「「あなたを待っています」ラベンダーの花言葉」リライト 鉄猫さんの映画レビュー(感想・評価)
「あなたを待っています」ラベンダーの花言葉
ラベンダーの花言葉は「あなたを待っています」だそうで、自分の部屋で10年前の自分を待っている、小説を書いた人を待っているとか、この映画に合っていますね。この映画は大林監督の「時をかける少女」のオマージュに溢れていて微笑むべきなのか苦笑いするべきなのか、まあ、どちらにしろそこも楽しめました。
この映画の結末は結局どうなったのかわからなくなっちゃって、鑑賞してから4日間、頭の中を整理していました。図書室での種明かしのシーンからエンドロールまでに話が整理できなくて混乱したまま終わってしまいました。他の方のレビューを見れば答えに近づけるのでしょうけど、ある程度自分の中で筋を整理して、他の人のレビューで答え合わせをして、二回目再確認しに観に行くかどうか考えています、というのが一回目鑑賞時点の感想です。
話の全体の筋道から言うと、茂が好意を寄せていた友恵が最後の33人目になって友恵自身はタイムリープしなかったものの見事「エンドレス・サマー」のタイトルを保彦に告げ、保彦はやっと未来に帰れる状況になったけど友恵の説得で現時代で生きることを選択し、美雪に小説「少女は時を翔けた」を書かせ手に入れるために美雪周回の保彦に干渉させて10年+数日のカプセルを美雪に渡させた、という話に見えました。
友恵は未来の自分からもらった小説「少女は時を翔けた」を読んで周りを見渡すとみんな保彦と関わっているのに自分だけ関わっていない、だから33人目だと気がついた、という話でしたが時間軸で考えると33人は同時に保彦に接触しているわけで、ただ単に保彦が友恵に話かけるタイミングが遅かっただけ、何人目かは周りを見ても実際には本人にはわからないはずです。そして友恵周回で現時代で生きるためにタイムリープをやめ、そして出版されたのは美雪の書いた小説をリライトした「エンドレス・サマー」でした、と。
同窓会後の図書館での友恵の告白、本のタイトルは「エンドレス・サマー」、“エンドレス“とは何を指すのか、保彦が33週もタイムリープしているのを知っていたのは保彦本人と茂と友恵の3人だけ、しかし保彦が未来で読んだのはタイムリープ物の小説ではなかった、だからこそ小説を書いた人間1名を探し当てるため何度もタイムリープする羽目になっていると茂に文句言っていた訳で、美雪の「少女は時を翔けた」に“エンドレス“要素があったとも思えず、友恵がタイムリープ物にリライトしたなら保彦が未来で読んだ物ではない=出版されないものだろうし、じゃあ“エンドレス“って何だろう??と混乱していたら二つ目の混乱がすぐに来ました。
美雪がもらったタイムワープカプセルは友恵が夫になった保彦に頼んで10年と数日ずらして調合したものだった、ということは、もし友恵が最後の33人目で美雪がずっと前の周回だった時、美雪にカプセルを渡したのは数年後の友恵に頼まれた保彦だったわけで、その美雪周回の保彦は数年後の未来からやって来た保彦に干渉されたはずでその時に「あの本を書いたのは友恵だったわ」と聞いたとしたら次の周回は友恵を選ぶはずだし、未来の保彦から理由を聞かずにカプセルだけ受け取って美雪に渡したとしたら保彦も「何かあるゾ〜」と訝しげに思うはずだし、数年後から来た保彦が美雪周回の保彦に黙ってカプセルを渡したなら美雪は10年ちょうどのカプセルと10年+数日の二つのカプセルをもらうことになるはず、あれ?これどうなってんの?と混乱してしまいました。
10年+数日のカプセルだけを美雪に渡すためには友恵より美雪の方が後の周回だったはず、そして33人全員と周回するためには美雪が最後の33週目、そしてその前の32週目が友恵の周回だったんじゃないか、32週目で答え合わせの「エンドレス・サマー」にたどり着きこれでいつでも帰れるわとホッとして友恵の説得で現時代に生きることにしたものの友恵から小説の原本「少女は時を翔けた」をまだ手に入れていない事を聞いていたら美雪が小説家でデビューした事を知り、原本を書いたのは美雪だと判ったものの保彦は美雪だけ残して周回していないことに気がついて数年後から再度カプセルを飲み茂の元に戻る。保彦は茂に「お前がモタモタしてっから、ちょっと老けちゃったじゃんよー」とおどけながら言っていましたが、実際に数年経っていたので本当に老けていた。茂は最後まで残していた美雪を保彦が未来に戻るために手解きすることにした。そして「数年老けた友恵の夫の保彦」が33週目の美雪周回を実行し10年+数日のカプセルを美雪に渡した。つまり、「茂が恋心を寄せていたのは友恵ではなくて美雪だった。」と言う話だったのでしょうか?
美雪の書いた「少女は時を翔けた」を手にいれ、過去の友恵に渡せたことでこれでようやく保彦はカプセルを飲んで未来に戻れる状態になったはず、と言っても実はそれも保彦の考えた仮定の話。結局その後未来に戻れるようになったのかどうか描写はありません。もしかしたら保彦が未来で読んだ小説は美雪の書いた「少女は時を翔けた」で、友恵が過去に送って“リライト“してしまったものだから小説の内容がタイムリープもの「エンドレス・サマー」に書きかわっちゃって、保彦は未来永劫タイムリープから抜け出せなくなり二度と未来に戻れなくなってしまった=人生の“リライト“をしちゃったのかも知れません。
結局のところ保彦が未来で読んだのは「少女は時を翔けた」なのか「エンドレス・サマー」なのか、タイムリープから抜け出せるのかもう抜け出せないのか、友恵の干渉で未来が変わっちゃったのかどうなのか、このあたりが混乱して複雑な気持ちでエンドロールを見る私。何か見逃したのか、もっとちゃんと見ていれば伏線はあったのか、大きな勘違いをしているのか、あの“口パク“はなんて言ったのか、一回観ただけではよくわかりませんでした。他の方のレビューや解説を見れば答えがわかって「あ!そういうことだったのか!」と理解できたなら再確認しに二回目を見に行くかも知れません。そういう映画に作ってあるんだと思います。
さあ、これアップしたら他の方のレビューを見ますかね。
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