィランみたいな扱いで描かれてるけど、
少なくとも第三者的に見て、僕には、
「この本の著者の地位を勝ち取ること」にも、
保彦の一番であり続けようとすることにも、
ほとんど前向きな価値を見いだせない……。
要するに、この子は単純に、
いま生きている地獄から抜け出す
「方便」が欲しかったのだろう。
そして、池田エライザにだけは、
死んでも負けたくなかったのだ。
陰キャの文学少女として、
陽キャの文学少女にだけは。
図書館での二人のラストバトルでは、
両者がその背景に気づいたからこそ、
あの「本の交換」が成立したわけだ。
― ― ― ―
結局、転校生(未来人)の保彦くんって、
誰とも本気じゃなかったわけだし、
池田エライザだって、橋本愛だって、
彼からすれば、別にどうでもよかったんだよね。
ただ、帰れなくなってパニックになって、
手あたり次第に口説き倒して、
33番目のチャレンジでようやく未来へ帰った。
(追記:後から教えてもらったが、実は帰れていないらしい)
でも、その過程で、保彦がただ一人心を開き、
全幅の信頼を抱いて、人の流れの調整を任せ、
33回、苦楽を共にした「相棒」が一人だけいる。
そう、倉悠貴くん演じる、酒井茂だ。
言い換えれば、本作は「映画の主人公」の座を
池田エライザと橋本愛が奪い合いながら、
最後には倉悠貴が全部かっさらってゆく、
そういう話でもある。
なんといってもスタッフからの「愛され方」が違う。
保彦と池田エライザのシーンも、
保彦と橋本愛のシーンも、実際は
通り一遍で陳腐で学芸会テイストだが、
保彦と酒井茂のシーンだけは、
自然でコミカルで感情移入が可能だ。
それどころか、そこだけ濃密なBLの香りが漂う。
結局、この物語ではいろんなヒロインが、
自分だけのせつないひと夏の恋を夢見たが、
主演俳優が「絆」を結んでいた相手は、
ヒロイン役ではなくて、舞台監督だった。
「同じ」思い出を共有する33人と違って、
「特別な」思い出を手に入れたのは、
協力者である酒井茂ただひとりだった。
彼はヒロイン争奪戦の「真の勝者」なのである。
考えてみると、この映画のなかで起こっているほぼ「すべてのこと」が、酒井茂の綿密なプログラムに則って計画的に実行されている。
出逢いも、展開も、恋愛も、すべては、酒井茂の「演出」によるものだ。
茂はその後の各人の動向にも気を配っているし、荒れてしまった友人にも真摯に手を差し伸べている。
さらには、全員を集めての種明かし(同窓会)もまた、酒井茂のエゴによって開かれたものであり、彼が企画し、彼が人を集め、全員がそろったところで「過去の真実」を自ら露呈した。
その意味では、本作は「あやつり」テーマのミステリだということもできるし、「謝罪」の形でただ一人異なる夏を過ごした優越性をクラスメイトに知らしめて「マウント」をとる「真犯人=名探偵=酒井茂」の活躍を愛でる映画だとも言うことができそうだ。
最後に。
映画を観終わったあとに、
初めて予告編をネットで観たけど、
これ明らかなネタバレでしょ?
ここまで言っちゃったら
せっかくのネタが台無しだと思うんだけど……。
壮大な騙し
細かい設定は置いておいて、発想としての一クラス分の”嘘”を思いついた原作に先ずは敬意を表したい
池田イライザの日本人離れした顔立ちの、やっぱりの出自が今回も華を添えている作品である
アイデアの勝ちな出来映えであった
可もなく不可もなく
パラレルワールド的なものが、ドラマでも映画でも、流行っているように思うのですが⋯
結構、こんがらがるタイプでして⋯
33人目の橋本愛さんが未来を変えちゃったの?
変えちゃった未来としても、それがそうなる運命なの?とか考え出すとこんがらがるので⋯
まっ、別になんとなく皆んな幸せに生きてるようだから良いということで。
ただ、前田旺志郎さんのターンは、結構重い内容なのに描かれ方が軽すぎるのでは⋯。
いつも、観る前にスケジュールに打ち込むんですが、
こちら打ち込むのを忘れていて、
3日後に打ち込もうとして、何を観たかをすっかり忘れていた⋯汗
園田〜!
筒井康隆も大林宣彦も新しい世代にリライトされて、形を変えて次世代に受け継がれていくのをリアルで観ることができて、本当に良かったです。そもそも、食事でも芸術でも、文化は先人のアイデアをリライト×リライトされて私達に受け継がれていますから。
園田モテまくりですね。未来人は現代人よりも話が楽しいからですね。現代人は勉強になります。
園田は33人と同じことをして最後にはもううんざりしていたので、同じことをずっとやることは人間は苦手なんだろうな。だから、毎日同じことを繰り返す労働者が病むのも良く分かります。
美雪が可愛くではなくかっこよく描かれていて、好感をもちました。ラスト、美雪は10年前の自分に何と言ったのでしょうか?
