「興味深い、でも心動かされるかというと…」ヒプノシス レコードジャケットの美学 たけさんの映画レビュー(感想・評価)
興味深い、でも心動かされるかというと…
最近レコードプレーヤーを買って、かつて聞いた70年代80年代のレコードを買いあさっているので、今の気分にドンピシャの映画だった。
「狂気」「炎」「聖なる館」…それぞれの名ジャケットのアイデアがどのように生まれ、どうやって実現されたのかが明かされ、非常に興味深い内容ではあった。
(ウイングスの「バンド・オン・ザ・ラン」までヒプノシスによるものとは知りませんでした)
そして当時を語るメンバーの豪華さ。デビッド・ギルモア&ロジャー・ウォーターズ、ジミー・ペイジ&ロバート・プラント、ポール・マッカートニーにピーター・ゲイブリエル(今はあんな風貌になってるんですね)。ノエル・ギャラガーも、直接関係ないのにインタビューされている。
有名ジャケットのウラ話、豪華な出演者と音楽… それでも、それでも映画として心を動かされたかと言うと、単に貴重なお話が聞けた、という以上のものを感じなかったのです。
やっぱりCDの時代になって、ジャケットというものがそれほど重要ではなくなってきて、iPodの登場以降、そもそも「アルバム」という考え方自体が難しくなってきている。そういう時代の荒波を受けて、このヒプノシスという天才コンビが挫折し、表舞台から消えていく、その部分をもう少し詳しく伝えてくれれば、もしかしたらドキュメンタリー映画として素晴らしいものになっていたのかもしれません。
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