リライトのレビュー・感想・評価
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青春は痛く優しく、還らず
監督・松居大悟、主演・池田エライザ。
大林版『時をかける少女』にオマージュしてロケも尾道、とだけ情報を知っていて、
私には松居監督作がことごとくニガテなので観ないつもりだった。
(演出がまどろっこしくて、ドラマとしてもイライラするので私には合わない監督。)
ただ、他の方のレビューを少し読むと、なかなか興味深く
(主演が替わって面白くなる)
という表現を見て、
どういうこと?
とガゼン観たくなった。
高校生の役、皆さん苦しいぞ〜ムリあるぞ〜
と感じたが、まあ頑張っているし、
主流の登場人物はドラマや映画で主役を張った俳優さんばかりで演技にも説得力があり、わかり易さにもなった。
これだけの情報や内容を描くリズムが心地よかった。
なにより青春、微笑ましい、痛みもある懐かしい青春。
結末はだいたい分かるが、最後まで観ていて、うれしかった。
(未来人にだって、
器用にできないことも、あるんだね。)
昨日今日までの日々は自分のもの。リライトできる。
そんなテーマも帰らない高校生の日々を爽やかにさせた。
大林宣彦監督を追いかけた僕の青春。学生の頃に尾道へ。
『転校生』の入れ替わる御袖天満宮、『時をかける少女』の和子の家、『さびしんぼう』のふたり最後の雨の階段。
尾道を探索し写真におさめた。色褪せても捨てられない写真。
今では観なくなった尾道三部作ではあるが、
その写真がどうしても捨てられない。
僕ももう終活の時期になり、どうしてもワンコを保護したくて。
家族になれたワンコは(珍しい)白いミニチュア・シュナイザー。
大阪のペットショップで生体販売されたが飼育拒否に合い
(どうしてか分からないが)
流れ流れ神奈川県藤沢市のペットショップに保護された時、僕は出会えた。
これを偶然は必然と素直によろこんだ。
血統書を確認したら広島県尾道生まれ。
産んでくれたお母さんお父さんワンコは今でも尾道にいる。
僕の人生のなかで尾道は特別な場所である。
うちのワンコは優しくて、僕のベッドをいつも占領しているが、それもうれしい。
よく練られた。
クレジットに大林宣彦も筒井康隆もなかった?(気がする)
「ドロステ〜」「リバー〜」の上田さん脚本で、どう考えても「時かけ」を想起させる予告編。池田エライザさんは結構好きなのですが、最近あまり映画館で見た記憶がないため、これにも期待で、見ないわけにはいきません。
タイムリープものとしてはかなり新しい切り口の作品だと思います。
想定していた以上にかなり複雑な仕掛けになっており、頭では「一応つじつま合ってるはずだよな」という理解はできるものの、「展開にちょっと無理がある」とか「そこまでやる必要あるの?」とか「冷静に考えると、結構ひどいことしてるよね」とか、要所要所で頭に浮かんでしまい、映画として楽しむことは難しかったです。
原作の「時かけ」的なシチュエーションを借りるタイムスリップモノ、というだけならまだしも、尾道を舞台として、尾美としのりさんも出演されている、というのであれば、クレジットにせめて、大林宣彦さんの名前は欲しかったですし、筒井康隆さんも入れておくべきだったんじゃないかな、と強く思っています(見逃していたならすみません)。
ヒロインの池田エライザが可愛いけど…
橋本愛のラスボス感がすごい。
結局、謎解きの面白さはあるけど(なるほど、という)、映画として面白かったかといえば??
多分、見せ場が盛り上がらないからだと思う。その見せ場は、酒井茂(倉悠貴)の活躍。全員が未来人の園田保彦(阿達慶)と関わっていて、それを交通整理をする酒井茂の活躍とその告白。ただそれが結構サラッと描いていて、未来人と一緒にうまくやったのにも関わらず、全くカタルシスがない。
それと、酒井茂は、雨宮友恵(橋本愛)のことが好きで最後まで選ばなかった件も、主人公の池田エライザは気づいていたけれど、橋本愛は気づいていなかったり、設定がうまく機能していない。(ちゃんと拾えよ、と)
で、ラストも橋本愛の現在の彼氏は未来人なの?
