「【弟はどこ行った?】」おいしくて泣くとき abuさんの映画レビュー(感想・評価)
【弟はどこ行った?】
多くの風呂敷を広げたまま畳まない映画だった。
「子ども食堂」やネグレクトを丁寧に描き出すかと思いきや、最終的に核心へ触れずに終わる無責任さが残る。旧ジャニーズ主演の“アイドル映画”の色が強く、演技の温度も揃っていない。
タイトルが「おいしくて泣く」なら、その“おいしくて泣く瞬間”がクライマックスであるべきだが、作品のピークは別所にあり、過去編と現代編の噛み合わせも悪い。社会問題に踏み込み「偽善者」とまで言い切るのなら、その線をどう収めるのか——そこを畳まないまま走り抜けてしまう。
テーマは良いのに、物語の回収が追いつかない。
惜しい、の一言に尽きる。
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