「罪人だとしても、よく生きた」「桐島です」 Boncompagno da Tacaocaさんの映画レビュー(感想・評価)
罪人だとしても、よく生きた
映画でしか撮れないテーマを、よく撮ったと思う。史実に基づくとはいえ、現在もある企業が爆破された事件をテレビドラマにはできない。もちろん彼ら活動家たちの犯罪を讃美するものではないが、あの時代が産んだ人間たちでもあり、そういう人間の生きざまを描くものがあってよい。健康保険証もなしに、よく40数年も生き延びたものだと思う。彼らの行ったことの方法論は間違っていたかもしれないが、彼らの時代認識、歴史や社会の解釈を全否定できるほど、この国は問題がないものではない。安倍首相のあの無理矢理の説明会見が使われていたのも、よく分かる。あの時代の雰囲気を知っている高橋伴明・惠子夫妻だからこそ、撮れた映画と思う。おそらく桐島の人生は詳しく知りようがないのだろうが、それをよく想像で埋めている。見てよかった。
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