劇場公開日 2025年9月12日

「序盤からいろいろ混乱させるところが厳しいか…。」風のマジム yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 序盤からいろいろ混乱させるところが厳しいか…。

2025年9月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年187本目(合計1,728本目/今月(2025年9月度)6本目)。

 この映画のストーリーの大筋においてはどうも実話のようなので、それを無視することはどうしてもできません。

 さて、超序盤に司法書士の資格を取って…というようなシーンがあります。それとの比較対象は、当然、契約社員の主人公ということになります。

 ただ、映画のストーリーを進めていくと、例えば、酒造の許可は「場所、お酒の種類ごとに」分けて申請が必要ですし(行政書士と税理士の共管業務)、工場の農地転用なんていうのはこれはもう行政書士の専権であったりします。ただ、この許認可関係が一切描写されないので自分でやったのか、あるいは行政書士という人がいてその人以外にやらせると(原則)アウトであるということまで扱うのは厳しいと判断されたのか、序盤に司法書士うんぬんという話題が出るので、どこかで不動産登記(民法177条から派生)法等の話をするのかと思いきや、展開はほぼほぼ行政に対する許認可の話であったりするので、なぜにそんな展開にしたんだろう…。

 もっとも、ストーリーが実話である以上、大きな部分は変えるべきではないし、またここであげた点は気になる点ではあるにとどまるのは確かです。

 採点に関しては以下まで考慮しています。

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 (減点1.0/農地転用等の扱いが雑)

 農地を他の用途にかえる、つまり、農地転用許可は行政書士の主なお仕事の一つです。この映画でいえばいくらでも出てくる余地はあるのですが、出てこないんですよね…。あと、酒造も勝手にやってはアウトです(もちろん、自分で全部申請しました、というのなら構いませんが)。

 …というより、エンディングロールまでみても司法書士事務所は出ない一方(そもそも、不動産登記の話すらしない)、公認会計士事務所は出てくるので、???な状態で、何がどうなっているんだろうといったところです(かつ、公認会計士と税理士はどう違うか等まで踏み込むと時間が足りなくなるので、全てカットされた模様)。

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 (減点0.3/主人公が南大東島に行って説得するシーン)

 明らかに越権代理(権限踰越の表見代理/民法110条)なので、通常の有権代理(代理が有効であるもの)ではなく(無権代理あるいは)表見代理であって(あるいは、代理権付与の表示の表見代理(109条)との重畳適用等もありうる)、通常の有権代理と同じ扱いにはなりません(ただ、完全な無権代理かというと微妙なところではある)。

 ※ 表見代理を、有権代理よりにみる立場(有権代理で、一部の要件を欠くもの)と、無権代理よりに見る立場(無権代理の中で、いくつかの要件は満たしているもの)はいくつかの考えが存在します(個人的には有権代理よりの立場で見ています)。

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yukispica