私も10年後の自分からアドバイスが欲しいなあ。でもそれは不可能なので自分で未来を創造するしかありません。私達も未来だけはリライトできますよ。明日から。
渾身の一作
マルチバースも伏線回収も好きじゃないけど、やるなら、これくらいやって欲しいね。
良く練られてた。
マルチバースなのかなと思って観てたら、ロープウェイで「お好きなんですね」って言われたり、お祭りで「何回、商売の邪魔すんだよ」って言われたりで、同じことを何回も繰り返してるんだなって分かってくるの。
タイムリープを複数回やるから「一巡目の僕」「二巡目の僕」って感じで同一時間に複数人の僕が存在しちゃうパターンなんだね。
シーンでは、合唱でスピッツ歌うんだけど、クラスでやる合唱じゃねえぞってレベルでうまかった。役者さんは発声がきちんとしてるから、歌うまいんだよね。そこ調整かけずにガチで歌ってる感じだった。
旧校舎が崩れたときに池田エライザが迷わず走って家に戻って薬を飲むんだよね。ここの躊躇ない疾走感が良かった。
中学二年で、好きな人が下敷きになったかも知れないと思ったら、後先考えずにやるよね。
同窓会に行く前の日、池田エライザは旦那と話して、この旦那ちょっとウザい感じも個人的にはしてたんだけど、良いこと言って、エライザが「そっち行っていい?」って言うの良かった。もう14歳じゃないからね。
ストーリーは「なんで?」って転がってる間は面白いね。
ネタバラシが終わって「では動機は」ってなると、やっぱりちょっと弱いの。
大仕掛けに対して、十分な動機を持ってくるの難しいもんね。
ラストは「そりゃ、橋本愛を使うんなら、そうですよね」とは思ったな。
でも綺麗な落とし方で、ループも閉じて、良かったよ。
上田誠も松居大悟も、単独で作品つくると癖が強すぎるんだよね。
上田誠は仕掛けが鼻につくし、松居大悟は思わせぶりが「わかんねえよ」になるの。
でも、この作品は、両者の鼻につくところが消えて、うまくまとまってた。
エンディングがクリープハイプじゃないから癖が弱く思えたってのもあるかもだけど。
うまくまとまったのは、原作の良さもあるかなと思って、読んだのね。
映画脚本の方が、断然いいね。
原作は練ったアイデアを「それで?」「どうなる?」って叙述もうまいこと使いながら見せてるだけで、最後はまとめきれず放り投げて終わってるしね。良く、この原作を、映像化しようと思ったなと思うよ。
それを、綺麗にまとめてきた上田誠はすごい。けっこう根本的なところ変えてるからね。
それでも本作から、ギミックみたいなところを抜いたら何が残るかというと、あんまり残るものないね。
初恋に対する執着みたいなのはあるかな。
未来人なんか来なくたってさ、中学二年の夏休みで、一緒に夏祭りに行く人がいたら、自分が主人公の夏だよね。
それがしかし自分だけでなかったら……と気持ちは分かるけど、10年経ってたら、まあ、許すよ。
さりげなく良い役者さんも出ていて、上田誠・松居大悟の渾身の一作と思ったな。
また組んでやって欲しいと思うけど、良い原作がないと難しいかな。
幸せなのは、雨か? 雪か?
大林宣彦好きなので、尾美としのりさんが出てきた時点でアガるのですが、周到な伏線と幾段階もの種明かしが心地よい快作でした。初見では致命的な破綻もなく大きな不満はないのですが、処々にある説明不足すぎて観客の好意的解釈に頼る部分だけ減点し、95点評価としました。
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1. 序盤で油断させる「時かけ」オマージュ
上田誠・脚色で、尾美としのり(担任)と未来人が尾道に登場したら「時をかける少女」っぽい話なのねと予想する。大林作品を腐したくはないが、「時かけ」はあくまで中高生向けのジュブナイル小説が原作で、ハードSFに馴れた自分には歯ごたえがなかった。「未来人」て呼び名も、ダサすぎへん。なので自分は序盤、映画館に来た事を少し公開する程に、大いに油断させられた。面白いとの評判だったが、SF風味の恋愛映画なんだ...と。まだJK姿が通用しまくっている池田エライザ様の麗しさだけが救いだった。
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2. 二股?三股?疑惑にゆれる中盤
祭りの夜の酒井茂(倉悠貴)の耳打ちが怪しすぎて、彼も未来人なの?と見当違いな疑いは生じた。しかし、複数の級友がヒロインと同じ物語をしたためている事実を突きつけられ、未来人の二股?三股?疑惑が沸き起こり、酒井茂の関与疑惑も強まる。ただこの時点では、未来人の動機(目的)が検討つかない。女たらしなのかもしれないが、別れ際にヒロインを求めたキスへの戸惑いには、プラトニックな関係しかみられない。何なら、その戸惑い方に、未来人がヒロインの子孫なのかもしれないとミスリードさせられた。
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3. 同窓会の種明かし(第1段階)
同窓会前にも真相は小出しされるが、同窓会の終盤に決定的な種が明かされる。元の時代にもどれなくなった未来人は、この時代に来るキッカケとなった小説の著者に、小説と同じ体験をさせてループの完成を試みる。しかし、著者が誰か分からないまま、最終的に34名の級友と20日間デートを繰り返す。同窓会も、困り果てた未来人を助けるために協力した酒井茂が、懺悔の為に開いたものだった。
