ヒプノシス レコードジャケットの美学のレビュー・感想・評価
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Essential Backstage Rock Story
In the 60's when rock music was cool and revolutionized society, one small London collective was producing the iconic artwork on the face of many records. This DIY story is a must-watch for any aspiring artist or entrepreneur. A start-up launched on the capital from a donated piano in a run-down apartment with only a sink for a toilet, Hipgnosis built its own legacy with crude creativity.
貧乏人のためのアートだからこその輝き
昔は「ジャケ買い」というレコードの買い方があった。レコードジャケットがカッコよくて、バンドも曲も知らないのに買う手法。聴きながら眺めたり、部屋に飾ったり、レコードジャケットってちょうどいい大きさのアートなんだと思う。「貧乏人のためのアート」とはうまい言いようだ。
デザイン集団ヒプノシスの誕生と終わり、そして彼らが手がけたアルバムジャケットの制作秘話が語られるドキュメンタリー。すべてのアルバムを知っていたわけではないが、結構知っているジャケットが出てきてなぜ嬉しくなる。ピンク・フロイドやレッド・ツェッペリン、ポール・マッカートニーあたりが多めだが、10ccも意外と多いことに驚いた。
意図的にアルバムのタイトルとは関係のない、意味のないアートワークを提案するヒプノシスはすごいが、それに決めるバンド側の勇気もすごい。実際それでロック史に残るジャケットになったのだから。興味深かったのは、ヒプノシスがボツアイデアを使い回していたこと。そりゃそうだ。デザインの世界ではよくあることだと思うがなんか笑ってしまう。個人的にいろんなレコードジャケットが好きなので楽しめる映画だったが、若い人たちにはどうなのだろう。思い入れのないドキュメンタリー映画はひどくつまらなくなる気がする。
レコードからCDにメインのフィジカルが移り変わり、今や配信でしか音楽を聴かないことが当たり前になっている状況。ノエル・ギャラガーが話していた娘とのやり取りが今の世代の感覚なのだろう。とてもさみしく思ってしまうが、それも仕方ない。そういう意味でも貴重な映画だと思う。
ジャケット製作の裏側
オールドプログレファンなので、ヒプノシスの名前は知っていたが、その実態を何も知らずに居たのだが、この映画で詳細を知ることが出来た。ピンクフロイドやピーターガブリエルなどは、ジャケットデザインに興奮して購入したのを思い出し、製作過程が詳細な資料と解説で非常に興味深かった。パンクムーブメントが起こり、時代が変わり、解散に至る過程には何とも言えない気分になった。ロックの時代背景や流れを記録したドキュメンタリー映画として貴重な作品。
何かよくわからないものを凄いものと思わせることが重要
昔の洋楽レコードジャケットの誕生秘話を製作者が解説していく内容。
きっとそういうものに詳しい人が観れば感動の連続だと思うが、残念ながら自分はそうではない。
「ピンク・フロイド」ってなんか聞いたことあるなあ、ぐらいの人間。
牛が写った画像を見ても、それがレコードジャケットとは言われないとわからないレベル。
本作を観ていて思ったことは、映画のポスターと違ってレコードジャケットはそれだけ見ても何のことかよくわからない、芸術過多なものが多い気がする。
映画内のある人物が言う「何かよくわからないものを凄いものと思わせることが重要」という言葉に妙に納得。
芸術の本質をついているような気がした。
昔はコンピューターに頼らず本当に撮っていたわけで、CGで何でもできちゃう今の時代では、逆に貴重で価値があると思う。
必要とあらば1枚のアートワークを撮るためだけに、実際にサハラ砂漠まで足を運ぶ行動力は凄い。
「燃える男」を表現するため、スタントマンが着ている背広に火をつけて何枚も写真を撮っていたところ、頭まで火が燃え移る想定外の事故が発生。
実際のレコードジャケットには頭が燃えている場面が使われているが、映画内だとこの後に救助シーンが出てきて、呆気に取られてしまった。
レコードジャケットの画像が世間に浸透した理由が「ビジュアルが優れているから」なのか「バンドが売れたから」なのかは面白い問いかけに感じた。
『アニマルズ』というレコードジャケットの没案で「子供が親の行為を目撃する場面」というものがあって笑った。
良いものを生み出すために盗作やドラッグを肯定するような場面が出てくるのは、ちょっと気になった。
音楽関係の人間が成功して莫大な利益を生み出すも、時代の変化に対応できず、晩年は借金地獄になる展開、音楽ドキュメンタリーにとても多い気がする。
ロック好き、アナログ好き、デザイン好きみんな観てね
僕はおじさんです。
ここに出て来るほとんどのアルバムが好きです。
とても興味深く観られました。
アナログ盤を集め出して、ロックが好きになって来ている人にも分かりやすく作られています。
デザインを勉強している人にも何かのヒントになるでしょう。
昔からロックが好きな人ならほっといても観るでしょう。
オアシスのノエル・ギャラガーの所にクスッとしました。
