「ピュアな感性だけでできているから心に響く」おいしくて泣くとき グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
ピュアな感性だけでできているから心に響く
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心也と夕花を取り巻く環境を濾過して、この世の醜い感情や非現実性を取り除き、残ったピュアな感性だけで作り上げた。そんな作品だと思います。
だから、取り除かれた部分についての説明描写はかなりカットされ、説明不足な点もかなりある。例えば、夕花の家族構成についての背景説明も最小限だったし、かざま食堂の子ども食堂がなぜ偽善と思われているか(心無い悪質な噂などを言ってる大人たちがいなければ、15歳のクラスであんなことは起こらない)も映画の中では語られない。転居後の夕花が誰のどのような好意に支えられ、現在の家族を得るに至ったのか、についても、娘の説明だけでは不十分で、冷静に考えたら、いくらなんでもそれは…というところが結構あるのです。
それなのに、なぜか素直に泣かされてしまう。
貧困や虐待だけでなく、頻発する自然災害や痛ましい事件・事故などの報に接するたびに無力感に苛まれている人はたくさんいるはずなのに、「善意」の振る舞い方は意外と難しい。
単発の寄付やボランティア参加等、それなりの方法はあるけれど、困難な状況に置かれている人たちにとっての居場所が提供できるのならそれはなにものにも替えがたい救いでもある。
この作品はそんな善意の在り方を素朴に示してくれるから、直接心に響いてくるのだと思います。
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