「樋口真嗣監督の新幹線大爆破は空前絶後のパニック映画だ!」新幹線大爆破 わんさんの映画レビュー(感想・評価)
樋口真嗣監督の新幹線大爆破は空前絶後のパニック映画だ!
樋口真嗣監督による「日本沈没」(2006年)はオリジナルと異なり日本を沈没させず逆に世間をびっくりさせた。
作品がもたらす深い感動とは別に、その点に於いて厳しい評価もあったようだ。
じゃあ、本作「新幹線大爆破」リブート版では、今度こそ題名通り新幹線は爆破されてしまうのか、それとも日本沈没のように誰かの犠牲の上に爆発することなく再び感動のヒューマンドラマで幕となるのか、実はこれにドキドキしながらの鑑賞だった。
1975年作品では、取り付けられた爆弾を処理することで新幹線も乗客も無事だった。爆発の場面は想像上のシーンだったのだから、爆発しなくても今度はオリジナルに沿ってると言える。
パニック映画は、人間ドラマの展開も必要だが、やはりとんでもない災難のシーンこそが不可欠であり醍醐味なのだと個人的には思う。
往年の「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年)しかり、「タワーリング・インフェルノ」(1974年)しかりである。
この「新幹線大爆破」リブート版で、樋口監督は、乗員乗客全員を無事生還させる人間の英知と、新幹線の想像を超える迫力ある大爆発という、観客の2つの欲求を見事に両立させた。よくぞやってくれたと感無量である。
冒頭から走り始めたはやぶさ60号。煌めきながら飛ぶように滑っていく緑色の車両。この舞台で300人を超える乗客の無事を確保しつつ爆発を実現させるなど、難易度としては船の沈没やビルで火災を起こさせる比ではないだろう。しかし、笠置(斎藤工)は思いつく。彼が作戦を披露していく流れは、感動でブルブルッと震えが止まらなかった。
そして、やるべきことをやり尽くしたラストシーンの高市(草彅剛)の姿は「タワーリング・インフェルノ」のラストシーンのダグ(ポール・ニューマン)に見え、マイケル(スティーブ・マックイーン)にも見えたのは僕だけだろうか。