それに池田エライザはヒロインとしての着地点が見えないように思える。
なんとなく、フワッと終わる。
見る側は、へ〜そういう話だったの。で、それで?
なんか面白くない。
池田エライザの扱いや、大林宣彦の「時をかける少女」のオマージ的なところも不発だった(撮影地を尾道にした意味は?)
どこか見落としがあったのかな?
ただ、もう一度見直す気力はありませんが。
タイムリープの設定に問題あり
❶相性:中。
★タイムリープの設定に問題あり。
➋時代:2009年(10年前)と2019年(現在)。
❸舞台:広島県尾道市、同瀬戸田高校、他。
❹主な登場人物
①石田美雪(池田エライザ、28歳):主人公。高校時代に未来人の保彦と出会い、恋に落ちる。保彦の薬で未来の美雪と会い、保彦との思い出を小説に書くことを要望される。保彦との密なコンタクトは4番目。現在は東京で作家。5年前に持ち込んだ処女作『少女は時を翔けた』は見送りとなり、別の4冊が出版された。処女作は「母校が舞台で、未来から転校生がタイムリープしてくるSF青春ミステリー」で、その後、美雪が手直しして出版の目途が立つが盗作疑惑が起き、つぶれてしまう。
②園田保彦(阿達慶、19歳):300年後からやってきた未来少年。現在に書かれた小説に憧れて、転校生としてタイムリープしてきたが、タイムパラドックスが起きて未来に帰れなくなってしまう。それを解決すべく、茂の協力を得て、クラス34人全員と密なコンタクトを行い、目途がつく。人の記憶を消す超能力を持っていて、実行するとラベンダーの香りがする。
③雨宮友恵(橋本愛、28歳):美雪の同級生。父からDVを受けている。文学少女。美雪とは本や映画の話を親しくする中だったが、落とした鞄の中身を美雪が拾おうとして、それを拒んだことから疎遠になる。保彦との密なコンタクトは33番目。現在は東京在。美雪の初稿を友恵がリライトした『エンドレスサマー』がペンネームで出版される。
④林鈴子(久保田紗友、24歳):美雪の同級生。現在は、地元紙のライターとして働いている。地元に帰ってきた美雪と久しぶりに再会する。『少女、翔ける、時』と題する本を執筆中。
⑤酒井茂(倉悠貴、25歳):美雪の同級生。誰にでも優しく世話焼き。現在、同窓会にクラス全員を集めるべく、幹事として奮闘している。保彦のタイムパラドックスを解決するために協力する。
⑥長谷川敦子(山谷花純、28歳):美雪の同級生で、クラスのマドンナ。女優を目指していたが、現在は脚本家志望。小説を書いていてタイトルは『タイムリープ・ガール』。
⑦増田亜由美(大関れいか、27歳):美雪の同級生。明るい性格でクラスの中心人物。現在は介護士をしている。本を書いて同級生の友恵に見せたら、酷評されたと文句を言う。
⑧桜井唯(森田想、24歳):美雪の同級生。クラスの優等生。地元の新聞社に就職し、新聞記者として働いていて、本も書いていて、美雪に出版社を紹介してほしいと頼む。本のタイトルは『ガール・ミーツ・ガール』。
⑨西山晴子(福永朱梨、30歳):美雪の同級生。現在は一児の母であり、地元で美容師として働いている。ネットに小説を投稿していてタイトルは『翔ける、少女は時を』
⑩室井大介(前田旺志郎、24歳):美雪の同級生。クラスのムードメーカー。2017年に交通事故で亡くなる。2009年の室井が2019年にタイムリープしたとき、自分の位牌があり、家族が3回忌をしていることを知り、ショックを受ける。
⑪細田先生(尾美としのり、59歳):美雪たちの担任。転校してきた保彦をクラスに紹介し指導する。
⑫大槻和美(石田ひかり、52歳):美雪の母親。
