リライトのレビュー・感想・評価
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物語の脇が甘い。惜しい。
すこぶる良作なタイムリープもの青春仕立てin尾道
いわゆるタイムリープものは、その設定自体に綻び(矛盾だったりご都合主義だったり)が見えてしまうと、途端に物語としての勢いが弱まってしまい、本来はその物語で表現したかったテーマやエンターテイメントまで安っぽくなりがちなので、無意識に心構えをしちゃうんですよね。
そのうえ本作は「尾道を舞台に、未来からやって来た転校生が、その時空間から現出した光景をヒロインに見られるも、ふたりだけの秘密として彼女と過ごす一夏の青春ストーリー、そしてラベンダーの香り」という出だしなので(オマージュかなパロディーかな)と、若干不安に駆られていました。大変申し訳ない。
ところがお約束のタイムパラドックスの縛りを提示しての、基礎となる世界線の物語が綴じる序盤、思いも寄らない展開からのタイトルコールで、ここまでが少々長めのプロローグだったことで、俄然、面白くなってきました。
とにかく脚本が丁寧。それぞれの登場人物たちの行動にはたしかな理由があり、それが中盤から終盤にかけて、塩梅よく開示されていき、今まで観ていた景色が一変していくカタルシスが味わえます。
さらに絵作りも丁寧。特に印象に残ったのは、同窓会二次会の帰りにみんなで船着場(かな?)に着いてから、それぞれの配置に着く流れが、違和感なくハマっていたのが気持ちよかった。
とにかく最後の最後まで丁寧に仕上げられていて、心地良い鑑賞体験ができますよー。
時を駆けない少女
帰りの電車で富田靖子さんと出会った夜
エライザさん始め何人もの売れっ子女優がかなりの薄化粧で女子高生をがんばってるのが見どころだった気が(たぶん違います)。
尾道、タイムリープ、ラベンダー…さらには、尾美としのりさんまで登場!
若かりし頃大林監督の尾道映画に魅了され、
初めて広島に出向いたとき(本当の初広島は修学旅行で広島市内だけだったけど)には
何よりどこより尾道を目指した身として、
内容どうこう関係なくノスタルジーを感じさせてもらいました。
んで、おまけに帰りの電車では、ドア広告に伊右衛門…え、富田靖子さん⁉︎
これは、完全に導かれてる?…と思ったら、これは奈緒さんなのね。
よくよく見ればそうなんだけど、
尾道映画のあとにあの広告写真をパッと見したら富田靖子さんにしか見えませんて!
あ、話がそれた。
タイムリープの種明かし部分は、なかなかにコメディで、
映画館では主におっさんたちが笑い声をあげていました。
他にもいそうと思いながら見てはいたけど、まさかまさかでしたね。
かなり無理はあるけど、タイムリープものにはどうせ無理があるんだから、
思いっきり無理しちゃおうとする姿勢は嫌いじゃなかったです。
(餃子をうまく焼くために時間を行ったりきたりするよりは好きでした)
(おもしろタイムリープものとしては、「リバー、流れないでよ」の方が好きですけど)
みなかったことには、できないよね。
時間ものは過去(未来)から誰かやってくる、主人公が過去(未来)へ行ってしまう、まではいいんですが、過去と現在と未来をいったりきたりや、過去(未来)の自分と会ってしまったりとなると頭がついていけない。
だから、バック・トゥ・ザ・フューチャーの1と3はいいんですが、2はダメなんです(字幕なしで観たせいもあるんですが)。
だからこれ大丈夫かなと思って見始めたら、なんや台詞に加えてナレーションで説明するんかい。
頭使わせろや。(もうここでのれなかった)
少女は時を翔けた。 あかんやろ。
ラベンダーの香りがした。 あかんやろ。
10年後の自分ならなんとかできると思った。
なんでやねん。
300年後の未来人て髪型今といっしょかい。
言葉も普通に通じるんかい。
300年前はちょんまげでござるよ。
薬飲んでって。
無理やろ。
笑えない。
キュンキュンしない。
せつなくもない。
ハラハラもドキドキもワクワクもしない。
楽しくない。
悲しくない。
ただの胸糞映画やった。
タイムリープはもう禁じ手にしてほしいと思っているから、終止符を打つにはちょうどいいかな。
でもまだやるんだろうな。
作ってる人たちの、どうだ面白いだろう、って悦に入っている顔が目に浮かぶ。
池田エライザと橋本愛の女子高生コスプレしたかっただけじゃないか。(そこはよかった)
この映画、観なかったことにはできないよね。
(時かけ、ふてほど、は奇跡のような作品だったんだな)
もっとプロモーションを
見たい観たいと思いながらついつい後回しになり昨日鑑賞(平日昼の回)
ネタバレできない映画なので別側面から。
観客4名、こんなに面白いのになんで?
