劇場公開日 2025年2月14日

「ドキュメンタリー等で何度も見たこの事件が、新たな角度から見られた。」セプテンバー5 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ドキュメンタリー等で何度も見たこの事件が、新たな角度から見られた。

2025年6月2日
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鑑賞方法:映画館

1972年ミュンヘン五輪で起きたこの事件、
そもそもいけなかったのは、
フェンスを乗り越えて侵入したテロリストたちを見ていながら、
選手が人目を忍んで戻っただけだと思って警備員が見逃したこと。

ただ警備が甘かったのは、
厳重にし過ぎるとナチの収容所を連想させる
(当時はまだ戦後27年)
というドイツ側の懸念があったゆえのことらしい
――というような情報も盛り込まれ、

ニュースやドキュメンタリーで何度も見たこの事件が、
まったく新たな角度から見られた。

テレビの生中継を犯人も見ていた、だから警察の動きも犯人に筒抜けだった
というのは有名な話だが、
(生中継されることに思い至らなかった警察がアホだったとしか思えないけど)
警察がそれに気づいてABCに乗り込んだ、というのは初めて知った。

ジェフリー・メイソン本人がインタビューで
「9月5日に何が起きたかを忠実に描く物語」と語っている(by映画.com)ので、
描かれる事実は確かなのだろう。

ともあれ、
結末は分かっていても、それに至る過程、
短いカットと研ぎ澄まされた台詞で
一人ひとりの心理が的確に描写されていて、

見事でありました。

島田庵
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