ループする度に、同じ20日間に未来人が溜まっていく画は(映画館なので控えめに)爆笑した。狭いお祭り会場に、34人の未来人がバッティングせずにデートを行っていていたとう設定が箍が外れすぎていて愉しい。この不可能過ぎるミッションを、リハーサルも無しに本番一発で実現させたのなら、酒井茂が凄腕過ぎる。実人生でもその能力を発揮して訂正して欲しい。
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4. 雨宮友恵の種明かし(第2段階)
最終盤、母校の図書館で雨宮友恵が真相の全貌を語る。友恵を未来人の運命の相手にしたくなかった酒井茂の恋心のせいで、友恵は34回目のループの相手となる。しかも、10年後の自分がタイムリープして来た事で、友恵はJKの時点で34股の事実も、自分が未来人の運命の相手である事も知っていた。ただ、だからこそヒロインの美雪の体験に激しく嫉妬する。人目を避けざる得なかった34回目のデートは、初期のデートに比べると地味すぎた。33回選ばれなかった理由も、自分がクラスで目立たない存在だったせいと思い込んでいた筈。
だから、雨宮友恵の10年は復讐の為の人生だった。未来を変えようと引き止めて、結婚までした未来人の事は本当に好きだったのだろう。ネグレクトした両親にも、馴染めなかったクラスにも頼れなかった友恵にとって、20日間デートした未来人は縋らざる得ない救世主だった。ただその為には、自分が小説を書いて300年後まで遺さなければいけない。他の誰にも先を越されてはならない。夫を誰にも渡せない。高校時代の淡い思い出に誘われてなんとなく執筆業に就いた級友とは覚悟が違う。恐らく、友恵は10年の殆どをその事に費やした筈。
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4. 初恋に青春にも復讐せずにいられる幸せ
初恋相手を夫にし、髪も染め派手な服をまとい、自信満々に同級生を小馬鹿にする友恵は、確かに幸せを掴めたのかもしれない。しかし、彼女は10年間、人生をちゃんと謳歌でたのか? 初恋の相手と添い遂げる事自体は悪くない。ただ、高校生の20日間デートしただけで、相手をどれだけ見極められるか? 実際、33人は未来人の思惑に気付かなかった。彼女が未来人を選んだのは、自分を軽んじた彼や同級生への復讐なのではないか。未来人との結婚も10年後の自分に予告されていた筈。ならば、彼女の人生に選択肢はなかった。寧ろ、出版を誰にも先んじられてはならない重圧もあった筈。しかも、10年を注いだ小説すらも、美雪の経験談をrewriteしたものに過ぎない。
一方、ヒロイン・美雪も、未来人との想い出に囚われて作家を目指し、10年後のタイムリミットにも執着はしていた。ただ、その間に他の作品も上梓し、仕事仲間と結婚した美雪の囚われ具合はかなり軽度。折角の淡い初恋は、できれば偽りだったと汚されたくはなかったろう。ただその逸話自体、数年後には笑い話にできる程度の浅い傷。初恋や青春の復讐に掛けた友恵の10年間に比べ、作家に成長した美雪の人生の方がはるかに羨ましい。
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5. 3人いた運命の人?
細い処で矛盾を感じたのが、結局誰が運命の人かって事。未来人は小説「Endless summer」を読んで現代に来て、自身が小説の主人公だと確信する。だから、小説の著者に同じ経験をさせてループを完成させねばと思う。そこで、1人目の増田亜由美(大関れいか)と小説通りのデートをした時に、「運命が決まっているから、デートも自然と小説通りになる」と感じるが、これって変じゃない? だって、亜由美告げたタイトルも違うし、結局彼女は小説を断念するので、運命の人じゃなさそうな気がする。ならば、運命じゃないから誘導せずとも小説通りになる訳がない。
ただ、辻褄を合わせようと好意的に解釈すれば、亜由美との経験で実際のデート現場を実体験した未来人は、2人目以降相手を誘導できるようになった可能性もある。つまり、亜由美は著者ではなかったが、小説通りのデートを本当の著者に経験さえる為の準備に必須だったという意味で「運命の人1」だったのかもしれない。
次の問題は、本当の著者が2人居る事。「Endless summer」の最終著者は雨宮友恵で間違いないが、34人目でデートできる場が限定されていた友恵は小説に書かれたデートを経験できていない。つまり、ヒロイン・美雪が書いた元ネタがなければ、未来人が読んだ小説は再現できない。って事は、ループの完成に美雪とのデートは必須であり、美雪も「運命の人2」だったと考えるべき筈。 つまり、亜由美と美雪と友恵の3人とも「Endless summer」の完成には必須であり、運命の人は3人いたのかもしれない。
「チェリー」!(追記あり)
複雑なストーリーのようなので観るかどうか迷ったのですが
とにかく池田エライザさんと橋本愛さんを観るということで
途中でスピッツの「チェリー」が流れてラッキーでした
ストーリーは無理があるとは思いつつもなんとなく理解したと思っていたのに最後でよく分からなくなって
いろんな解釈がありそうな気もします
友恵の夫があの人?