これが最初の感想。もっとプロモーションや番宣に費用回して欲しかったなぁ。
あと公開日も国宝の翌週、フロントラインと同週にぶつけるのはタイミング的にどうなの?
ホントに面白いのですよ。結末知ってからもう一度最初から復習したくなる仕掛け。
これがタイムリープものの醍醐味です。原作との違いもありますが、原作未読でもまったく問題ない。
脚本の上田さん(ロジック)と監督の松居さん(エモーション)の融合を感じました。
この二人、いいコンビですね。
今からでも間に合う方には是非オススメしたい良作でした。
リバー、くれなずめ!
青春は痛く優しく、還らず
監督・松居大悟、主演・池田エライザ。
大林版『時をかける少女』にオマージュしてロケも尾道、とだけ情報を知っていて、
私には松居監督作がことごとくニガテなので観ないつもりだった。
(演出がまどろっこしくて、ドラマとしてもイライラするので私には合わない監督。)
ただ、他の方のレビューを少し読むと、なかなか興味深く
(主演が替わって面白くなる)
という表現を見て、
どういうこと?
とガゼン観たくなった。
高校生の役、皆さん苦しいぞ〜ムリあるぞ〜
と感じたが、まあ頑張っているし、
主流の登場人物はドラマや映画で主役を張った俳優さんばかりで演技にも説得力があり、わかり易さにもなった。
これだけの情報や内容を描くリズムが心地よかった。
なにより青春、微笑ましい、痛みもある懐かしい青春。
結末はだいたい分かるが、最後まで観ていて、うれしかった。
(未来人にだって、
器用にできないことも、あるんだね。)
昨日今日までの日々は自分のもの。リライトできる。
そんなテーマも帰らない高校生の日々を爽やかにさせた。
大林宣彦監督を追いかけた僕の青春。学生の頃に尾道へ。
『転校生』の入れ替わる御袖天満宮、『時をかける少女』の和子の家、『さびしんぼう』のふたり最後の雨の階段。
尾道を探索し写真におさめた。色褪せても捨てられない写真。
今では観なくなった尾道三部作ではあるが、
その写真がどうしても捨てられない。
僕ももう終活の時期になり、どうしてもワンコを保護したくて。
家族になれたワンコは(珍しい)白いミニチュア・シュナイザー。
大阪のペットショップで生体販売されたが飼育拒否に合い
(どうしてか分からないが)
流れ流れ神奈川県藤沢市のペットショップに保護された時、僕は出会えた。
これを偶然は必然と素直によろこんだ。
血統書を確認したら広島県尾道生まれ。
産んでくれたお母さんお父さんワンコは今でも尾道にいる。
僕の人生のなかで尾道は特別な場所である。
うちのワンコは優しくて、僕のベッドをいつも占領しているが、それもうれしい。
よく練られた。
クレジットに大林宣彦も筒井康隆もなかった?(気がする)
「ドロステ〜」「リバー〜」の上田さん脚本で、どう考えても「時かけ」を想起させる予告編。池田エライザさんは結構好きなのですが、最近あまり映画館で見た記憶がないため、これにも期待で、見ないわけにはいきません。
タイムリープものとしてはかなり新しい切り口の作品だと思います。
想定していた以上にかなり複雑な仕掛けになっており、頭では「一応つじつま合ってるはずだよな」という理解はできるものの、「展開にちょっと無理がある」とか「そこまでやる必要あるの?」とか「冷静に考えると、結構ひどいことしてるよね」とか、要所要所で頭に浮かんでしまい、映画として楽しむことは難しかったです。
原作の「時かけ」的なシチュエーションを借りるタイムスリップモノ、というだけならまだしも、尾道を舞台として、尾美としのりさんも出演されている、というのであれば、クレジットにせめて、大林宣彦さんの名前は欲しかったですし、筒井康隆さんも入れておくべきだったんじゃないかな、と強く思っています(見逃していたならすみません)。
題名(リライト)の捉え方
ちゃんと面白い
