「トム・クルーズが走る、それだけでいい。」ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
トム・クルーズが走る、それだけでいい。
2025年。クリストファー・マッカリー監督。アメリカの諜報機関IMFの一員でありながら、時に組織の命令を無視して世界の平和と秩序を守るスパイ、イーサン・ハント。大義と親しいものの命との板挟みにおいて、どちらかを選ぶ決断をするのではなく、両方をなんとかしようとする賭けに出て、それを超人的な肉体で成し遂げてしまう男の話。
つまり、板挟みの状況が板挟みになってないわけで、映画の狙いは「決断」のカタストロフではなく、不可能を可能するトム・クルーズの人間離れした行動と肉体にある。スタントマンを使わないことを宣伝文句にしているのも、まさにそこにこのシリーズの生命線がかかっているからだろう。だから、過去の因縁をすべて回収しようとする物語がとっちらかっていても、ポリティカル・コレクトネスを意識しすぎた大真面目な展開も、大した問題ではない。物語展開や倫理観は徹頭徹尾ネタにすぎない。
そんなことは見る前からわかっていても、やはり、トム・クルーズが殴られたりおぼれたりして浮かべる苦悶の表情や、空気抵抗で髪がべったりと顔にはりついて顔がゆがむ様子、さらに足を不自然に大きく上げて走る姿にみとれてしまう。
トムが走る限り、ミッションは終わらない。
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