⑬石田章介(篠原篤、41歳):美雪の夫。2016年に結婚。職は出版関係。美雪に盗作疑惑が出て調査する。
⑭佐野(長田庄平、44歳):美雪の担当編集者。美雪が2014年に持ち込んだ処女作『少女は時を翔けた』は難があり見送りとした、その後別の4冊を出版した。処女作は美雪が手直しして、出版の目途がついたが、別の編集者から、そっくりな本があると聞いて調べると、それは2年早い2012年に執筆されていた。
⑮多岐川(マキタスポーツ、54歳):編集者の1人。
❺考察1:本作の背景
①本作の舞台となった尾道は、小津安二郎監督の名作『東京物語』(53)の舞台であり、同市出身の大林宣彦監督が『転校生』(82)や『時をかける少女』(83)をはじめとした“尾道三部作”の舞台に選ぶなど、多くの映画人に愛されてきた“日本映画のふるさと”とも呼ばれる特別な場所。
②松居大悟監督インタビューによると、本作は、「大先輩にあたる大林監督が、『時をかける少女』を尾道で撮っていて、『リライト』の原作の舞台とは異なるものの、同じ“時間”をテーマに扱った作品として、尾道で撮影することに大きな意味を感じた」と語り、大林監督へのリスペクトを込めたことを明らかにしている。
③筒井康隆のタイムトラベルSF小説『時をかける少女(1967)』は、これまでに実写とアニメを合わせ、9回にわたり映像化されているそうだ(Wikipedia)。全作を観ているわけではないが、実写版では、本作は、下記2作を合わせた内容に近いようだ。
ⓐ『時をかける少女 (実写1983)』:
1983年、高1の主人公・和子が、677年後の未来から、必要なラベンダーを求めて、同級生としてタイムリープしてきた薬物学者の一夫と知り合い、不思議な体験をする。11年後、薬学の研究者となっていた和子は、勤務先で一人の青年に道を尋ねられる。青年は確かに一夫だったが、和子はそのことに気づかないまま行き先を教え、二人は別の方向に歩いていく・・・。
ⓑ『時をかける少女 (実写2010)』:
和子の一人娘・あかりを主人公に、女子高生のあかりが、交通事故で昏睡状態に陥った母の頼みで母の初恋相手・一夫に会うため2010年から1970年代へタイムリープする・・・。
④一方、脚本を担当した上田誠は「時間SF」を得意として、左記のコメディ4作が上出来で楽しい。
ⓐ『サマータイムマシン・ブルース(2005)』:ある日突然目の前に出現したタイムマシンを巡って思いがけない事態に巻き込まれる学生たちの姿を軽快なテンポで綴るコメディ。
ⓑ『ドロステのはてで僕ら(2020)』:雑居ビルの2階と1階のTVが2分の時差で繋がっていたタイムテレビのコメディ。
ⓒ『四畳半タイムマシンブルース(2022)』:真夏の京都を舞台にタイムマシンで昨日と今日を右往左往するコメディ。
ⓓ『リバー、流れないでよ(2023)』:京の奥座敷と呼ばれる貴船を舞台に、雪が降りしきる真冬の季節に、繰り返す「2分間」から抜け出せなくなってしまった人々の混乱を描くタイムループコメディ。
❻考察2:重大なロジック問題
★本作のロジックには2つの重大な整合性の問題がある。以下に説明する。
①時は西暦2311年の未来。保彦は、骨董屋で買った古書の内容に興味を持ち、舞台となっている2009年の尾道の高校にタイムリープする。天才少年・保彦は、タイムリープ出来る薬を発明していたのだ。
②保彦は美雪のクラスに転校生として編入され、美雪に町を案内してもらう。
③保彦のタイムリープには、条件があり、古書の作者を見つけないと、パラドックスを起こして、未来に帰れなくなるので、クラスメイト全員と接触し、解決の道を探る。