本を買いに来たのがあの人?
(自分の理解がある程度正しいとしての感想)
保彦を未来に帰さず自分と共に生きていく選択をしそのために行動したのは友恵だけ
美雪も「思い出」云々と言っているし10年後については満足しているよう
家庭に恵まれず今の生活から抜け出すためもあって保彦を選んだ?友恵だけど茂の気持ちを知っていたら違う結末もあったかも
茂としては保彦を未来に帰すために協力したのに結果的に好意を寄せていた友恵が保彦と
室井が10年後の自分が生きていないこと知ったことにも責任を感じて
人騒がせな未来人はどう感じているのかは分かりませんが
◎3周目鑑賞後追記「リバー、流れないでよ」
「お好きですね」と保彦に声をかけるロープウェイの係の人「リバー、流れないでよ」の主役ミコトさん(演:藤谷理子さん)だと気がつきました
そこで思い出したのは「リバー」は2分間のタイムループを35回(36周)、本作は保彦が33周(33人)
「リバー」は回数を数えてました(笑)
本作の保彦は映像で確認できるのは8人?だと思うけど
同じ時間に何人も💧
先日鑑賞、面白そうな内容だったし、もしかしたら早く上映が終わりそうでしたので他にもみたいものはありましたが先に鑑賞。
主人公で話が完結しないのは途中から先読みできましたが、まさかクラス全員とは(笑)。
女子は攻略(❓)はわかるが男子は回想が1名だけだったので、その他の男子はどうやってもってったんだ❓って感じはあったが(笑)。
原作はもっとダークなのか、この間「新章」❓みたいな本があってそちらはなんかもっと複雑らしいとの帯があったが機会があれば読んでみよかな☝️。
にしても何十人もいて一度も接触せずに攻略できるように考えたの凄いな💧
34人のクラスメートとエンドレスサマー
大好きな「サマータイムマシン・ブルース」や「リバー、流れないでよ」の脚本家上田誠のタイムリープものなら、これは観なくては。
6月26日(木)
「リライト」を昼間の時間帯で上映しているTOHOシネマズ錦糸町で。
高校3年の7月、「転校生」保彦は300年後からタイムリープして来た。その秘密を知った美雪(池田エライザ)は、尾道を案内し、彼に惹かれる。20日後、300年後の世界に帰ると言う保彦に自分と保彦の物語を書いて出版すると約束する。
作家になった美雪は本を3冊出版し、名前も売れてくるようになる。4冊目に10年前の保彦と自分の物語を書いた「少女は時を翔けた」を出版するが、出版直前にそっくりな内容の小説が登場し、盗作騒ぎで出版されなくなってしまう。
故郷・尾道で同窓会に参加した美雪は、同級生の酒井茂(倉悠貴)から同級生全員が知らなかった驚愕の新事実を知らされる。
原作は未読、続編もあるらしい。
なかなか斬新な設定だった。薬飲んで?クラス全員?そうくるか。
舞台が尾道だから、美雪の母が石田ひかり、高校の先生が尾美としのり、マキタスポーツまで登場する。
実験室にラベンダーの香り、これで原田知世が学校にいたら大ウケだな。
水道の蛇口か。でも、このラストでは「史上最悪のパラドックス」は解消してないよね。
原作は中学生らしいが、池田エライザと橋本愛では高校生がギリか。
ミステリーの要素もあって面白かったけど、ちょっとご都合主義もあったね。完全伏線回収なら得点アップだったのに。
おまけ
酒井茂のマネージメント能力は満点でしたね。
最後のエライザのセリフで酒井の想いは橋本愛に届いたのかな。
おまけ2
「少女は時を翔けた」を出版したのは早春書房
ヒロインの池田エライザが可愛いけど…
橋本愛のラスボス感がすごい。
結局、謎解きの面白さはあるけど(なるほど、という)、映画として面白かったかといえば??
多分、見せ場が盛り上がらないからだと思う。その見せ場は、酒井茂(倉悠貴)の活躍。全員が未来人の園田保彦(阿達慶)と関わっていて、それを交通整理をする酒井茂の活躍とその告白。ただそれが結構サラッと描いていて、未来人と一緒にうまくやったのにも関わらず、全くカタルシスがない。
それと、酒井茂は、雨宮友恵(橋本愛)のことが好きで最後まで選ばなかった件も、主人公の池田エライザは気づいていたけれど、橋本愛は気づいていなかったり、設定がうまく機能していない。(ちゃんと拾えよ、と)
で、ラストも橋本愛の現在の彼氏は未来人なの?
