「天才女優伊藤沙莉本領発揮 さとうきびなのにてんさいこれいかに」風のマジム 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
天才女優伊藤沙莉本領発揮 さとうきびなのにてんさいこれいかに
2025年映画館鑑賞90作品目
9月22日(月)イオンシネマ石巻
ハッピーマンデー1200円
原作は『カフーを待ちわびて』『ランウェイ☆ビート』『でーれーガールズ』『キネマの神様』『総理の夫』の原田マハ
監督はCMディレクターの芳賀薫
脚本は劇団「オッホ」主宰の黒川麻衣
どんな話か?
地元沖縄産サトウキビを原料に初めての国産ラム酒を作る会社を立ち上げた若い女性の話
しかもどうせやるなら主流のインダストリアル製法(サトウキビから砂糖を作る際にできてしまう廃糖蜜を発酵)ではなく希少価値が高いアグリコール製法(サトウキビの搾り汁から直接発酵)に素人がいきなり無謀な挑戦
サトウキビの搾り汁は傷みが早いため工場はサトウキビ畑の隣に作らないといけない
マジムとはヒロインまじむが由来
醸造職人瀬那覇仁裕が出来たばかりの国内初ラム酒に命名した商品名が「風のマジム」
「まじむ」と琉球の言葉で標準語だと「真心」
はじめは軽い気持ちだったものの段々と真剣になっていく過程が見どころ
実話に基づいたフィクション
伊波まじむのモデルはベンチャー企業「グイレス」の社長金城祐子
まじむは独身だが金城社長は子供も抱えていた
プレゼンと交渉がメイン
なんと言っても俳優伊藤沙莉の様々な顔芸に尽きる
エンドロールでもいろいろと振り返るが今回の伊藤沙莉はとても素晴らしい
彼女の代表作と言っても過言ではない
会社でのプレゼンが済んだ時の表情
南大東島でプレゼンしようとしたが断固拒否された時の表情
完成したラム酒を試飲した時の満足げな表情
などなど
兄は彼女を天才女優というがいくら身内でも煽て過ぎと感じたものだがやはり彼女は天才だった
彼女は大根ではないがムラがある
例えば山田孝之白鳥玉季が親子役で共演した『ステップ』で保育士で出演していたがコケかたがコントっぽく酷かった
『タイトル、拒絶』で泣くシーンも嘘泣き丸出しだった
それらも今になって思えば演出家の要求に従ったまでの話なんだと合点がいく
今回の伊藤沙莉は完璧だった
志保はゆりやんレトリィバァっぽかったが別人だった
孫に継いでもらえない豆腐店店主が悲しげでせつない
島の人たちに「ラム酒?マジムリ」と言ってほしかったが沖縄県民という設定では無理があるか
舞台が沖縄だけに沖縄っぽい苗字盛りだくさん
エンドロールのモブキャラのキャストに「運天」の文字が懐かしい
いたなあ元日ハム投手運天ジョンクレイトン
映画を観たあとラム酒が飲みたくなったがコンビニで扱っている店はなかなかない
ジンやウォッカはあってもなかなかラムがない
カンパリを扱っているようなスーパーなら大抵置いているのだが
配役
那覇の豆腐店店主の孫で琉球アイコムの契約社員から沖縄県産ラム酒の企画立案し子会社のラム酒メーカー社長に就任する伊波まじむに伊藤沙莉
まじむやカマルの行きつけのバーのバーテンダーで沖縄県産ラム酒製造のきっかけを作った後藤田吾朗に染谷将太
琉球アイコムの新事業開発部部長でまじむに理解ある儀間鋭一に尚玄
新規開発に関わる先輩社員でクールでちょっときつい糸数啓子にシシド・カフカ
まじむの部署の主任で職場に置くお菓子にうるさい仲宗根光章に橋本一郎
まじむの部署の正社員でまじむに協力する眼鏡の知念冨美枝に小野寺ずる
まじむの中学時代の友人でまじむの祖母や母にも可愛がられている南大東島商工会青年特使の仲里一平になかち
一平の妻で食堂手伝いをしている島の住人で若者がどんどん島を離れていくことを憂いまじむが提案するするラム酒製造事業に賛成し島の反対派に訴えかける仲里志保に下地萌音
一平にアグリコールラムを届ける配達員の友利に川田広樹
地元沖縄でワイン作りをしている伝説の醸造職人でまじむから熱心にラム酒作りをお願いされる瀬那覇仁裕に滝藤賢一
東京の高名な醸造コンサルタントで沖縄でラム酒作りをする気はなく琉球アイコムの方針に反してまじむからは敬遠される朱鷺岡明彦
南大東島の商工会の会長で歩いて1時間の距離を軽トラで村の中心部までまじむを乗せてくれた東江大順に肥後克広
まじむの母でカマルの仕事を手伝う伊波サヨ子に富田靖子
まじむの祖母で豆腐店店主で酒が大好きな伊波カマルに高畑淳子
琉球アイコムの社員に伊芸勇馬
琉球アイコムの社員の野原光雄に宮里紀一郎
プレゼンのライバル社員でサンゴの養殖を提案する仲村渠悠太に玉城琉太
バーテンダーに島袋らな
琉球アイコムの社長の桃原克博
南大東島の村長に大嶺淳
サトウキビ畑のオーナーに仲座健太
サトウキビ畑のオーナーの息子に呉屋栄大
南大東島の反対派に当山彰一
商工会議所のメンバーに大福みっちー
商工会議所のメンバーに金城真文
南大東島の島民に具志堅興治
南大東島の島民に前花友克
朱鷺岡の秘書に小池真名実
沖縄ことば監修&指導に今科子