④終盤で作者が明かされる。それは美雪ではなく友恵だった。美雪は保彦が転入してからパラドックスが解決するまでを初稿としてまとめたが、2019年に出版されたのは、それをリライトした友恵の本で、2311年に保彦が読んだのは友恵版だった。
⑤大きな疑問点1
ⓐ2311年に保彦が読んだ古書には、保彦がタイムリープした2009年の出来事が書かれていた。
ⓑ2311年の保彦は、その古書を読むまでは、2009年のことは知らなかったし、タイムリープもしていない。
ⓒ然るに、2019年に出版されたその古書には、保彦が2009年にタイムリープしたことが書かれている。
ⓓこれは、保彦を2人作らない限り「タイムリープ」論では説明出来ない。パラレルワールドやマルチバースの概念が必要である。
⑥大きな疑問点2
ⓐ保彦は、2009年にパラドックスが解決して未来に帰れるようになったが、その後の状況から判断すると、未来には戻らず、友恵と結婚して過去に留まったと思われる。
ⓑ理由は、友恵がタイムリープの薬を複数持っていて、夫に作ってもらったと言っている。薬を作れる夫とは、保彦以外にはいない。
ⓒ更には、2019年に出版された友恵の本を、保彦がタイトルを指定して書店に買いに来る。そこには美雪もいて、美雪は保彦に気付いたが、保彦は美雪に気付かなかった。このことから、保彦は2019年までは過去にいたと思われる。
ⓓその後の保彦については描かれていないので不明だが、これが問題なのだ。未来人と言えども寿命は長くて100歳程、300歳を超えて生きることはないだろう。保彦が過去で死んでしまえば、未来の保彦は存在しないことになる。即ち、本作そのものが成立しなくなってしまう。だらか、保彦が過去に戻ったとはっきり明示して欲しい。
ⓔ他にも幾つもの疑問点があるが、上記2点に比べれば些細である。
❼考察2:正解試案
★描かれた物語は、上記❻に示した通り、ロジックに整合性のない部分があるので、一旦解体して、オリジナルの特長を生かした上で辻褄が合うよう再構築した。全部をリライトすることは無理なので、要点を示す。これは一例であり、別の正解もあることをお含みおき願いたい。
①時は西暦2311年の未来。天才少年・保彦は、服用すれば何処にでも自由にタイムリープ出来る画期的な新薬を発明する。
②保彦は、骨董屋で買った古書を読んで、興味を持った。それは『時をかける少女 (実写2010)』の物語で、尾道の女子高生を主役にしたタイムリープものだが、何よりも舞台となった尾道の魅力に惹かれた。
③保彦は、2009年の尾道の高校にタイムリープして、尾道での生活を満喫した。クラスメイトは文学好きが多く、保彦との出会いを小説にしようと競作するようになった。
④保彦が未来に帰ろうしたが、問題が起きた。薬を飲んでも未来に戻れず、タイムループに捕らわれていることが分かる。抜け出す条件は、競作の中から未来で保彦が読むことになる1冊を見つけ出すことだった。
★以下の展開はオリジナル通り。
⑤クラスメート全員と密なコンタクトを行った結果、目的の1冊が分かり、保彦は無事未来に戻ることが出来た。
⑥西暦2311年、保彦は、骨董店で、目的の古書『エンドレスサマー』を見つけることが出来、2009年当時の尾道での楽しかった記憶が蘇り、胸を熱くするのでありました。お終い。
❽まとめ
①300年後の未来で、何処にでも自由にタイムリープ出来る画期的な新薬を発明した天才少年・保彦が、2009年の尾道にタイムリープして、高3の主人公・美雪や友恵他のクラスメイトとの交流の状況をまとめた小説の作者を探す過程でタイムループに捕らわれ、クラスメイトたちもタイムリープを体験しながら解決に協力するとのSF物語には納得する。
