「自分自身の「正しさ」とは何か」セプテンバー5 satoさんの映画レビュー(感想・評価)
自分自身の「正しさ」とは何か
クリックして本文を読む
オリンピックと言う華やかな祭典の裏で起きていた恐ろしい事件。
何を映し何を伝えるのか。報道の正義とは何か。
オリンピック中継チーム視点で緩やかに始まり、突然聞こえた銃声から物語は進展していく。
降って湧いた大スクープに他人事のような無責任な盛り上がり方をするクルー達。
伝えなければならないのは「注目される事」なのか。
正しさとは。真実とは。
時間だけが過ぎて行く中、何としても報道を続ける為に四苦八苦し、知恵を絞りあの手この手で何とか事件を追っていく。
その様子は緊張感と緊迫感に溢れ、仕事に対する情熱も意地もプライドも伝わってくる。
だからこそ、思う。
全てを見せることが正しいのか。
ひたすら疑問が浮かんでは別の疑問に埋め尽くされ、この映画を「面白かった」などと言う言葉で表現出来ないような、そんな深い水の中にいるような感情。
最悪の結末を迎えて「事件は」幕を閉じる。
追悼番組の打ち合わせをするスタッフ達。
正しさとは何か。誰の為の報道なのか。
情報に溢れ、誰も彼もが「発信する」立場になれる今こそ、もう一度自分自身の正義について問いただすべきではないのか。
ただひたすら、胸の奥に何かが残った、そんな素晴らしい映画だった。
コメントする