それに池田エライザはヒロインとしての着地点が見えないように思える。
なんとなく、フワッと終わる。
見る側は、へ〜そういう話だったの。で、それで?
なんか面白くない。
池田エライザの扱いや、大林宣彦の「時をかける少女」のオマージ的なところも不発だった(撮影地を尾道にした意味は?)
どこか見落としがあったのかな?
ただ、もう一度見直す気力はありませんが。
タイムリープの設定に問題あり
❶相性:中。
★タイムリープの設定に問題あり。
➋時代:2009年(10年前)と2019年(現在)。
❸舞台:広島県尾道市、同瀬戸田高校、他。
❹主な登場人物
①石田美雪(池田エライザ、28歳):主人公。高校時代に未来人の保彦と出会い、恋に落ちる。保彦の薬で未来の美雪と会い、保彦との思い出を小説に書くことを要望される。保彦との密なコンタクトは4番目。現在は東京で作家。5年前に持ち込んだ処女作『少女は時を翔けた』は見送りとなり、別の4冊が出版された。処女作は「母校が舞台で、未来から転校生がタイムリープしてくるSF青春ミステリー」で、その後、美雪が手直しして出版の目途が立つが盗作疑惑が起き、つぶれてしまう。
②園田保彦(阿達慶、19歳):300年後からやってきた未来少年。現在に書かれた小説に憧れて、転校生としてタイムリープしてきたが、タイムパラドックスが起きて未来に帰れなくなってしまう。それを解決すべく、茂の協力を得て、クラス34人全員と密なコンタクトを行い、目途がつく。人の記憶を消す超能力を持っていて、実行するとラベンダーの香りがする。
③雨宮友恵(橋本愛、28歳):美雪の同級生。父からDVを受けている。文学少女。美雪とは本や映画の話を親しくする中だったが、落とした鞄の中身を美雪が拾おうとして、それを拒んだことから疎遠になる。保彦との密なコンタクトは33番目。現在は東京在。美雪の初稿を友恵がリライトした『エンドレスサマー』がペンネームで出版される。
④林鈴子(久保田紗友、24歳):美雪の同級生。現在は、地元紙のライターとして働いている。地元に帰ってきた美雪と久しぶりに再会する。『少女、翔ける、時』と題する本を執筆中。
⑤酒井茂(倉悠貴、25歳):美雪の同級生。誰にでも優しく世話焼き。現在、同窓会にクラス全員を集めるべく、幹事として奮闘している。保彦のタイムパラドックスを解決するために協力する。
⑥長谷川敦子(山谷花純、28歳):美雪の同級生で、クラスのマドンナ。女優を目指していたが、現在は脚本家志望。小説を書いていてタイトルは『タイムリープ・ガール』。
⑦増田亜由美(大関れいか、27歳):美雪の同級生。明るい性格でクラスの中心人物。現在は介護士をしている。本を書いて同級生の友恵に見せたら、酷評されたと文句を言う。
⑧桜井唯(森田想、24歳):美雪の同級生。クラスの優等生。地元の新聞社に就職し、新聞記者として働いていて、本も書いていて、美雪に出版社を紹介してほしいと頼む。本のタイトルは『ガール・ミーツ・ガール』。
⑨西山晴子(福永朱梨、30歳):美雪の同級生。現在は一児の母であり、地元で美容師として働いている。ネットに小説を投稿していてタイトルは『翔ける、少女は時を』
⑩室井大介(前田旺志郎、24歳):美雪の同級生。クラスのムードメーカー。2017年に交通事故で亡くなる。2009年の室井が2019年にタイムリープしたとき、自分の位牌があり、家族が3回忌をしていることを知り、ショックを受ける。
⑪細田先生(尾美としのり、59歳):美雪たちの担任。転校してきた保彦をクラスに紹介し指導する。
⑫大槻和美(石田ひかり、52歳):美雪の母親。
⑬石田章介(篠原篤、41歳):美雪の夫。2016年に結婚。職は出版関係。美雪に盗作疑惑が出て調査する。
⑭佐野(長田庄平、44歳):美雪の担当編集者。美雪が2014年に持ち込んだ処女作『少女は時を翔けた』は難があり見送りとした、その後別の4冊を出版した。処女作は美雪が手直しして、出版の目途がついたが、別の編集者から、そっくりな本があると聞いて調べると、それは2年早い2012年に執筆されていた。
⑮多岐川(マキタスポーツ、54歳):編集者の1人。
❺考察1:本作の背景
①本作の舞台となった尾道は、小津安二郎監督の名作『東京物語』(53)の舞台であり、同市出身の大林宣彦監督が『転校生』(82)や『時をかける少女』(83)をはじめとした“尾道三部作”の舞台に選ぶなど、多くの映画人に愛されてきた“日本映画のふるさと”とも呼ばれる特別な場所。
②松居大悟監督インタビューによると、本作は、「大先輩にあたる大林監督が、『時をかける少女』を尾道で撮っていて、『リライト』の原作の舞台とは異なるものの、同じ“時間”をテーマに扱った作品として、尾道で撮影することに大きな意味を感じた」と語り、大林監督へのリスペクトを込めたことを明らかにしている。