②しかし、本作のロジックには❻に示したように2つの重大な整合性の問題がある。
③同じSFでも、これまでの上田脚本のようなコメディなら笑って見逃せるが、本作のような本格SF風となると、容認出来ない。
リスペクトではない。オリジナルとそれに感動した人々をいじっているようで、許せない。
時かけのエピゴーネンがまた1本。
冒頭からの一連のエピソードがリスペクト満載なうえに、ありがちかもしれないが青春ラブストーリーとしてキラキラしてて感動的。
池田エライザが美しく輝く瞳がとても印象的で、対する阿達慶も未来人らしい佇まいを上手く表現している。
そこからのサスペンスの流れも見事、そして終盤にかけてのまさかの凝りに凝った展開が面白い・・・とただ観ているときは思ったのですが、かなり引っかかるものが。
いくらなんでも「クラス全員」はやり過ぎ。
ありえない、せめて女子全員では?
祭りの夜に30回も入れ替わり立ち替わり射的をしたの?
それにしても茂、天才じゃね!
彼が一番作家向き、才能がある。
そこまで真面目に見てたこっちがバカを見た感じ。
憧れの彼も盗られて、悪役がリライトしたシナリオ通りの歴史が完結して、非常に後味が悪い。
「リライト」という名の盗作で成功してしまうのが納得いかない。
キラキラした自分だけの大事な青春の想い出を茶化され汚されて、踏みにじられ、さらに盗作作家の汚名を着せられたままの主人公。
33股かけられて騙されて、無理やり小説を書かされ人生まで変えさせられた、クラスメイト達。
こんな話がいいわけない。
オリジナル作品へのリスペクトどころではない。
オリジナルとそれに感動した人々を半笑いでいじってる?ディスっていて、許せない!
この悪ふざけの感じは、ヨーロッパ企画作品でも多少感じたことがあった。
同様の複雑な展開でも、結果みんながハッピーになれたり、ネガティヴなままなら、コメディにして笑い飛ばしたりしないと、気分が悪い。
それこそ、タイムパトロールが登場、悪者は逮捕。
みんなの記憶は修正されて、全員が物書きで成功してハッピーエンドなら納得できた。
観てくれた観客に嫌な思いさせてどうする。
題名(リライト)の捉え方
元祖「時をかける少女」へのオマージュ?
大林監督の「時をかける少女」を思いだしました。同じ尾道舞台。ラベンダーとか実験室(理科室?)の描写などもそのひとつですね。今作品には、尾美としのりさんが、先生役で出ていましたね。カメオ出演で、原田知世さん、岸部さん、根岸さんも出て欲しかったなぁ😭。
タイムリープが多すぎて、途中少し嫌気がさしてきました。池田さん、橋本さん他の役者さんたちの高校生役は、ちょっと厳しい感じがしましたね(←高校生には見えないなぁ。
突っ込みどころは多々ありますが、ちょっとしたSF作品かと思えば楽しめます。タイムトラベルできたら楽しかもしれませんが、未来永劫不可能ですね。可能ならこの時代にも未来から来ています~
ちゃんと面白い
松居監督(大悟)と「サマータイムマシン・ブルース」の脚本家上田さん(誠)。ならば酷いことはないだろうと鑑賞。やっぱりちゃんと面白かった。上田さんはヨーロッパ企画の主催者。彼の脚本で観た映画で言えば「四畳半タイムマシンブルース」(22)「ペンギンハイウェイ」(18)「夜は短し歩けよ乙女」(2017)と、俺との相性は極めてよい。実写では「リバー、流れないでよ」(23)が記憶に新しい。こうして振り返るとタイムリープ、好きなんだなあと思うね。タイムリープ物はちゃんと考えないといけないから、彼のような緻密な作家が得意にするところなのかな。まあ、原作ある場合は原作者が考えたのか。ただ本作で言えば、「いや、それはなんでも」的なハメを外したような設定で俺たちを煙に巻くシーンを描くのは、演劇の人だからお手のもの。そんな設定でも「でもまあ、絶対できないとは言えないかもな。うん、よく頑張ったよ。いい話じゃん」と思わせる勢いが、脚本と監督の才能なんだろうな。まあ、観てください。ちゃんと青春映画だと思う。
