ユニバーサル・ランゲージのレビュー・感想・評価
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#ウィニペグ行ってきた
実在するカナダの都市ウィニペグであり得ないもしも設定(=公用語がフランス語とペルシャ語)を置いて始まるというウェス・アンダーソン監督色強めな印象の映画。冒頭5分で理不尽極まりなく怒号浴びせまくる教師のシーンで見ているのが辛くて早々に離脱する必要すら感じたけれども諦めなくて良かったー。最後まで観たら『人ってひとりでは生きていけないよね』となんかほっこりすらしちゃう。
(好きポイント💜)
・とにかくアートで素敵。町中の建物がいちいちカッコイイ。立体駐車場のぐるぐるを追うとか斬新🌀
・子供が活躍!でも子供には厳しく!決して甘やかさない!!
・オトナには癒しの時間。いいんだよ、それで。オトナはオトナになるまで頑張ってきてるんだから。
(⚠️注意点)
・上述の初めの5分でキレ散らかす教師。マジで胸糞。環境型パワハラってこれかーと納得してしまった…
・音楽が謎にデカくてジャンプスケア味強い←苦手すぎた…
この監督の過去作品、カナダ首相の座を巡る権力争いを皮肉と遊び心たっぷりに描いたブラック・コメディ「The 20th Century」も観てみたい!!
不思議な世界観を旅した気分
どんなに平凡なものでも人の連帯を表す記念碑(モニュメント)になる
Wアンダーソンな距離感に + カウリスマキなペーソスを感じさせるデッドパンを足して + キアロスタミのドラマ性を感じさせるような不思議な味わいのドラメディ
感情・気持ちほど普遍的なものはない、言語の壁も越えてどんな言葉よりも強力だ。だから、世界の共通言語は英語でもフランス語でもなくて、記憶を手繰り寄せる手がかりとそれにまつわる感情だ。そして、それは当人だけじゃなくて、周囲や時を超えて見知らぬ誰かにも伝搬していくかもしれないバトン。なんてことのないことやものに名前を付けたり、そのふとした瞬間を切り取って永遠のものにするのはぼくら人間だ。だから時には貨幣を凍らせて、昔の人と人との関わりに戻るのもいいかも。
どこでも名所になる。車が絶えず行き交う道路に挟まれたお墓や写真と同じように何もない駐車場やベンチに置き忘れられたブリーフケース、そして(蒸発して消えていく)"涙のコレクション"に象徴されるように、そこに確かにあった(いた・存在した)ことで、連想ゲームのように自然と想起される思い出や過去のこと。すべてつながっている。
非ハリウッドらしい写真や絵画のような遠景ロングショットと対して、手元などを映し出すショットは、淡々とオフビートでペーソスを感じさせるデッドパンにシュールな中にもドラマ性を決して蔑ろにはしない。画作り・映像や語り口・トーン(距離感)的にはウェス・アンダーソンやアキ・カウリスマキ、アッバス・キアロスタミに通じるものがあり、個人的にはロイ・アンダーソン(が『街の上で』を撮ったら?)辺りも少し彷彿とさせる。
時代を感じる広告。ウィニペグの地域性や風俗・文化、本作の裏に込められたバックグラウンドなど知らないが、それでも自分にも刺さるものがあった。まさしく"記念碑"的作品!
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