③筒井康隆のタイムトラベルSF小説『時をかける少女(1967)』は、これまでに実写とアニメを合わせ、9回にわたり映像化されているそうだ(Wikipedia)。全作を観ているわけではないが、実写版では、本作は、下記2作を合わせた内容に近いようだ。
ⓐ『時をかける少女 (実写1983)』:
1983年、高1の主人公・和子が、677年後の未来から、必要なラベンダーを求めて、同級生としてタイムリープしてきた薬物学者の一夫と知り合い、不思議な体験をする。11年後、薬学の研究者となっていた和子は、勤務先で一人の青年に道を尋ねられる。青年は確かに一夫だったが、和子はそのことに気づかないまま行き先を教え、二人は別の方向に歩いていく・・・。
ⓑ『時をかける少女 (実写2010)』:
和子の一人娘・あかりを主人公に、女子高生のあかりが、交通事故で昏睡状態に陥った母の頼みで母の初恋相手・一夫に会うため2010年から1970年代へタイムリープする・・・。
④一方、脚本を担当した上田誠は「時間SF」を得意として、左記のコメディ4作が上出来で楽しい。
ⓐ『サマータイムマシン・ブルース(2005)』:ある日突然目の前に出現したタイムマシンを巡って思いがけない事態に巻き込まれる学生たちの姿を軽快なテンポで綴るコメディ。
ⓑ『ドロステのはてで僕ら(2020)』:雑居ビルの2階と1階のTVが2分の時差で繋がっていたタイムテレビのコメディ。
ⓒ『四畳半タイムマシンブルース(2022)』:真夏の京都を舞台にタイムマシンで昨日と今日を右往左往するコメディ。
ⓓ『リバー、流れないでよ(2023)』:京の奥座敷と呼ばれる貴船を舞台に、雪が降りしきる真冬の季節に、繰り返す「2分間」から抜け出せなくなってしまった人々の混乱を描くタイムループコメディ。
❻考察2:重大なロジック問題
★本作のロジックには2つの重大な整合性の問題がある。以下に説明する。
①時は西暦2311年の未来。保彦は、骨董屋で買った古書の内容に興味を持ち、舞台となっている2009年の尾道の高校にタイムリープする。天才少年・保彦は、タイムリープ出来る薬を発明していたのだ。
②保彦は美雪のクラスに転校生として編入され、美雪に町を案内してもらう。
③保彦のタイムリープには、条件があり、古書の作者を見つけないと、パラドックスを起こして、未来に帰れなくなるので、クラスメイト全員と接触し、解決の道を探る。
④終盤で作者が明かされる。それは美雪ではなく友恵だった。美雪は保彦が転入してからパラドックスが解決するまでを初稿としてまとめたが、2019年に出版されたのは、それをリライトした友恵の本で、2311年に保彦が読んだのは友恵版だった。
⑤大きな疑問点1
ⓐ2311年に保彦が読んだ古書には、保彦がタイムリープした2009年の出来事が書かれていた。
ⓑ2311年の保彦は、その古書を読むまでは、2009年のことは知らなかったし、タイムリープもしていない。
ⓒ然るに、2019年に出版されたその古書には、保彦が2009年にタイムリープしたことが書かれている。
ⓓこれは、保彦を2人作らない限り「タイムリープ」論では説明出来ない。パラレルワールドやマルチバースの概念が必要である。
⑥大きな疑問点2
ⓐ保彦は、2009年にパラドックスが解決して未来に帰れるようになったが、その後の状況から判断すると、未来には戻らず、友恵と結婚して過去に留まったと思われる。
ⓑ理由は、友恵がタイムリープの薬を複数持っていて、夫に作ってもらったと言っている。薬を作れる夫とは、保彦以外にはいない。
ⓒ更には、2019年に出版された友恵の本を、保彦がタイトルを指定して書店に買いに来る。そこには美雪もいて、美雪は保彦に気付いたが、保彦は美雪に気付かなかった。このことから、保彦は2019年までは過去にいたと思われる。
ⓓその後の保彦については描かれていないので不明だが、これが問題なのだ。未来人と言えども寿命は長くて100歳程、300歳を超えて生きることはないだろう。保彦が過去で死んでしまえば、未来の保彦は存在しないことになる。即ち、本作そのものが成立しなくなってしまう。だらか、保彦が過去に戻ったとはっきり明示して欲しい。
ⓔ他にも幾つもの疑問点があるが、上記2点に比べれば些細である。
❼考察2:正解試案
★描かれた物語は、上記❻に示した通り、ロジックに整合性のない部分があるので、一旦解体して、オリジナルの特長を生かした上で辻褄が合うよう再構築した。全部をリライトすることは無理なので、要点を示す。これは一例であり、別の正解もあることをお含みおき願いたい。