森見登さん(美彦)原作ものに比べると軽いというか小さいという点は、これはもうしょうがないよね。
池田さん(エライザ)はじめ全員が、28歳とその10年前を兼ねるのだが、けっこう高校生時代もできてた気がする。頑張った。久しぶりに久保田さん(紗友)もたっぷり観られて楽しかったが、彼女と初めて出会ったのは2017の「ハローグッドバイ」だったので、ちゃんと10年近くたったんだなあ、と感慨深い。
尾道ロケと言えば「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」。それらに出演した尾美さん(としのり)と、「ふたり」に出演した石田さん(ひかり)を配置してるのは渋いですね。ノスタルジーでした。
演劇系の映画は、面白い、小物感、記憶に残るのだが深くない、といった点で俺の中では共通している。「さすが、上手いなあ」で終わる感じ。それってすごいことだし、その分、肩肘張らず観られるのは圧倒的な強みだと思っている。
あ、書き忘れてた。橋本さん(愛)、さすがです。この映画を締めてるのは、あなたの演技です。感服。
おまけ1
やっぱ、ラベンダーの香りがしなきゃね。これを定着させた筒井さん(康隆)とNHK少年ドラマシリーズ「タイムトラベラー」に栄光あれ。
おまけ2
へえ、化学実験室でなくて図書室なんだ、と観ている際には思ったが、やはり最初は化学実験室なんだ、とわかった時は、またノスタルジー。そういった意味では爺さん向けの映画?
おまけ3
あゆみの飲み屋での、登場シーン、いいね。最高だよ。呑み会周りは全般に渡りさすがだなあ、と思わされた。
設定があまく、話しのスケールが小さく浅い
そのだ君は感動する本に出合い、その作者に会ってみたかったからタイムスリップしてきて、33人の人生をもてあそんだのなら自己中であり。スケールが小さく、この設定にグッと来なかった。
そのだ君が本を所有しているなら、その本に作者書いてあるでしょ?
なんらかの事情で作者が分からないのなら、どうしてあのクラスにいると推測できたのか。
つまり、そのだ君が本を所有しているという設定がおかしい。
そのだ君のお母さん(異母)が本の作者で、若くして亡くなったお母さんがよく読んでくれた自作の本のことを思い出して、異母だから名前が分からない、若いころのお母さんに会いたくてタイムスリップしてきた。
という設定のほうがロマンチックでストーリーに深みが出て良いと思いました。
あと、300年後から来た。
という設定が幼稚な漫画みたいで、30年後から来た設定のほうがリアリティが増して良いと思った。
果たして人生は「リライト」できるのか?
6/29「リライト」ティーチ・イン
で質問!できました✨
やはり焦点は、、、
ラストの主人公・美雪の「無音のセリフ」!
僕の解釈を監督にお話ししましたーー
「歴史(未来・現在・過去)を変えていいのか」という論点で、、、
やはり、美雪は優しい、まっすぐなジャッジを下したのではないか、、
(倫理的にも道徳的にも、、、)
それについて、松居監督は僕の目を見て真剣に答えてくださいました。
監督自身の個人的なジャッジは明かさずにーー
松居監督こそが優しくて、まっすぐな方です。そうでなければ、こんな感動する純粋な「リライト」は創れない!!!
