「「正義」のために不器用に生きた人」「桐島です」 スー(ジェーンじゃない方)さんの映画レビュー(感想・評価)
「正義」のために不器用に生きた人
若い頃は、誰しも「正義でありたい」と願うものだ。
だが、そのやり方は本当に正しかったのだろうか。
桐島が払った代償はあまりにも大きい。
がんを患い倒れるまで、偽名で肉体労働を続け、実家に連絡したくてもできず、また恋愛もできず、社会の中に存在しながら存在しない者として「逃亡」という名の不自由を生きてきた。
しかも、長年にわたって爆破事件の悪夢にうなされ続けていたという。
かつて交際していた女性は、大手企業に就職するために彼と別れた。
賢明なのは彼女の方であり、多くの人がその道を選ぶだろう。
それでも、桐島は晩年に至ってもなお、
イラク戦争を主導したアメリカに追従する後方支援の方針を掲げた安倍晋三に、
あるいはクルド人や在日外国人への差別発言を見過ごす社会に、
怒りを燃やし続けた「正義の人」だった。
──不器用にもほどがある!
彼が共感していた河島英五の「時代遅れ」の歌詞は、確かに深く胸に刺さる。
私自身にも、「なぜこの作詞者は俺の気持ちがわかるんだ…!」と心を掴まれた曲がある。
苦しかった時期、寄り添ってくれたその一曲は、いまも人生の一部だ。
「日本がこんな国でごめんね」──
その言葉が、今も忘れられない。
補足
①ノンフィクションのていで感想を書いてしまいましたが、本作はフィクションです。
②全編で流れる内田勘太郎のスライドギターも良かった。ブルースファンにも観て欲しい。
③どーでも良いですが、良く行く三ノ輪商店街の場面があり、嬉しかった。笑
④もっとどーでも良いけど、桐島のルックスが友人にソックリで、言おうか少し迷う。笑笑
⑤同じく桐島聡を主人公にした足立正生監督の映画「逃走」も観てみたかった。(気づいた時には、残念ながら終映していた。)泣
遅ればせながら、フォローありがとうございます。フォローバックさせていただきました。私はこの映画は今ひとつだと感じたのですが、貴レビューの桐島に関する記述を読んで共感をクリックした次第です