①時は西暦2311年の未来。天才少年・保彦は、服用すれば何処にでも自由にタイムリープ出来る画期的な新薬を発明する。
②保彦は、骨董屋で買った古書を読んで、興味を持った。それは『時をかける少女 (実写2010)』の物語で、尾道の女子高生を主役にしたタイムリープものだが、何よりも舞台となった尾道の魅力に惹かれた。
③保彦は、2009年の尾道の高校にタイムリープして、尾道での生活を満喫した。クラスメイトは文学好きが多く、保彦との出会いを小説にしようと競作するようになった。
④保彦が未来に帰ろうしたが、問題が起きた。薬を飲んでも未来に戻れず、タイムループに捕らわれていることが分かる。抜け出す条件は、競作の中から未来で保彦が読むことになる1冊を見つけ出すことだった。
★以下の展開はオリジナル通り。
⑤クラスメート全員と密なコンタクトを行った結果、目的の1冊が分かり、保彦は無事未来に戻ることが出来た。
⑥西暦2311年、保彦は、骨董店で、目的の古書『エンドレスサマー』を見つけることが出来、2009年当時の尾道での楽しかった記憶が蘇り、胸を熱くするのでありました。お終い。
❽まとめ
①300年後の未来で、何処にでも自由にタイムリープ出来る画期的な新薬を発明した天才少年・保彦が、2009年の尾道にタイムリープして、高3の主人公・美雪や友恵他のクラスメイトとの交流の状況をまとめた小説の作者を探す過程でタイムループに捕らわれ、クラスメイトたちもタイムリープを体験しながら解決に協力するとのSF物語には納得する。
②しかし、本作のロジックには❻に示したように2つの重大な整合性の問題がある。
③同じSFでも、これまでの上田脚本のようなコメディなら笑って見逃せるが、本作のような本格SF風となると、容認出来ない。
リスペクトではない。オリジナルとそれに感動した人々をいじっているようで、許せない。
時かけのエピゴーネンがまた1本。
冒頭からの一連のエピソードがリスペクト満載なうえに、ありがちかもしれないが青春ラブストーリーとしてキラキラしてて感動的。
池田エライザが美しく輝く瞳がとても印象的で、対する阿達慶も未来人らしい佇まいを上手く表現している。
そこからのサスペンスの流れも見事、そして終盤にかけてのまさかの凝りに凝った展開が面白い・・・とただ観ているときは思ったのですが、かなり引っかかるものが。
いくらなんでも「クラス全員」はやり過ぎ。
ありえない、せめて女子全員では?
祭りの夜に30回も入れ替わり立ち替わり射的をしたの?
それにしても茂、天才じゃね!
彼が一番作家向き、才能がある。
そこまで真面目に見てたこっちがバカを見た感じ。
憧れの彼も盗られて、悪役がリライトしたシナリオ通りの歴史が完結して、非常に後味が悪い。
「リライト」という名の盗作で成功してしまうのが納得いかない。
キラキラした自分だけの大事な青春の想い出を茶化され汚されて、踏みにじられ、さらに盗作作家の汚名を着せられたままの主人公。
33股かけられて騙されて、無理やり小説を書かされ人生まで変えさせられた、クラスメイト達。
こんな話がいいわけない。
オリジナル作品へのリスペクトどころではない。
オリジナルとそれに感動した人々を半笑いでいじってる?ディスっていて、許せない!
この悪ふざけの感じは、ヨーロッパ企画作品でも多少感じたことがあった。
同様の複雑な展開でも、結果みんながハッピーになれたり、ネガティヴなままなら、コメディにして笑い飛ばしたりしないと、気分が悪い。
それこそ、タイムパトロールが登場、悪者は逮捕。
みんなの記憶は修正されて、全員が物書きで成功してハッピーエンドなら納得できた。
観てくれた観客に嫌な思いさせてどうする。
元祖「時をかける少女」へのオマージュ?
大林監督の「時をかける少女」を思いだしました。同じ尾道舞台。ラベンダーとか実験室(理科室?)の描写などもそのひとつですね。今作品には、尾美としのりさんが、先生役で出ていましたね。カメオ出演で、原田知世さん、岸部さん、根岸さんも出て欲しかったなぁ😭。
タイムリープが多すぎて、途中少し嫌気がさしてきました。池田さん、橋本さん他の役者さんたちの高校生役は、ちょっと厳しい感じがしましたね(←高校生には見えないなぁ。
突っ込みどころは多々ありますが、ちょっとしたSF作品かと思えば楽しめます。タイムトラベルできたら楽しかもしれませんが、未来永劫不可能ですね。可能ならこの時代にも未来から来ています~
設定があまく、話しのスケールが小さく浅い
そのだ君は感動する本に出合い、その作者に会ってみたかったからタイムスリップしてきて、33人の人生をもてあそんだのなら自己中であり。スケールが小さく、この設定にグッと来なかった。
そのだ君が本を所有しているなら、その本に作者書いてあるでしょ?
