「スティッチは確かにかわいいけど、、」リロ&スティッチ まさんの映画レビュー(感想・評価)
スティッチは確かにかわいいけど、、
スティッチというキャラの可愛さ、いたずらの面白さを楽しみたい人にはとてもおすすめです。モフモフなスティッチが動き回っているのは非常にキュートでした。実写ならではのいたずらの数々も面白く、笑い合うリロとスティッチは純粋に可愛かったです。ずっとそのまま仲良しでいてほしい。キャスティングもキャラのイメージを崩さずとても良かったと思います。ハワイアンローラーコースターライドとリロの歌のリメイクもファンとして嬉しかったです。
ただ、ストーリー重視だった私は率直に言ってがっかりしました。色々とモヤモヤしています。
まず、リロとナニの家庭崩壊の描写がマイルドで、原作のリロの友達と馴染めない空気、手作りの人形に「虫が耳に卵を生んで2、3日しか生きられない」という設定をつけてしまうような、圧倒的にズレていると感じさせる描写が少なかったように思います。また、スティッチの破壊本能も薄れてしまっているというか、ただのヤンチャないたずら、のようになってしまっている。さらに今作にはみにくいアヒルの子の絵本が登場しません。これらの改変によって後半のリロやスティッチの変化、成長が見えづらく、「愛を知らないエイリアンと愛を無くしたひとりぼっちの少女」というキャッチコピーにも沿わなくなってしまったように感じます。
リロの「本当の友達が欲しい」という願いを叶えるためにおそらく金銭的にも余裕のない中でペットを飼おうとするナニの愛情、破壊という存在意義を失ったスティッチが虚無感を抱き、みにくいアヒルの子と孤独を抱えた自身を重ね合わせ「ボク迷子」と彷徨う、そのスティッチが学んだ「オハナは家族、家族はいつもそばにいる」という愛情、その愛情に動かされるナニやジャンバ、リロとナニを引き離そうとしているように見えて実際は2人の環境を良くするためにとても考えてくれているコブラ・バブルスの存在(スティッチを買ったんだろと助言してくれるところも笑)
そういった原作の好きだった部分、物語上大切だと感じていたシーンがごっそりなくなってしまいました。そもそもガントゥがいないし、リロとナニを連邦の保護下に置くことで共に暮らせるようにしてくれる議長もないし(結果バラバラに暮らす)、よく分からないお隣さんもいるし(良い人だけど)、コブラも必要だったか?という程度の出番しかなく何もしてないし、デイヴィッドももっとナニとリロのために沢山力を貸してくれる良い奴なのに、、、何よりジャンバは本来愛のある、愛されるべきキャラクターのはずです。そうあるべきでした。
そういった原作との違いを無視しても、映画としてなんだか全体的に間のとり方というか、テンポ感がいまいちで、見ている側の感情が乗っかりにくい印象です。
最後のシーンでスティッチがリロを助けるために死を選ぼうとする展開は感動しましたが、その程度です。アニメから実写になってるわけですし、求められるリアリティも違う、時代も変わってるので改変するなとは言いませんが、あまりの変わりようで私のような原作こそ最高!というタイプの人間には向かなかったようです。マスコットとしてのスティッチを楽しみたい人、原作未視聴、別作品として楽しめる人には普通に面白い映画なんでしょう。
あと謎に絶賛ムードがあるのもモヤモヤの原因かも。
予告編の時点での期待値が高かっただけに残念です。字幕、吹替、4DXと最低3回は見るつもりでしたが、1回見てもういいかな、と思ってしまいました。
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