「原作さえもリライト」リライト Bigcatさんの映画レビュー(感想・評価)
原作さえもリライト
原作(映画ノベライズ版でない方の小説)にはあった、校舎を何度も崩壊させたり、いじめの場面を描写したりの場面は、実写映画で描くには適していなかったのか、原作の良さを損なわなず変えてあるのは好印象でした(ただ、舞台設定が静岡から広島に変わっているので、原作の地元の方々にとっては大変残念な変更かもしれません)。撮影上の都合と思われる変更にとどまらず、映画版独自のストーリー展開もあり、タイトルの「リライト」にはその意味もあるのかも、と思ってしまいました。
原作を読んでいなくても楽しめる内容でしたので、ストーリーや出演者など、何か少しでも気になっている方にはぜひ鑑賞をおすすめします。約2時間の上映時間で理解できるよう、原作よりも入りやすいのではないかと思います。ただ、原作ストーリーを少し簡略したのが映画版、というわけではないので、映画も原作も(元の原作も2度目、3度目と見直すことで発見することも少なくないです。興味持たれた方は、1回で終わらず何度も楽しんでほしい作品だと思います。
追記
監督登場のティーチイン上映会含め、今時点で映画版を4回見ましたが、どうしてもストーリーに関するもやもやが解消されずに残った部分があったように思います。一番大きいところでは、美雪は保彦との人生を選ぶべくさらにリライトしたのか、夫の章介さんとの人生を選び続けたのか、についてですが。
監督としてはどちらと決めず、映画を見た人それぞれが思い描いて良く、それが正解との趣旨のお話しをされていたと思います。
が、それでも気になってしまった方は、映画ノベライズ版の方に正解(の大部分)が書かれていますので、読んで答え合わせをしてみてください。もしかすると、答え合わせをする「覚悟」が必要かもしれませんが。
(ただもちろん、ノベライズ版と映画とで、どちらかのほうが他方よりも正解である、と決まっているわけでもないと思いますので、見た人次第・読んだ人次第、という監督の言葉がやはり正解なのかもしれません。
そこまで言い出すと、元の原作者が直接には描いていない、映画やノベライズ版の内容がそもそも「正解」になりうるのか、の話にもなってしまいそうなのでやめておきます。)
あとは細かいですが、表紙に美雪が「リライト」と手書きしたロルバーンのノートが映るシーン。何か重要そうだがどういうことなのか、映画では理解が追いつきませんでしたが、ノベライズ版を読んで「そういことだったか」と知ることができました。
評価も、当初の星3.5から4に変更しました。2回見てもまだもう1回見たいと思える作品となったので、星3.5では足りなかった。4.5にしようか迷いましたが、ノベライズ版では答えがあることについては、映画の方でももう少しは教えてくれても良かったのにと思うので、その手前の4にします。
追記前に書いていたコメント内容とも重複しますが、原作小説や映画ノベライズ版を読んでおかないと楽しめない・ストーリーが追えないということでは全くありませんので、その点はぜひご理解いただきたいです。映画だけで十分楽しめる作品であり、本の方ではどうなっているのだろうかと買ってしまうくらい、私にとっては良い映画でした。