なんらかの事情で作者が分からないのなら、どうしてあのクラスにいると推測できたのか。
つまり、そのだ君が本を所有しているという設定がおかしい。
そのだ君のお母さん(異母)が本の作者で、若くして亡くなったお母さんがよく読んでくれた自作の本のことを思い出して、異母だから名前が分からない、若いころのお母さんに会いたくてタイムスリップしてきた。
という設定のほうがロマンチックでストーリーに深みが出て良いと思いました。
あと、300年後から来た。
という設定が幼稚な漫画みたいで、30年後から来た設定のほうがリアリティが増して良いと思った。
ジュブナイルの皮を被ったSFミステリーの力作
非常に楽しめました。
物語の導入は、主人公である女子高校生・美雪と謎の転校生・保彦の、ひと夏の思い出。美雪は保彦との約束を叶えるために作家になり、約束の本を完成して、出版間近にまで漕ぎ着けます。
ここで物語が変節し、美雪の本の出版に障害が起こります。
内容が似た本の作者は誰なのか、なぜ内容が似ているのか。ミステリーの幕開け。
高校のクラス会で、衝撃的なネタバレ。このあたりは謎あかしのサスペンスのようでした。
保彦は自分の時代に帰還するために、クラスメート全員と思い出作りをしていたとは。男子同士でも夏祭りに行って花火を見るなんて、薔薇ですか。
思い出作りの裏で、ミッション達成の協力者・茂の苦労がコミカルに表現されています。
そして最後は、美雪と、クラスメートの友恵の対決。美雪はこの物語を、自分のものにリライトしなかったのですね。
物語が進むに連れて、ストーリーが大きく転換して驚きがあり、楽しめました。
冒頭を大林宣彦作品のオマージュのように見せたのは、映画制作者側の仕掛けで、観客に落差を味合わせたかったように思えました。
物語の仕掛けで考えたこと。
(1)保彦が帰還するためのキーワードは「エンドレスサマー」だから、美雪が過去から来た自分に、小説のタイトルがそれだと伝えれば、保彦は帰還することが出来、物語をリライトできたはず。
(2)もうひとつ、美雪と友恵が対峙したとき互いの本を交換しましたが、このとき美雪が本を渡さなかったら、友恵は自分の本を書くことが出来なかったでしょう。むしろ美雪は因果律を閉じて世界を保つために、友恵に本を渡した、ということですね。
(3)友恵が過去にタイムリープしたとき、美雪のタイムリープ薬をすり替えて、現在に到着する日を遅らせたのは何故か。友恵は美雪の本を奪って小説を書いたことに負い目があり、美雪に逆転のチャンスを与えたのだと思いました。(1)で書いたとおりキーワードが保彦に伝われば、因果律が閉じて友恵のターンが来なくなるため。あるいは友恵は、美雪に挑戦したのでしょうか。
友恵が美雪から奪って書いた「エンドレスサマー」が保彦にとっての過去であり、この世界の正史なのでしょう。美雪は世界を壊さないために、自分の本を諦めた、という結末なのだと思いました。
人生は本質的にリライトではない。
原作未読。池田エライザ一択で鑑賞。
言いたいことはたくさんあります。
・園田がそんなにモテるほどカッコいいと思わない時点で、成り立っていない笑
・あの狭い祭りや学校で鉢合わせないのは無理だろ
・自分の本が出版できるかできないかの瀬戸際なのに東京に戻らない、ってあり得ない
でも、このようなことは些細なこと。
内容の本質としては、仮に未来の自分から何か言われたとして、それはリライトではなくきっかけ。自分がやりたいことを発見したに過ぎないのだと思う。
なので、小説家になった人もいれば、端から小説家になろうとしない人もいる。それが人生なのだろうと思った。
池田エライザの旦那がただのオッサンというのも好感度高い。
故大林宣彦監督に捧げるエグい青春タイムリープ
前半はまったりとしたSF学園もので睡魔も襲ってきたのですが未来人の保彦君がクラス全員と関係をもっていた事が発覚してからやばい事になってきます。とにかく観た人にしかこの面白さはわかりません。池田エライザさんはじめ橋本愛さんも大人の演技で魅了してくれます。邦画面白いです。アニメ映画見てる場合じゃないです。
シネマ尾道にて鑑賞
オール尾道ロケの映画を尾道の映画館で観るという不思議な体験をさせていただきました。さっきまでいた場所や、今まさにいる場所(映画館)がスクリーンに映し出され、まるで自分が物語の一部になったような感覚に陥りました。ストーリーも面白く、特に池田エライザさんが主役かと思いきや、意外な方向へ進んでいくあたりは見応えあり。ただ、いくら何でも登場人物のモノローグに頼りすぎだと思いました。まるでラジオドラマのようで、耳からの情報だけで「理解」させられてしまうから、全く心が震えないのです。もっと映像で表現するという努力をしていただきたかったです。あとエライザさんの夫(内面も外面も=役柄の話です)が生理的にアウトだったので、ラストで別人に替わっているというオチなら良かったです。
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