「宗教という心理的支配」異端者の家 soleilさんの映画レビュー(感想・評価)
宗教という心理的支配
暴力も否定も圧力もかけずに、あたかも自分で選んだ道かのように静かに引きずり込まれていく話術。
最初から異変を感じつつも、人懐っこいイケおじのオープンマインドな笑顔とブルーベリーパイの香りになんとなく流されていくウブっ子のシスター2人。
玄関も開かず、電波も届かず、どんどん追い込まれていくけど冷静さを欠かさない黒髪シスター。
モルモン教を知らなかったから、会話劇部分はちと眠くなってしまったけど、途中からいい感じに危うくなってく。
勝ち気で冷静で頭が切れる…このままいける?ヒューグラントと頭脳対決するの?!と思いきや、黒髪シスターはサクッと喉を掻き切られ、二の腕をカッターで切り開かれて中を素手で弄られ、これ血管だわ、と間違えられながら避妊棒(あれで避妊できるの?初めて知ったよ)を掻き出すヒューグラント。うわって声が出ちゃった。でも、グロい演出というより、普通のことですわ、みたいなトーン。
金髪シスターを恐怖で支配するにはちょうどいいサイコパスっぷり。
ここから、金髪シスターのターン。
黒髪シスターを失って取り乱すかと思いきや、反論と挑戦…!って心を決めて、自分の意思で戦っていく。
頼れる人がいなくなると人って強くなるよね、の典型だけど、とてもいい。この極限の状態で諦めない心の強さよ。これが信仰心ってやつなのか。
でもヒューグラントは、信仰は支配だ、と。
自分で選んだつもりで知らぬまにそれに染められて従順に従う傀儡になってしまう、というのを実証実験し続けていたのかな。すんごいサイコパス味があのニコニコから漏れ出てて最高だった。
家の中の作りがあれ?ここ1Fで地下でそこ進むとあれ?なんか中地下?みたいな建造物の設計が気になったけど、なんか斜めを多用した家なんだろうな。
最後ヒューの首に刃物ぶっ刺したのに、よく生きてあんな動けたな、というのはドーパミンのせいってことで。
黒髪シスターちゃんも最後の最後で奇跡が起きてヒューを殺して金髪シスターちゃんを助けるというまさかのラスト。
金髪シスターもお腹刺されてるのに窓から逃げ出して森の中で蝶が手に止まる、ってのも黒髪ちゃんが「よくやったね」って言いに来たってことなのかな。
刺されたショックで幻影を見ていたのだと思うけど、信じるものは救われるもんね。