「物価高が続く今だからこそ見ておきたい映画」おいしくて泣くとき ヤンバルクイナさんの映画レビュー(感想・評価)
物価高が続く今だからこそ見ておきたい映画
「お金がない、つながりがない、自信がない」状態を貧困であると湯浅誠さんが定義しておられました。
本作も子供の貧困が軸にありますが、手を差し伸べてくれる周囲の存在があります
2021年時点で9人に1人の子どもが貧困状態にあるとされています。
2015年では6人に1人だったのでかなり改善されている数字ではありますが、昨今の物価高から苦しい生活を余儀なくされている家庭も少なくないかと思われます。
そんな状況で自分にできることは何か、考える一助となる作品になっていると思っています。
主演の長尾くんは、砂塵が舞う荒野の室町時代から、約550年の時を経て高校生に。
室町時代では盗賊(風情)に襲われている最中におにぎりを食べるほど食う物に困っていましたが、今作では食堂を営む父とともに子供の食事を守っています。
いつの時代も食べ物は大切だと我々に気づかせてくれますね。
お芝居も前作のキャラクターもりもりの演技から、今作ではシンプルで静かで日常にいそうな演技をされていて幅広さを感じられました。
ストーリーもシンプルで分かりやすくていいお話でした。
「感動のラストにあなたはきっと涙する」みたいなありきたりな宣伝文句が嫌いなんですが、ラスト少し泣いてしまって悔しかったです。
ただ、高校生のいじめの様が幼稚で気になりました。
高校生てもっと知性がある人間だと思うんですが……
先生もクラスの地味な子が役職押し付けられそうになってるんだから守ってあげてほしいし、
生徒がシンナーを借りに来たならしっかり事情を聞いてあげてほしい。
記憶喪失の件は映画オリジナルストーリーでしたが、そのへんの設定があまいのが気になってしまいました
・本名分からないレベルで身元不明になることある?
・おそらく父親が逮捕されていないのが胸糞悪い(逮捕されていれば身元不明にならないと思うので)
・身元不明後の生活立て直しめちゃ早い
きっと本名も分からないレベルならそれこそ貧困状態だったと思いますが、子どもの年齢層的に記憶喪失後数年で結婚・出産に至っているのが違和感
・四葉のクローバーのしおりや船の折り紙はどこに保管していたのか
(家に保管していたのなら身元分かるのでは?)
など
細かいことをぐちぐちと言いましたが、お互いの人生を歩む2人の姿に感動しました
これは映画とあまり関係ない情報ですが、
本作に子ども食堂監修として参画しておられる近藤博子さんは「子ども食堂」の名付け親です。
本作の子ども食堂は子供の貧困に直接リーチする「ケア付き食堂」と呼ばれる分類にあるかと思いますが、
近藤さんは、子供も大人もみんな食べに来ていいよ!な交流拠点としての食堂からスタートされており、「子どもだけでも来られる食堂」の意味合いで名付けられたそうです。(「共生食堂」と分類されます。)
子ども食堂といってもいろんな食堂があるんだよ、ということを最後に書いておきます。
(湯浅誠/「なんとかする」子どもの貧困 より)
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。