これを観たらアナログは高いのでCDでもいいので一枚出て来たアルバムを聴いてみてください。
ノスタルジー
ヒプノシスもレコードジャケットもそれを歌った歌手も知らないの。
だから「うおお、あの人が」みたいな興奮はないのね。
中心の語り手はポーなんだけど、若いときは髪をうねうねさせてたけど、今は髪もなくなって短髪で「現代のカッコいいおじさん」になってるの。時代にくっついてる感じがいいね。
ヒプノシスのジャケットもそうなんだよね。
その時代にそれ観たら「うおお、かっけえ! なんだこれ! なんでカッコいいのかわかんないけどかっけえ!」と興奮したと思うな。
いま見ても「イケてる」と思うけど「イケてたよね、アヴァンギャルド」って感じのイケてるなんだよね。
新しきを知るために古きを温ねる目的で観るならいいけど、いま観て「いまの時代だ! すげえ!」とはならない。当たり前かも知れないけど。
それでも、系統が違う作品を次から次へと産み出したのはすごいと思うし、抽象芸術っぽいものを産み出した精神の自由さもすごい。その自由さが、LSDに寄ってるところはある。
観てて面白いし、「そういう時代があったんだな」と知ることもできて良かったよ。
コアなファン向け・・・
興味深い、でも心動かされるかというと…
最近レコードプレーヤーを買って、かつて聞いた70年代80年代のレコードを買いあさっているので、今の気分にドンピシャの映画だった。
「狂気」「炎」「聖なる館」…それぞれの名ジャケットのアイデアがどのように生まれ、どうやって実現されたのかが明かされ、非常に興味深い内容ではあった。
(ウイングスの「バンド・オン・ザ・ラン」までヒプノシスによるものとは知りませんでした)
そして当時を語るメンバーの豪華さ。デビッド・ギルモア&ロジャー・ウォーターズ、ジミー・ペイジ&ロバート・プラント、ポール・マッカートニーにピーター・ゲイブリエル(今はあんな風貌になってるんですね)。ノエル・ギャラガーも、直接関係ないのにインタビューされている。
有名ジャケットのウラ話、豪華な出演者と音楽… それでも、それでも映画として心を動かされたかと言うと、単に貴重なお話が聞けた、という以上のものを感じなかったのです。
やっぱりCDの時代になって、ジャケットというものがそれほど重要ではなくなってきて、iPodの登場以降、そもそも「アルバム」という考え方自体が難しくなってきている。そういう時代の荒波を受けて、このヒプノシスという天才コンビが挫折し、表舞台から消えていく、その部分をもう少し詳しく伝えてくれれば、もしかしたらドキュメンタリー映画として素晴らしいものになっていたのかもしれません。
たまたま偶然
まさに音楽とビジュアルの─
一時代を彩ったヒプノシスの成り立ちから制作過程とかその内幕を丁寧に語語られていた印象。超有名な名盤が続々と扱われるし、それらを奏でているビッグネームが惜しげもなくインタビューを受けていたので、滅茶苦茶楽しめました。
音楽も当然超名曲ばかりで、しかも効果的かつ良質な音質で響いてくるので、油断しているとインタビューそっちのけで曲を聴いて、気持ち良ーくなって意識が飛ぶこともありました。
音楽におけるビジュアル、あるいはビジュアルにおける音楽、その関係性重要性は言わずもがな─そしてこの文明が尽きるまで果てることはないと思うのですが、ふたつの創造が組み合わさることで生まれる何か─それを存分に堪能できました。
レコードを愛でたくなる作品
何気なく送った試写会の応募に
なんとラッキーな事に当選!
恵比寿の映画館で鑑賞して来ました。
Depeche Modeなどのアートワークを手掛けているアントンコービンが監督と言うのも個人的には期待していましたが、オープニングとエンディング、そして背景などに彼らしさが感じられて嬉しい限り。
作品の内容はサイトなどにある解説がそのまま全てですが、実際にスクリーンで観ると出演している
デザイナー、ミュージシャンたちが
生き生きと楽しそうに語るその当時の話しは
聞いているだけで、その頃10代でブリティッシュロックに夢中だった自分の頭の中の幸福汁が溢れて止まらなくなってきます。
紹介される作品のジャケットがどう言うコンセプトで生まれ、フォトショもイラレもない時代にテクニカル的にどうやって作ったか、今みたいにネットなんてなくて、当時は姉が毎月買っていた
「ミュージックライフ」を何度も繰り返して読んでいたころには、到底聞けない話しばかりがスクリーンから当時の資料的な映像とともに流れて来て、これまた幸福汁か止まらなくなります。
彼らの生み出した芸術性の高い作品たちは、作り上げた彼らがいなくなったとしても存在し続け、彼らは作品のストーリーや思いを背負い続ける、ラストのオーブリー・“ポー”・パウエルさんの後ろ姿にそんな事を思い、今と言う時代の冷酷さを感じました。
ノエルギャラガーのインタビューが唯一、現代とヒプノシスが活躍していた時代のブリッジ的な話になっていて、その中のひとつの彼と彼の娘さんとの話はとても印象的でした。
改めて、この映画で紹介されるレコードを手に取ってジャケットをゆっくり眺めたくなりました。
70年代のブリティッシュロック好きは必見の作品です。
当時の音楽を知らない人でも、創作する事に対するセンスと貪欲なまでのエネルギー、出来上がってた作品の芸術性の高さは感じてもらえると思います。
何かを創ることを生業としている人にも、もちろん単純にレコードジャケットに興味がある人にも観てもらいたい作品です。
フライヤーのデザインのTシャツ欲しいな。
出来れば、紹介された作品のTシャツも。
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