6/23.ティーチ・イン
で、質問!できました✨
松居大悟監督が登壇されてティーチ・インがありました。その際の質問に対し「謎」であった、主人公・美雪のラストの「無音のセリフの内容」へ一つの「監督なりの回答」が聴けました。
「私なりの解釈」は置いておいて、監督の回答はまさに思いやりに満ち溢れた「心」のきれいな方々(監督や脚本家を含め)の「発想」そのものでした。
私は、この作品に時間を忘れて没入し、涙を流しました。人の優しさ・温かさに触れて幸せを実感する作品です。もう、これ以上、記せません。
力量を全く感じなかった
ジュブナイルの皮を被ったSFミステリーの力作
非常に楽しめました。
物語の導入は、主人公である女子高校生・美雪と謎の転校生・保彦の、ひと夏の思い出。美雪は保彦との約束を叶えるために作家になり、約束の本を完成して、出版間近にまで漕ぎ着けます。
ここで物語が変節し、美雪の本の出版に障害が起こります。
内容が似た本の作者は誰なのか、なぜ内容が似ているのか。ミステリーの幕開け。
高校のクラス会で、衝撃的なネタバレ。このあたりは謎あかしのサスペンスのようでした。
保彦は自分の時代に帰還するために、クラスメート全員と思い出作りをしていたとは。男子同士でも夏祭りに行って花火を見るなんて、薔薇ですか。
思い出作りの裏で、ミッション達成の協力者・茂の苦労がコミカルに表現されています。
そして最後は、美雪と、クラスメートの友恵の対決。美雪はこの物語を、自分のものにリライトしなかったのですね。
物語が進むに連れて、ストーリーが大きく転換して驚きがあり、楽しめました。
冒頭を大林宣彦作品のオマージュのように見せたのは、映画制作者側の仕掛けで、観客に落差を味合わせたかったように思えました。
物語の仕掛けで考えたこと。
(1)保彦が帰還するためのキーワードは「エンドレスサマー」だから、美雪が過去から来た自分に、小説のタイトルがそれだと伝えれば、保彦は帰還することが出来、物語をリライトできたはず。
(2)もうひとつ、美雪と友恵が対峙したとき互いの本を交換しましたが、このとき美雪が本を渡さなかったら、友恵は自分の本を書くことが出来なかったでしょう。むしろ美雪は因果律を閉じて世界を保つために、友恵に本を渡した、ということですね。
(3)友恵が過去にタイムリープしたとき、美雪のタイムリープ薬をすり替えて、現在に到着する日を遅らせたのは何故か。友恵は美雪の本を奪って小説を書いたことに負い目があり、美雪に逆転のチャンスを与えたのだと思いました。(1)で書いたとおりキーワードが保彦に伝われば、因果律が閉じて友恵のターンが来なくなるため。あるいは友恵は、美雪に挑戦したのでしょうか。
友恵が美雪から奪って書いた「エンドレスサマー」が保彦にとっての過去であり、この世界の正史なのでしょう。美雪は世界を壊さないために、自分の本を諦めた、という結末なのだと思いました。
人生は本質的にリライトではない。
原作未読。池田エライザ一択で鑑賞。
言いたいことはたくさんあります。
・園田がそんなにモテるほどカッコいいと思わない時点で、成り立っていない笑
・あの狭い祭りや学校で鉢合わせないのは無理だろ
・自分の本が出版できるかできないかの瀬戸際なのに東京に戻らない、ってあり得ない
でも、このようなことは些細なこと。
内容の本質としては、仮に未来の自分から何か言われたとして、それはリライトではなくきっかけ。自分がやりたいことを発見したに過ぎないのだと思う。
なので、小説家になった人もいれば、端から小説家になろうとしない人もいる。それが人生なのだろうと思った。
池田エライザの旦那がただのオッサンというのも好感度高い。
全207件中、41~60件目を表示