松居監督(大悟)と「サマータイムマシン・ブルース」の脚本家上田さん(誠)。ならば酷いことはないだろうと鑑賞。やっぱりちゃんと面白かった。上田さんはヨーロッパ企画の主催者。彼の脚本で観た映画で言えば「四畳半タイムマシンブルース」(22)「ペンギンハイウェイ」(18)「夜は短し歩けよ乙女」(2017)と、俺との相性は極めてよい。実写では「リバー、流れないでよ」(23)が記憶に新しい。こうして振り返るとタイムリープ、好きなんだなあと思うね。タイムリープ物はちゃんと考えないといけないから、彼のような緻密な作家が得意にするところなのかな。まあ、原作ある場合は原作者が考えたのか。ただ本作で言えば、「いや、それはなんでも」的なハメを外したような設定で俺たちを煙に巻くシーンを描くのは、演劇の人だからお手のもの。そんな設定でも「でもまあ、絶対できないとは言えないかもな。うん、よく頑張ったよ。いい話じゃん」と思わせる勢いが、脚本と監督の才能なんだろうな。まあ、観てください。ちゃんと青春映画だと思う。
森見登さん(美彦)原作ものに比べると軽いというか小さいという点は、これはもうしょうがないよね。
池田さん(エライザ)はじめ全員が、28歳とその10年前を兼ねるのだが、けっこう高校生時代もできてた気がする。頑張った。久しぶりに久保田さん(紗友)もたっぷり観られて楽しかったが、彼女と初めて出会ったのは2017の「ハローグッドバイ」だったので、ちゃんと10年近くたったんだなあ、と感慨深い。
尾道ロケと言えば「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」。それらに出演した尾美さん(としのり)と、「ふたり」に出演した石田さん(ひかり)を配置してるのは渋いですね。ノスタルジーでした。
演劇系の映画は、面白い、小物感、記憶に残るのだが深くない、といった点で俺の中では共通している。「さすが、上手いなあ」で終わる感じ。それってすごいことだし、その分、肩肘張らず観られるのは圧倒的な強みだと思っている。
あ、書き忘れてた。橋本さん(愛)、さすがです。この映画を締めてるのは、あなたの演技です。感服。
おまけ1
やっぱ、ラベンダーの香りがしなきゃね。これを定着させた筒井さん(康隆)とNHK少年ドラマシリーズ「タイムトラベラー」に栄光あれ。
おまけ2
へえ、化学実験室でなくて図書室なんだ、と観ている際には思ったが、やはり最初は化学実験室なんだ、とわかった時は、またノスタルジー。そういった意味では爺さん向けの映画?
おまけ3
あゆみの飲み屋での、登場シーン、いいね。最高だよ。呑み会周りは全般に渡りさすがだなあ、と思わされた。
果たして人生は「リライト」できるのか?
6/29「リライト」ティーチ・イン
で質問!できました✨
やはり焦点は、、、
ラストの主人公・美雪の「無音のセリフ」!
僕の解釈を監督にお話ししましたーー
「歴史(未来・現在・過去)を変えていいのか」という論点で、、、
やはり、美雪は優しい、まっすぐなジャッジを下したのではないか、、
(倫理的にも道徳的にも、、、)
それについて、松居監督は僕の目を見て真剣に答えてくださいました。
監督自身の個人的なジャッジは明かさずにーー
松居監督こそが優しくて、まっすぐな方です。そうでなければ、こんな感動する純粋な「リライト」は創れない!!!
6/23.ティーチ・イン
で、質問!できました✨
松居大悟監督が登壇されてティーチ・インがありました。その際の質問に対し「謎」であった、主人公・美雪のラストの「無音のセリフの内容」へ一つの「監督なりの回答」が聴けました。
「私なりの解釈」は置いておいて、監督の回答はまさに思いやりに満ち溢れた「心」のきれいな方々(監督や脚本家を含め)の「発想」そのものでした。
私は、この作品に時間を忘れて没入し、涙を流しました。人の優しさ・温かさに触れて幸せを実感する作品です。もう、これ以上、記せません。
全135件中、21~40件目を表示